休校の状況にあっても、ICTを活用することで教育活動などを継続している学校の実践を紹介してきた、「休校×ICTでやれたこと」のNo.4で「ICT学習支援と日替わり朝礼動画の毎日配信」を紹介していただいた、横浜市立鴨居中学校の齋藤浩司 校長先生から、朝礼動画の様子と、Zoom保護者会のレポートを寄稿していただきました。(為田)
朝礼動画の復活
休業が延期になった。新学期が始まったとはいえ、生徒たちは数時間しか学校に居られなかった。新入生は期待と不安があるなか、担任とのふれ合いもないまま、在宅学習を余儀なくされている。教員も目の前に子供がいない寂しさ、無力感に襲われ達成感のない日々を送っている。
少しでも、学校の空気を届けたい、先生方のメッセージを届けたい!そんなシンプルな気持ちで始めた。3月3日から始めたこの取組、更に休業延長の機会に復活をさせたのだ。
作り方は簡単。
- 出演の承諾を得た教員が登場。
- 1~2分の内容を考えてもらう。
- フリップも必要に応じて用意。
- 大抵、一回くらい練習すればOK。
- 端末で録画した動画をYouTubeに「非公開」でアップする。
- 暫定的に校長の個人アカウントを使用。
- メール配信を使い、非公開URLをメール配信する。
- 受け取った保護者はリンクをクリックするだけでYouTubeへ飛び視聴することができる。
- 保護者の端末で子供と一緒に見ることが多いそう。学校のネタで会話が生まれる。家の雰囲気が少しでもほっこりすると嬉しい。
「毎回楽しみにしている」「親子で観てます」「○○先生に登場してもらいたい」「先生たちの声が聞けて嬉しい」など、感想をいただいている。今後は、学習アドバイスを中心にできるかぎり毎日配信していきたい。
朝礼動画のメイキング映像も見せていただきました。校長先生だけでなく、さまざまな先生が登場することで、生徒たちも喜ぶと思っています。テーマもそれぞれの先生が個性的なものを持ち寄るとおもしろいと思いました。
オンライン保護者会の取組
当初、自前で授業動画の配信かオンライン授業を考えていた。しかし、課題があった。
ひとつは準備時間の問題。3月からの休業時は学年末の業務でいっぱいいっぱいであった。
ふたつめは機材と学習ネットワークの活用の問題。学校としての配信=オフィシャルであるので諸々許諾が必要。適切な配慮がなされているか?著作権はクリアできてるか?
思い付いたものの、ハードルは高かった。そこで、タイミングよく横浜市教委から授業動画の配信が始まった。そこは任せた。ということで、家庭と学校とのコミュニケーションに注力することとした。
下準備として、「家庭におけるインターネット環境」についてアンケートをとった。結果、分かったこと。
- 98%がインターネット環境あり。
- 97%が生徒が使える端末を持つ(スマホが多い)
- しかしプリントアウトできるのは60%と低くなる。
このアンケートをふまえ、必要に応じて家庭に端末を貸与することにした。某通信会社の協力でLTEタブレットを貸すことができた。さらに、PCメーカーに端末貸与ができるようにお願いをしている。
さて、家庭とのコミュニケーションであるが、まずはZoomを使うことにした。折しもZoom問題が発覚したタイミングであったが、入室パスワードや待機室の設定ができ、改善されたのを確認して踏み切った。
事前に、Zoomによるオンライン保護者会の趣旨をメール配信で伝え、入門編プリントを作成しPDFで配信もした。(鴨居中のメール配信は文書や画像も送れる)
4月9日(木)の13時と17時にテストをした。それぞれ30分設定。朝、入室の招待を配信した。
13時からの保護者会は30人の来室。ほとんどが親子での参加。初めてZoomを使う方が多かった。画面で子供が手を振ってくれたり、挨拶してくれたのが嬉しい。父親の参加も多かった。
話題は子供たちの家庭での様子。「時間をもて余している」「部屋の片付けやお手伝いをしている」「英語の学習をしている(1年生)」「今起きました(笑)」などなど。
17時からの回は10人の来室。職場からアクセスした保護者もいた。
短い時間、一瞬でも子供たちの姿が見られたこと、保護者の声が聞けたことが嬉しかった。
課題としては、開始時間の設定、話すテーマ、ホスト側の人選(今は校長がホスト)。参加人数が多くなると会話がしにくい。背景が映るので音声だけになる、など。まだまだ、始めたばかりなので保護者間で周知されれば参加も多くなると思う。
知恵を出しあって、家庭と学校とのコミュニケーションを継続させたいと思っている。
(横浜市立鴨居中学校 校長 齋藤浩司)