「未来の教室」実証事業の就学前・初中等・高等関連事業 最終成果報告会をストリーミングで見ました。プログラムは、(1)本年度事業から見えてきた示唆と「未来の教室」実現に向けた課題、(2)教育コーチから見た「未来の教室」実証事業と次年度への展望、でした。
Twitterでハッシュタグ「#未来の教室」を使ってメモを発信していたので、ブログにもまとめたいと思います。
個別最適化を目指す授業(三川小学校と麹町中学校)
(1)本年度事業から見えてきた示唆と「未来の教室」実現に向けた課題のなかで、1月~3月にかけて何度も授業を見学させていただいた、袋井市立三川小学校での、やるKeyを使った授業についての報告が行われました。
ギリギリで間に合って、地下鉄のなかで第1部を視聴。個別最適化とSTEAMがテーマ。今回の5社の成果発表会では、個別最適化は、凸版印刷+静岡県袋井市の事業のみだった。浅野さんが、「全部手が止まっていなかった」点を評価。 #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
先生が「自分の分が終わったらそれでおわりではなく、まわりの人も助けてね」と伝えていた。児童同士の助け合いについても、先生がきちんと見ていて、それを促進していた。先生には、それができる余裕ができていた。 #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「先生の役割が、教室の中で画一的に教えるのではなく、ファシリテーターとして全体を差配するというふうに変わってくるというふうに思った」とBCGの丹羽さんのコメント。 #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
三川小学校では、「進める子はどんどん進め」というふうにやっていた、Qubenaの麹町中学校での実践とは違っていた。現場の先生方の意見を取り入れて、「授業ごとにめあてを設定し、そのなかで、それぞれに進む」というふうにした。それはmustではなく、選択肢のひとつ。 #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
浅野さんと丹羽さんのコメントについては、三川小学校の公開授業と研究協議会のレポートも合わせて読んでいただくといいかと思います。
横に広げていく工夫について
「未来の教室」実証事業については、横に広げていくアクションが次に求められると思っています。そのなかで、校長会がバックアップしていた、という話が出て、「それは素晴らしい」と思いました。
ベジタリアがやっている「未来の教室」実証事業、全国農業高校校長会の全面バックアップで行われていたそうです。農業は、デジタルから遠いように思われるかもしれませんが、IoT化が進んでいるのですよね(何年か前に、教科「農業」の教科書を見てびっくりした) https://t.co/rbExLe6woY #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
農業高校で使ったカリキュラム/教材を、どんどん横に展開していくこともしていきたい、ということ。 #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「今回の実証事業で行われたような授業を、一部の学校でしか学べないのはもったいない。地域のSTEAMセンターが、こうした授業を学べる場になるという未来を思い描いている。」(浅野さん) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
教育コーチから見た「未来の教室」実証事業と次年度への展望
続いて、セッション② - 教育コーチから見た「未来の教室」実証事業と次年度への展望 です。登壇者は、稲垣忠 氏(東北学院大学文学部 教授)、田中康平 氏(株式会社ネル・アンド・エム 代表取締役)、山田政寛 氏(九州大学基幹教育院 准教授)の3人です。すごい豪華です…。 #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
株式会社Z会の“探究学習と教科学習のサイクルを回す「知のナビゲーター」”の教育コーチを務めた稲垣先生からのコメントです。
「51名、51通りの探究学習が行われていた。探究のプロジェクトと教科学習がどう繋がっていくかについて取り組んだ。成果として、51通りあると、最終的にそれは家庭科/理科/保健といろいろなところに繋がっていく。教科書のどこに繋がるのか、というマップ作りまではできた」(稲垣コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「活動の質を高めるために、情報活用能力のスキルは必要。また、動機付けのところ、何を解決するためにこれをやるのか、ただ個別に調べるだけでない、というプロジェクトとしてデザインする必要があったかと思う」(稲垣コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
株式会社COMPASSの“教科学習(授業)の効率化と応用のサイクルの実証”の教育コーチを務めた田中さんからのコメントです。
麹町中学校×COMPASSの教育コーチをした、田中コーチ。「手段が目的化しないようにした。学んだことを、社会の中で役立ちそうだと思えること。デジタル・タキソノミーを使って、生徒がどういう姿を見せてくれるかを動詞として設定し、COMPASSと一緒に作っていった」(田中コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「Qubenaは任された学習だった。STEMの学習は、"こんなことしてみたいな”というところから活動を繋げた。実際に、数学が社会の問題解決に役立ちそうだと思う生徒は増えた」(田中コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
麹町中学校のSTEM学習は、EV3、3Dプリンタ、ドローンで3回やっている。この3回分の授業を生み出すために、Qubenaで習熟にかかる時間を短縮した。 #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
ライフイズテック株式会社の“地域のチェンジ・メイカーを育成するエコシステムづくり ~ITを使った中・高・大の一貫のCreative PBL~“の教育コーチを務めた山田先生からのコメントです。
