教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『3つのステップでできる! ワクワク子どもが学びだす算数授業』

 京都教育大学附属桃山小学校の樋口万太郎 先生 著の『3つのステップでできる! ワクワク子どもが学びだす算数授業』をお送りいただきました。

 子どもがどんどん学びだす算数授業の3つのステップは、以下の3つのステップとなります。

  • ステップ1:見方・考え方セットタイム
  • ステップ2:学びタイム
  • ステップ3:活用問題タイム

 3つのタイムを活用した授業については、以前樋口先生の授業で少しだけ見させていただいたことがあります。ここからさらに実践を積み重ねて、できあがったのが3つのステップなのだと思います。3つのステップそれぞれで具体的にどんなことをするのかが書かれています。
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 ここで書かれている「やるKey」は凸版印刷が開発したアダプティブラーニングができるデジタルドリル教材ですが(来年度から、新ブランド「navima」に変わるそうです)、「やるKey」でなくてもデジタルドリル教材を使っている学校であれば、同じように使う事ができるのではないかと思います(デジタルドリルの出題アルゴリズムなど特性もあわせて考える必要がありますが…)。

 もうひとつ、3つのステップをすすめるためのポイントの中で、机間巡視と机間指導について書かれているところがあったのですが、非常に共感しました。

「机間巡視」「机間指導」という言葉がよく使われますが、「机間巡視」と「机間指導」は別物です。
「机間巡視」は教室の中をぐるぐる歩きながら、児童の実態を把握することです。「机間指導」は教室の中をぐるぐる歩きながら、指導することです。
授業を参観していると、子どもたち一人ひとりの様子をメモしている先生がいます。メモをすることは、このあとの全体で発表するときに誰の考えを使おうかという目的で行われていることが多くあります。これは子どもたちの考えを取捨選択し、自分が想定していた授業展開にしていくための教師の都合でしかありません。
ホワイトボードを渡して、考えを子どもに書かせるということも教師が子どもたちの考えを取捨選択していることになります。
ホワイトボードを渡されなかった子の中には、「自分の考えはだめだったんだ」「いつもぼくに書かせてくれない」「いつも○○くんばっかり」と思う子もいるでしょう。
子どもたちの考えを取捨選択することが、「机間巡視」「机間指導」の目的ではありません。(p.106)

 樋口先生の学校では、一人1台のタブレット端末を活用しながら授業をしています。「ホワイトボードを渡されなかった子がいる」というところは、一人1台の情報端末を持つようになり、授業支援ツールを使うことで、もっともっとみんなの考えを共有できるようになると思いました。

(為田)