2022年2月18日に、VIVISTOP NITOBEを訪問し、山内佑輔 先生が担当する新渡戸文化小学校3年生の授業を参観させていただきました。
みんなの描いた作品を見てから、山内先生は「ここからが本番です」と言い、自分のマーク作りに入ります。作った自分のマークを自分の名刺に入れて、プロジェクト科の「自分の未来のしごと」について考えるときに使うそうです。山内先生は図工の授業を担当されていますが、クラス担任の先生と連携して、プロジェクト科(総合的な学習の時間)のなかでデザインや制作に関わる部分を担って授業を行うこともしているそうです。こうすることで、学校のさまざまな授業のなかで、図工的なデザインや表現ということを使うことができるようになると思います。
自分のマークを作るときにも、iPadでの画像検索は使わないという設定でしたが、参考資料としてQRコードをiPadで読み取れるようにして、Canvaを見られるようにしていました。iPadでCanvaを開き、ロゴマークを検索して参考にしながら自分のマークを描いている子たちも多くいました。
「ちょっとかっこつけよう」と言って、Canvaで見つけたロゴマークのなかに自分の名前を入れている子もいました。こうして、さまざまなデザインのアイデアを教室に持ち込めるのは、ICTを活用する大きなメリットだと思います。
デザインを進めているうちに、ある子が、「Canvaで見た淡い色を塗りたいんだけど、クレヨンや色鉛筆では淡い色が出せないので、絵の具を使ってもいいですか?」と山内先生に訊いていました。山内先生は、「もちろんOKだよ」と答えます。
簡単なやりとりに見えて、なかなかこうした授業は行われている学校は少ないように思います。「何を使うか」よりも「何を表現したいか」が大事にされています。表現したいことが先にあって、そのために何を使うかを選ぶ、ということが実現している授業だと感じました。
さらに途中から「この先の時間は、iPadでの製作もOKにします。」と山内先生。クレヨン、色鉛筆、絵の具などを使って手描きしている子と、KeynoteやSketchesなどのデジタルツールでデザインしている子がいます。手描きのデザインをiPadに取り込んでデジタルで加工している子もいます。
これも、表現したいことが先にあって、そのために何を使うかを子どもたちが自分で選んでいるということだと思います。
マークの中に英語を入れたい子が、iPadをスプリットビューにして、書きたい言葉を英訳して、それを見ながらデザインしていました。
デジタルでは難しい、淡い色の変化を絵の具を使ってつけている子もいます。
ロゴマークの参考にアクセスしたCanvaを使ってデザインしている子たちもいました。一切の操作の説明を先生はしていませんが、訊いてみたら「(Canvaは)はじめて見たけど、やってみたらできた」「もう慣れてきた」「ばっちり」と言っていました。どんどん使えるツールを増やしていくのだな、と感心しました。
授業の終わりに、手描きの人とデジタルの人とのバランスは、ちょうど半分くらいだったようです。山内先生は、「手描きの人は、iPadで写真を撮って、作品は教室の真ん中のテーブルに出していってください。デジタルの人は、iPadにあるのでそのまま持っておいてください」と言います。
iPadはいろいろなツールを見られるからこそ、コントロールできなくなりそうな場面もあるのですが、山内先生が「iPadは一度閉じて」と注意するだけです。それでも見るのを止められない子たちには、「どうしてもiPadを見ちゃうようなら、しまうとか自分で工夫しましょう」と言います。自分でコントロールできるようになってほしい、という姿勢が見られた気がしました。
No.3へ続きます。
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(為田)