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新渡戸文化小学校 授業レポート No.1(2022年2月18日)

 2022年2月18日に、VIVISTOP NITOBEを訪問し、山内佑輔 先生が担当する新渡戸文化小学校3年生の授業を参観させていただきました。
 VIVISTOP NITOBEは、レーザーカッターなどの最新のデジタルファブリケーションツールや、創作意欲を刺激するさまざまな道具や素材を備えた、クリエイティブラーニング環境で、新渡戸文化小学校の授業だけでなく、新渡戸文化中学校・高等学校の授業や、アフタースクールでも活用されています。
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 VIVISTOP NITOBEでの山内先生の授業は、毎回席替えがあるそうです。授業のはじめに箱から席札をひいて、そこに書かれた番号にしたがってテーブルに座ります。山内先生は、「仲が良い人とばかり一緒にやると、どうしてもアイデアが似てきちゃうから、いつも違う席で座ってもらってるんだよ」と子どもたちに説明していました。
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 子どもたちがグループに分かれて座って、授業が始まりました。この日の授業は、時間割としては図工だったそうですが、最初に山内先生が「今日は図画工作じゃなくて、プロジェクト科(総合的な学習の時間)です。いま、プロジェクト科で未来の町をつくる、というのをしているでしょう?未来の自分とか、未来の町を想像して、この後、未来の自分のしごとを考えるらしいじゃない?そこで、今日はみんなに、デザイナーになってもらいます」と語りかけます。
 例として、山内先生が自分は「まちの創作室」を作りたくて、そのマークを考えてみたのだけど…と、山内先生が自分で作ったマークを子どもたちに見せました。すると、子どもたちは、「えー、かっこ悪ーい!!」と口々に言います。
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 子どもたちのその言葉をうけて、「それじゃ、みんながデザイナーになって、もっとかっこよくつくってみてくれない?」と山内先生は言います。山内先生から出た課題は、「20分でマークを10個以上作る」でした。
 それぞれのグループの机には、みんなで書き込める大きな紙と、色鉛筆やクレヨンなどが置かれています。「1人で10個作ってもいいし、みんなで合わせて10個でもいいよ」と言います。ただし、「iPadは使いません。検索もなしで。きれいでかっこいいのをつくらなくてもいいから、どんどん描いていってください」と山内先生は言います。
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 みんなどんどんマークを描いていきます。山内先生は「失敗してもいいよー」と言いながら、それぞれテーブルを見て回って、子どもたちに声をかけていきます。
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 20分が経過したところで、他のグループの作品を見て回る時間をとります。クレヨンや色鉛筆などをしまって移動の準備ができたら、山内先生は、「“何これ?”とか“変じゃん”とか言うのはやめよう。“良いアイデアだな”とか“なんでこういうふうに描いたのかな”とか、そういうふうに見ていきましょう。正解はないので、自分たちの作ったものをおもしろがってください」と、見る前の心構えを伝えました。
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 子どもたちは他のグループの作品を見て回り始めます。色鉛筆やクレヨンをはじめ、さまざまな表現方法が与えられていて、テーブルの上にあるマークは本当にそれぞれ個性的です。クラス内でこうして描かれたマークを見て、自分なりのアイデアに変えて、次の課題へと進んでいきます。
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 No.2へ続きます。
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(為田)