渡邉英徳『データを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方』を読みました。
渡邉先生は、2年前に「すごい地理教育トーク」というイベントで紹介してもらって知った、「ヒロシマ・アーカイブ」を作った人です。
blog.ict-in-education.jp
原爆被害の実相を世界につたえる多元的デジタルアーカイブズ として、ヒロシマ・アーカイブとナガサキ・アーカイブがあります。初めて、このサイトを知ったときには、大きな衝撃を受けたのを思い出します。直感的にこうして場所と人の記録を結びつけて見ることができるのにとても驚きました。
平和学習の一環として、教材に使うことができるのではないかと思います。
その他にも、「越谷デジタルマップ」についても紹介されています。これは、越谷市の産業・観光・文化情報を一元化した立体地図で、事業所、地場産業、文化財、お散歩コースなどのデータがデジタル地球儀にまとめられています。地元の越谷総合技術高校の生徒たちが参加して作っているそうです。(「おわりに」より)
http://k-mapping.jp/k-mapping.jp
デジタルマップにこうして、写真などをどんどん重ねていくことで、記録ができあがっていく様子が素晴らしいと思いました。学校で使ってみるとどうなるのかなども興味があります。学校で行く社会見学、宿泊研修、海外研修など、いつも行く場所にどんどん写真や作文などを情報として追加していくと、学校の学びのアーカイブが地図の上にできるというのもできそうに思います。
日光や京都など修学旅行でよく行く街でやってみたら楽しそうだと思います。
また、渡邉先生は、東日本大震災のときにも、コンピュータシユレーションとビッグデータを組み合わせて地図上にマッピングするプロジェクトもされていました。
震災時に早野龍五先生の使命感と説得力、信用といった「人の力」でデータをオープン化していったということが書かれています。
技術だけでは人は動かず、人のこころが人を動かします。そして、新たな発見や価値が生み出されていきます。
オープンデータに限らず、新しい技術が普及していくためには、周囲の人を説得して巻き込んでいく行動力を持つ人が必要です。技術的な仕様を決めれば、勝手に普及していくわけではありません。信念にもとづく人間同士の交渉や、泥臭い手作業も必要です。そうした人の力によって、社会的な要請や活用の枠組みが生まれていきます。(p.248)
そうした記録としてこの本を読むこともできます。災害時に科学に何ができるのかということを知ることができるプロジェクトだと思いました。
追記
渡邉先生からTwitterにて、その後の経過などを含んだ論文を教えていただきましたので、リンク貼っておきます。こちらもぜひどうぞ!
おお!ありがとうございます。その後の経過を含め,こちらの論文をご参照いただければ。 https://t.co/HOFcg1sZIW
— 渡邉英徳 wtnv (@hwtnv) 2018年3月23日
(為田)