教育ICTリサーチ ブログ

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富士見市立針ケ谷小学校 校内研修レポート(2023年9月13日)

 2023年9月13日に富士見市立針ケ谷小学校を訪問し、授業参観後に校内研修の講師をさせていただきました。6校時に実施された研究授業について、ICT面からのふりかえりでコメントをさせていただきました。

 6校時の「たずねびと」の授業では、子どもたちが自分でどんな視点で読むかを決めていました。これは、針ケ谷小学校が研究主題としている“ICTを活用し、全ての子どもが「学びをデザインする」授業の工夫改善”に合致している試みです。
 一人ひとりが決めた視点は、多岐に渡っていて、こんなに「読みたい視点」が違うのだ、と感じさせられました。ただ、いろいろな視点が出て、いろいろな課題に子どもたちが取り組んでいたからこそ、オクリンクでみんなが考えていることを授業中に何度も見合う機会を作って、クラスの他の子たちがどんな視点で読んでいるのか、どんなことを読み取っているのかをもっと多く見合う機会があればいいな、と思いました。

 子どもたちは、読み進めていくなかで、「これってどういうことなんだろう?」という問いをたくさん見つけると思います。その問いが出てきたところで、一度クラス全体で共有して、その問いについて練り上げる活動を一斉指導の形で入れてみてもいいのではないかと思いました。
 子どもたちの課題はそれぞれ違います。自分にあったものを自分で学べることはとてもいいことですが、あまりに子どもたちに委ね過ぎて個で学ぶ方向に行ってしまい過ぎると、「みんなで読むことのよさ」「こういうふうには読めてほしい」という先生の思いがあるところまでたどり着かない可能性もあると思います。
 みんなで読んで、感想を共有し、練り上げていくからこそできる学びが、学校で学ぶ意味だと思います。こういうところは、先生が全体に対して一斉指導をして、みんなで問いと答えを繰り返して練り上げていけばいいところではないかと思います。

 「個別最適な学び」や「協働的な学び」に、授業の形式として囚われすぎてしまうと、一斉指導をする時間をできるだけ短くしようとしてしまうケースもあると思います。ですが、今回の授業であれば大切なのは子どもたちがきちんと「たずねびと」を読めるか、ということなので、もう少し先生が求心力をもって子どもたち全員に対して語りかけ、問いを投げかける時間があってもよかったのではないかと思いました。そうしたクラス全体に対して語りかけること、問いを投げかけ、みんなで練り上げ、深めていくことこそが、先生方にしかできないことだと思います。

 子どもたちがいろんな視点で考えていたので、生まれてきた問いをテーマごとにカードの色を変えたり、同心円のなかにプロットして問いの種類を意識してもらうようにするなどもできないでしょうか、とシンキングツールを使ってみる提案もしてみました。

 研究協議のなかでも、先生方からは「子どもたちが自分たちで視点を決めて問いに取り組んでいたのはすごかった」というコメントが出ていました。針ケ谷小学校の子どもたちにとって、どれくらい学びのデザインを子どもたちに委ねるのか、先生が導くところと委ねるところのバランスなど、研究授業をしながら磨いていくフェイズに入ってきていると思います。ICTを先生方も子どもたちも使いこなせているからこそ、こうした段階で授業を検討できていると思います。学校全体でフィードバックをして、さらに前に進んでいくことをサポートしていければと思います。

(為田)