2022年2月9日に、淡路市立北淡中学校の校内研修会の講師をつとめさせていただきました。2020年7月29日に続いて、2回めとなる今回の研修でのテーマは、「一人1台のルール」でした。こうして継続してお声掛けいただくのはうれしいです。
昨年度と同様、オンラインでの研修だったので、僕は自宅から参加し、北淡中学校では3つの教室に分散して先生方が参加してくれました。また、今回の講演は淡路市が各校の自主的研修を推進する事業「あいプロジェクト」によって実現していて、他校にも研修機会を提供することと定められているそうです。西岡正雄 校長先生から市内の各校へご紹介もいただいた結果、市内の1つの小学校からも先生方に参加していただきました。小学校の先生方と中学校の先生方に同時にお話ができると、小中連携の話に繋がっていくと思うので、とてもいい機会だと感じました。
今回の研修テーマ「一人1台のルール」については、さとえ学園小学校でのレベルアップ型ルールを紹介した本『一人1台のルール』がベースにあっての依頼でした。そこで、最初にさとえ式レベルアップ型ルールを紹介してから、そのベースには「どんな力を身につけてもらいたいのか」ということが明確にあるうえで、それを評価する仕組みとしてレベルアップ型ルールがあるということを説明しました。
まずは学校が「こういう力を身につけさせたい」ということを明確に言語化して、次にそれを保護者にきちんと伝え、理解をしてもらう。この2つのステップがルール作りの土台になる、という話をしました。
だからこそ、「さとえ学園小学校のルールをただ模倣するのではなく、北淡中学校の子どもたちにどんな力を身につけてもらって卒業してほしいのか考えることが重要です」というお話をさせていただきました。
研修後、具体的なアクションにつなげるために、ロイロノート・スクールで先生方に以下の2つの質問が配布されたそうです。
- これからの社会を生きる子どもたちに必要な力はどんなものだと思いますか。
- 必要な力を身につけるために、教科を通してできること、学校生活を通してできることについて答えてください。
後日、先生方の回答を見せていただきました。何人かの先生からの回答を転載します。
- 【必要な力】
自分の意見を持ち、他者に伝える力(コミュニケーションスキルの向上)
【そのためにできること】
思考ツールなどを活用し、まず考える楽しさを味わわせる工夫を行う。また他者の意見と比較し新しい考え方と自分の意見のどちらも大切にし、認めていける環境づくり。さまざまな課題に対して研究(調べ学習を行い、プレゼンする機会を増やす)。その際、タブレットが必要なのか、パソコンがよいのか、プロジェクターが必要なのかなども、考えさせる。聞き手の立場についても考える。- 【必要な力】
今あるものを活用するだけでなく、得た情報から新しいものを生み出す力が必要だと思います。
【そのためにできること】
情報収集だけでなく、得た情報をどのように活用するかを考える場面作り。生徒、教職員、保護者も自分の思考の幅を広げるツールと捉える。- 【必要な力】
情報機器の使用を自分で制限できる力。情報機器を使って自分の知識を増やしたり、娯楽を楽しむことは素晴らしいことだが、家族や友人といる時の時間や食事の時間などは情報機器を使い過ぎないようにしてほしい。使わない時を自分で決めることができる力。
【そのためにできること】
ルールを決めない。モラルを教える。そんな活動ができたらよいです。- 【必要な力】
わからないことを自分の力で検索し、必要な情報を取捨選択し、問題を解決する力。また、ツールを使いこなし、効率よく課題解決する力。
【そのためにできること】
シンキングツールなどを活用し、仲間と協力しながら課題を解決する。調べ学習などを通して、デジタルを活用し、必要な情報をもとに検索し、課題を解決していく。- 【必要な力】
人と繋がる力(直接的でなくても…) 人の考えを受容する力と、自分の考えを発信する力。
【そのためにできること】
知識や技能の習得をするだけでなく、課題発見力と課題解決能力を育成するような教材を使うこと。考えの共有で終わるのではなく、気になる考えに積極的に意見が言い合える環境をつくる。(←どうすればいいかわからないのですが…)
こうして先生方が研修に参加してくださった後に、自分ごととして考えていただけるのは、とてもうれしいです。研修の成果は、参加された先生の学校や授業が変わってこそのものです。先生方の役に立てていればいいな、と思っています。
研修後、西岡校長先生から、北淡中学校から見える夕陽の写真を送っていただきました。次回、またお声掛けいただけるときには、学校へ伺いたいな、と思っています。素敵な夕陽を皆さんとシェアできるように、ここに貼っておきます。
(為田)