3月6日に、JAPET&CEC成果発表会 平成26年度「教育の情報化」推進フォーラムに参加してきました。
国立教育政策研究所 統括研究官 白水始さんによる、特別講演「21世紀型の授業に向けた教育の情報化」に参加しました。以下、会場からTwitterに送ってたテキストを元にまとめてみました。とってもおもしろかったです。
前向き授業と後ろ向き授業
「いつでもどこでも学べる世界」が明らかにする20世紀型教育の底に潜む問題。サルマン・カーンの話からスタート。カーン・アカデミーを子どもが使うときに、記録をとる動画。最後に大事なインプリケーションがある。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
Let's use video to reinvent education | Salman Khan - YouTube
サルマン・カーンのTEDの後半、13分過ぎくらいから出てくる理解度のグラフを見ると、ぐぐっと早くにわかるようになる子もいれば、後からぐぐっとわかるようになる子もいる。そう考えると、制限時間っていうのが実は学習に大きな制約になっているんじゃないか、という話。
制限時間が生み出す「できる子、できない子」。小学校6年間という制限時間があるし、短期的には授業時間(45分や50分)も制限時間がある。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
そうしたことをふまえて、20世紀の教育は「後ろ向き授業」だった、という話が始まります。
20世紀の教育は、最近は「後ろ向き授業」という。先生が設定した一つのゴールに、誰が最初に駆け込めるか。速い、遅いが不自然な優劣を生む。ゴールの言動ができたらそこで終わり。評価されるのは、ある時点tでの「切片」だ。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
それに対して、これからの教育は「前向き授業」となるべき。
これからの教育で考えているのは、「前向き授業」。先生が設定したゴールを超えて、誰もが自分の次のゴールを見つけられるか。答えが一つの時でさえ、分かり方は多様。ゴールは次の学びのスタート。大事なのは速さよりも、「持続」。休み時間でも考え続ける、家に帰っても家族と話し合う、などなど。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
評価されるのはt1からt2への「変化」。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
子どもたちは、授業を聴きながら「ああ、先生の今日のこの授業、この話、使えそう!」みたいなことは、教室ではなかなか起こらない。スポーツならば、シュートが入らないのを居残りで練習するケースはあるだろうに、勉強ではそうは見られない。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
なるほどなるほど、と納得。この違いの説明、わかりやすいなあ。そして、たしかに僕は、「あ、この授業、使えそう!」と授業をしていて思われたいな、と思っているなあ、と自分で省みました。なるほどなるほど。
前向き授業デザインについて
講演は、前向き授業をデザインするにあたって、協調学習も大事ですが、ICTを使ってそれをどう学習活動に落としこむか、という話に続きます。
協調学習を導入したいのだが、ICTを使ってどう学習活動に落とし込みますか?と考えてみましょう。 pic.twitter.com/V0dtTb8avT
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
課題を小さくして、作業に落とすとやりやすくなる。そして、その共有が答え合わせにする。電子黒板は、答え合わせを効率的にしたいものではない。 pic.twitter.com/0gSrYF9TSJ
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
協調学習×ICTは、「多様解の共有」のために用いる。前向き授業では、教えたいゴールと問いは明確に。到達の道筋(アプローチ)は自由に。自分たちで進んでいく必要がある。出てきた多様な答えを、自分でまとめる必要が出る。 pic.twitter.com/YOFeeiA7lG
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
到達後に多様な疑問が出る。一人一人の分かり方の評価と「次の授業」のヒントになる。変容的評価が可能になる。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
前向き授業デザインの3つの肝についての説明です。
前向き授業デザインの3つの肝。1) 子どものコンピテンス 話したり聞いたり考える力 を信じる。話す能力についてのところで、Deb Roy @TED talk "The birth of a word"を参照。Gaga to water、40秒で音で体験。これ、すごい。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
Deb Roy: The birth of a word - YouTube
この動画、ものすごくおもしろかったです。家中で幼児の言語習得過程を録音する、という…すごい、Crazyだ…。でも、そうしたCrazyなことをしたからこそわかったこと。
Deb RoyのをWordscape。おもしろいなあ。「水」という言葉は台所やお風呂場で多く発話され、「バイバイ」は玄関で多く発話される。豊かな経験から導かれる言葉、知識を、抽象度が高い原理原則とどう結びつけるのか、というのがポイント。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
そりゃそうだ、と思うものも、こうしてエビデンスが出ると非常におもしろいです。
知識構成型ジグソー法を実践
次期学習指導要領改訂に関わる中教審への諮問。何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶか。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
知識構成型ジグソー法の紹介。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
ジグソー→クロストーク。グループごとに違う統合結果を交換する。最後は、自分一人で書いてみる。自立→協働→創造。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
最後に、一人一人自分が最も納得できる答えを「自分で作っていること」を確認する。ここが大事だよなあ。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
500人を超える大きな会場で、3人1組でジグソー法を実践。
駿府城の立っている場所を事例に、「あなたが戦国大名なら、どこに城を建てますか?」というのを考えます。歴史的事実があるが、正解が出た後も、「それは戦国の世が終わりつつあったからではないか」とか、次に問いが繋がっていくことがある。ジグソー法での学びをさせるには、問いと資料が命。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
2) 大人が責任を持って「答えを出すべきだと考える問い」と矜持を持って「子どもたちが踏み台にできる視点や考え方」を差し出す。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
埼玉県立川越高校で「ナポレオンは独裁者か?」という授業(ジグソー法)を、グループごとにICレコーダーを置いて分析をすると、生徒達なりの言葉で語られている様子がわかったり、発話していないように見える生徒も、「え?」とか「なんで?」とか発話して議論に参加しているのもわかる。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
指導案がありました。これ、授業見てみたかったなあ。たしかに、直接学習目標になっているワードを言っているわけではないけれど、何かを学んでいる、というのはありそうだな、とすごく興味深かったです。
一方で、ジグソー法とか協調学習とかやると、「フリーライダーはどうするんだ?」と思ってしまうのですが、それもパターンがあります、と白水さんが言っていました。
学校、学級によって、伸びない・定着しないパターンがある。そういうところの2つの特徴は、優劣を気にする+答えが出たら終わりになる、というもの。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
なるほどなるほど。こういったパターンに陥らないようにいろいろと工夫する、というのはできそうな気がします。
まとめ
2015年3月開設予定、国立教育政策研究所の学習科学ポータル。これ、よさそうだなあ。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
↓
すみません、これ国立教育政策研究所ではなく、白水さんの科研費研究でされているそうです。訂正させていただきます。
KAKEN — 研究課題をさがす | 持続的な学びを支える学習科学ポータルサイトの開発と評価 (KAKENHI-PROJECT-26242014)
オーストラリアは学習指導要領は紙で出していないのだそうな。どちらでもいいと思うけれど(笑)、すぐに参照しやすいようにしてほしいのと、現場での実践とつなげやすくなるようになるといいな、と思います。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
教育でのICTの役割、まとめ。 pic.twitter.com/267NU2z4Gg
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
おまけ(っていうか言い訳とお願い)
そういえば、3つめの肝をメモしそびれたな…がっくし…失敗失敗。評価に関する内容だったのだけど。
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2015年3月6日
どなたか、教えてください…(涙)