山田先生はLife is Tech! の教育コーチ。「まず早稲田大学でやっていたワークショップを見せてもらった。見た感想は、エンカレッジメントとリフレクションが本当にうまいと感じた。生徒に考えさせるリフレクションができていた。ARCSモデルと知識構成方ジグソー法を統合。」(山田コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「Life is Tech!の強みと理論が組み合わさったPBLだと感じた。そのままAppStoreに出してもいいようなアプリができていた。作りはシンプルだけど、ハイクオリティなものができている。自己効力感の向上、自己調整学習で使われるMSLQという指標でも効果が見られる。」(山田コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「メンターから生のコメントをもらったときに、子どもたちがメモをとらないままフィードバックを聴いていたりするのは、もったいないな、と思った。ワークシートなどを準備したりすると、より授業のデザインとして良くなると思った。」(山田コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
どこまでが事業者がすべきことで、どこが学校がすべきことなのか、というのは、今回袋井市立三川小学校での実証に参加させてもらって、僕も感じたところでした。そうした点についても、議論は進みました。
「事業者が何をやって、学校が何をやるのか、という線引をしっかり調整しないと難しいと思った」(稲垣コーチ)、「子どもたちに学習活動をデザインするときに、○○させたい/させよう、と言いたがる。○○できるようにしたい、というふうに視点を変えてもらった」(田中コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
これからに向けてのディスカッション
3人の教育コーチからのコメントの後、浅野さんと丹羽さんとのディスカッションが行われました。
「個別最適化について、凸版印刷のやるKey(三川小学校)、COMPASSのQubena(麹町中学校)。この2校はいずれも、一斉授業を前提にしていない授業に挑戦した。この学び方は、日本の新しい学びの一つのスタンダードになるのではないかと思うが、どう見ましたか?」(浅野さん) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「麹町中学校では、どこまで進むか、誰とやろうか、と生徒たちが任されている感じがある。ポジティブな意味で。難しいと思う人達は、規律を守っていないように見えるかもしれないが、彼らなりにやっていて、成果も出している」(田中コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
学びが個別最適化されると、どうしてもそれぞれが個人として学ぶことになり、教室の様子は伝統的な一斉授業からは大きく変わって見えます。表面的な見え方でなく、「どんな学びが児童生徒のなかで起こっているのか」ということを考えることが重要だと思います。そうしたことを見えるようにするのが、田中コーチが麹町中学校での授業に持ち込んだ、デジタル・タキソノミーなのだと思いました。
次に、今回の事業を横に展開していく話になりました。
「STEAMの方では、Z会が自前のテキストと食というテーマを組み合わせた。オーセンティックな問いを立てていた。教科の知識とを再編集したわけだが、これを人力でやったが、これをあらゆるところで人力でやっていくのか?」(浅野さん) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「総合的な学習の時間が始まったときから、いろいろなプロジェクトをやってきている。いまも全国で探究の学習をやっている。それが集積されているところ、コミュニティを作っていけば、おもしろい展開になるのではないかと思っている」(稲垣コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「Life is Tech!は、コミュニティを作るのは本当にうまいので、そこから知の伝承していければ、うまくまわっていくと思う」(山田コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「学びの履歴が見えるようになっていくことがキーになると思う。これをやらないと、一人ひとり、1校1校がやっていることがつながらない。20年前と違うのは、テクノロジー(があれば、つなげられる)」(稲垣コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
次に議論は、浅野さんからの「デジタルは基盤なのか、あったらいいものなのか?」という質問へと進みました。
「デジタルは基盤なのか、あったらいいものなのか、はどう思いますか?」(浅野さん)→「学校のICT環境はまだ厳しい。EdTechによって実現されるドリルも、一人1台ないとまだまだ厳しい」(稲垣コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「基盤としてのデジタルが入っても、先生が変わらなければ変わらない。デジタルが入っても、結局インプット重視の授業をしていたら変わらない」(山田コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「デジタル・トランスフォーメーションが基盤ではない、と言っている経営者はもういない。それなのに、学校がこの状態なのは…企業経営の視点から見ると、基盤にしてもらわないと困る」(丹羽さん) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「中小企業のデジタル・トランスフォーメーションは進まない。それは、ここでしている議論と変わらない。学校だけが特殊なわけではない。TechとArtを敵対さえない。テクノロジーを味方につけて、Artを実現する」(浅野さん) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「一人1台をどう実現していくのか。企業に死蔵しているPCを使おうよ、家庭にあるPCも使おうよ、というふうなことを、いま、春の陣を戦っています」(浅野さん) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
今後の展開について
最後に、今後の展望について教育コーチから一言ずつコメントがありました。
「現状、各教科での時間は決まっている。EdTechが入ってきて、AさんとBさんとであることを学ぶのにかかる時間は違う。そういうことについてどうするかはこれからの課題。」(稲垣コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
あああ、最後の田中さん @tanakou64 のコメントを拾えなかったよう…。 #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
「先生方は、同じ教科でも、他の先生が何を教えているのかを知らないこともある。まずはそういうところから。地道だけど、そういうところから変えてみたらどうか、と思う」(山田コーチ) #未来の教室
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月13日
全体として、非常に刺激を受ける成果発表会でした。資料がPDFで公開されていますので、ぜひ読んでみるといいと思います。