教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『ICTで変える国語授業 ―基礎スキル&活用ガイドブック―』

 野中潤 編著『ICTで変える国語授業 ―基礎スキル&活用ガイドブック―』を読みました。

 表紙の折返しのところには、次のような文章が書かれています。

 インターネットの出現と情報端末の普及は、これまでとはまったく異なる次元で、知識を記録して共有することを可能にしました。だからこそ、国語科の教員は、情報の伝達や共有の基盤となる言語の教育に取り組む者として、ICTというツールのメリットとデメリット、可能性と不可能性を冷静に見極める必要があります。

 教育ICTの導入、すなわちテクノロジーによって教育は大きく変化しています。これは、不可避で不可逆なものとなっています。こうした現実から、目を背けることなく、これまでの国語科教育の美質をいかに未来に手渡すことができるのかを、今から私たちは考え始めるべきです。

 編著者である野中先生をはじめ、お世話になっている先生方が執筆をされています。たくさんの事例が紹介をされていて、このアイデアを読んだ読者の先生方が、さらにこれをバージョンアップ/カスタマイズして各校で使っていけば、いろいろな実践が増えていきそうだと感じました。
 僕個人としては、ICTを活用して表現する手段/思考する手段をアップデートしてほしいと思っています。そのため、そういったポイントについて、いろいろと気になった部分をTwitterハッシュタグをつけてメモしていきました。

 また、教材をPDF化することによって、教材の種類を多くすることができ、それによって学びの個別化を実現できるというのがおもしろかったです。教材がロングテイル化する、ということだと思います。ロングテイル化して、たくさんの教材を個々に対して提供することができるようになって、先生方が実現したい学びがどんな形なのかの幅が広がっていくと思っています。まずは簡単なところから、やってみて、それが自分の授業をどう変えるのかを実感してもらうのがいちばんではないかと思います。

 また、SNSなどを使って授業を行う事例も紹介されています。

 実際にednityを使って授業でディスカッションをしている奈良女子大学附属中等教育学校の二田貴広 先生の授業を見学させていただいたことがありますが、たくさんの文章が書かれ、読まれ、相互にレビューしあって、さらにまた書き直されていくのが、静かではあるけれどとてもアクティブだと感じました。
blog.ict-in-education.jp

 自分のことを振り返ると、大学に入ってICTを使うようになって、文章を書いたり考えたりする方法が劇的に変わったと思っています。いまやなくてはならない道具です。そうした体験を、初等中等教育のうちにしておいてもらいたいな、と思っているのです。

 たくさんの事例が紹介されている『ICTで変える国語授業 ―基礎スキル&活用ガイドブック―』、おすすめです。

(為田)