2019年5月18日に、日本女子大学附属豊明小学校にて、192Cafe 公開イベント #2 私立小が描く未来の教室 ~多様性の交差点~を開催しました。為田は、192Cafeに事務局として参加をしています。多くの方に参加していただいたこのイベントでは、SNSでの積極的な発信を推奨しており、僕も会場からできるかぎり、Twitterにて実況をしましたので、その様子をまとめてレポートしていきたいと思います。
No.2では、経済産業省 サービス政策課長・教育産業室長 浅野 大介 氏による基調講演の様子をレポートします。タイトルは、「「未来の教室」プロジェクトの目指す教育改革」でした。
経済産業省の認識として、時代が変わってきているからこそ、人に求められる力がどう変化していくのか、社会におけるコミュニケーションの形がどう変わるか、それに向けて何をしていかなければならないのか、を考えなければならない、と浅野さんは言います。経済産業省が、人の能力開発について考えなければいけない。一人一人の人生を考えて、政策を始めてきました。
基調講演は、最初に浅野さんの学びの履歴が紹介されました。
浅野さんの学びの履歴を見てみると、経済産業省入省後に行った大学院では目的意識はあった。それより前の学びの思い出はほとんどない。政府に入ってからの学びの営みが圧倒的だった。#192Cafe
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
大枠を与えられて、そこから問いを自分で作り直さなければならない。文理を問わず勉強して、あるべき社会の絵を何度も描き直す、実現に必要なすべての手を尽くす。そうした学びを、私立小学校はいちばん作れるのではないか、というのが今日伝えたいメッセージ、と浅野さん。 #192Cafe pic.twitter.com/SPyVG2HKGb
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
まだまだ、経産省の「未来の教室」プロジェクトは、先生方には届いていないかもしれない、保護者の方には届いていないかもしれない。でも、その実現のためにあらゆる手を尽くしている。この仕事はとても楽しい。こうした知的営みが幼少時からあれば、楽しいはず。 #192Cafe
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
この楽しさを、30代になってからようやくわかる、というのが、いまの教育の問題なのではないかと思っている、と浅野さん。 #192Cafe
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
今回の基調講演に、浅野さんに来ていただこうと考えたのは、「未来の教室」を作り出すというこの政策に、浅野さんの言葉そのものを通じて触れてもらって、私立小学校の先生方がどのように感じるのか、何か火種を持ち帰ってもらって、それぞれの勤務校で何かが始まるきっかけになればいいと考えたからです。
浅野さんから前提にしたいことが紹介されました。「私立小学校の先生方にお願いです。中学受験があるから…という言い訳はナシで」というメッセージ。 #192Cafe pic.twitter.com/D92MtKXKAb
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
どんな人材が必要か。どんな人と仕事をしたいか。浅野さんがいう、「こんな人がほしい」とは。上司の言葉を鵜呑みするんじゃなく、「ほんとですか?」「どうしてですか?」と訊き返してくる、めんどくさい人が必要だ。 #192Cafe pic.twitter.com/HXEhFulGuD
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
サービス政策課長も兼務している浅野さんは、介護事業の現場を実際に回してみて、そこでどのような力が事業者にとって必要なのかが見えたと言います。
介護事業の現場を見ていて、STEAM教育の現場だと感じた。問題を解決するための力を、学校は学ばなければならないはずなのだ。 #192Cafe pic.twitter.com/gxZA6ycZsO
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
こうした事業の現場で求められる力をベースにして、そこから逆算して教育のあるべき形が語られていきます。キーワードのひとつは、「教育のSTEAM化・プロジェクト化」であり、これは浅野さんが最初に学びの履歴の中で語られていた、「実現のためにあらゆる手を尽くす仕事の仕方はとても楽しい」ということにリンクしていると思いました。
また、もう一つのキーワードとして出ていた、「学びの個別・最適化」について、「未来の教室」実証事業のなかで行われていた、EdTechを活用した授業が紹介されました。
学びの個別・最適化をしている事例。COMPASSのQubenaを使った千代田区率麹町中学校の事例と、凸版印刷のやるKeyを使った袋井市立三ツ川小学校の事例を紹介。 #192Cafe pic.twitter.com/JLP4uP17Bs
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
仮に、EdTechで学力が上がる場合、標準授業時数が目安でしかないということを、文部科学省に経済産業省から申し入れているところ、と浅野さん。→学校の授業が、EdTechによって先に変わってきている。そこに制度がついてきていないのが現状といえるかも(為田) #192Cafe
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
この、「社会に制度がついてきていないのではないか?」という話は、先日読んだ落合陽一『日本進化論』の中であった、落合先生と小泉進次郎さんの対談の中で、文脈は違うけれども書かれていたことに似ていると思いました。
落合さん:「特にわれわれは人口減社会に入りますから、テクノロジーを実装しながら、そこにどういう法律を適用すべきかを、同時に走りながら考える土壌をつくらないと、間に合わないのではないかと思います」(p.28) #日本進化論
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年4月29日
新しい制度をどんどん実装していく、テクノロジー(EdTechやICT)も実装していくのに、じゃまになるのは感情やマインドセットだと思います。そこを乗り越えていくのに、私立小学校ならば「建学の理念」が大きな役割を持つのではないかと思っています。
ICTを使った教育は、冷たい感じがしますか?「ICTはすべての学習者を包摂する温かいもの」ではないでしょうか。 #192Cafe pic.twitter.com/Fr1reWgCpd
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
「これ、なんでできなきゃいけないんだっけ?」ということが原因で、勉強ができない子が多いように思う。根っこで探究心が強い子ほど、一箇所につまずいて、一斉授業から置いていかれてしまう、というケースもある。 #192Cafe
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
浅野さん自身が、「やりたいな」と思う「未来の農業」をテーマにしたSTEAM教育プログラムを作っている。小学校では、こうした教育を作れるようにしていきたいと思っている。STEAMライブラリーを作っていきたいと思っている。PBS Learning Mediaが参考に紹介されました。 #192Cafe
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年5月18日
私立小学校の先生方に、浅野さんのお話が何か火をつけて、ここから何かが始まりそうな予感がある基調講演になりました。
浅野さん、お忙しい中、本当にどうもありがとうございました。
No.3に続きます。
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(為田)