2022年5月23日に富士見市立針ケ谷小学校を訪問し、授業参観後に校内研修の講師をさせていただきました。今回のテーマは、「学校のデジタル化は何のため?」でした。
富士見市では、2022年1月14日に富士見市教育研究会主催の教育講演会で講師をさせていただいていたので、そのときの話に最新の事例を加えながら、針ケ谷小学校の環境にあった形で話をさせてもらいました。
教育ICT利活用の目的9類型を紹介した後で、先生方に、「今回紹介した9つの類型のなかであれば、針ケ谷小学校で自分はどの類型をICTを活用する目的としたいですか?」という質問に、Mentimeterを使って答えてもらいました。
ほんの10分足らずの時間でしたが、先生方はたくさんの書き込みをしてくれました。書いてもらった回答を映して説明をしながら、「どうして今回Mentimeterを使ったかというと、こうして先生方が考えていることを読ませていただきたかったからです。挙手して発言してもらえば、こんなにたくさんの人の意見を聴くことはできません。ICTだからこそ、こうして全員の意見を読むことができます。また、この形式であれば、他の先生の意見を読むことができ、それは参加している先生方にとってもいいことだと思います」と趣旨を説明しました。
こうして情報を共有することができ、この場で集め、見られる情報量を増やせることも、ICTの良さです。最後に、先生方に、「これを授業で使えば、手を挙げない子たちの意見も読むことができるようになります。これもICTの良さのひとつです」と説明をしました。
最後の質疑応答の時間に、養護の先生から「今日は、子どもたちの学びがどのように変わるのか、という事例を挙げてもらいましたが、養護の場面でICTを活用している事例はありますか?」という質問をいただきました。
いろいろな学校へ伺いますが、養護の先生とお話をする機会はあまりなく、事例としては僕が持っているものはなかったのですが、ICTを活用することで「保健室へ行くのが恥ずかしくて質問できない子にとって、ICTでコミュニケーションができることは、彼ら/彼女らの選択肢を増やすことになるのではないでしょうか。担任の先生に言えないことも、保健室の先生に相談できる、というのはとてもいいことだと思います」とお答えしました。
2020年に訪問した湘南学園中学校高等学校で、進路相談などで職員室に来られない子たちが、自分の端末からコミュニケーションをとれるようになった、と進路指導の先生がおっしゃっていたのを思い出し、その事例もお伝えしました。
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保健室へのオンライン相談を実際にスタートさせようと思えば、匿名で受け付けるか実名で受け付けるか、オンラインで来た質問をどの程度まで校内で共有するかなど、いろいろなことを考える必要があります。ですが、針ケ谷小学校にあった形で制度を作り、コミュニケーションの選択肢を増やすことで、子どもたちが学びやすく、過ごしやすくなる可能性も大きいと思います。今回の研修会での、この質問によって、針ケ谷小学校でできる可能性がひとつ増え、これによって助かる子どもたちがいるかもしれないと思い、学校全体でICTのできることを考える機会をもつことは本当に大切だと改めて感じました。
(為田)