ICT CONNECT 21のEdTech推進SWGの方でもお世話になっている、赤堀侃司先生の『AI時代を生きる子どもたちの資質・能力 新学習指導要領に対応』を読んでいます。気になるところをTwitterにまとめながら読む、ひとり読書会でまとめてみました。
「はじめに」では、「未来を生きる子どもたちに期待されるのは、資質・能力です。暗記した知識と異なり、資質・能力は、忘れることも、無くなることも、ありません」と書かれていました。この資質・能力をどう育成すべきかについてを中心にメモをしていきました。
学校で学んだことと社会で役に立つこと
テーマとしてまずでたのは、「学校で学んだ知識が社会につながらない」ということ。学校で学んだ知識は、どう使われるべきなのかについて書かれていました。
第1章「学校の知識が社会につながらない」。新学習指導要領にある「生きて働く知識」は要注目。「持っているだけ、蓄えているだけ、記憶しているだけ」でなく、「その知識が使われてこそ、別の知識と協働して変容することで、価値を生み出します」(p.28) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「子どもたちが主体的に探究したり研究したりするテーマは、その子どもたちの生活の環境、地域や文化、つまり社会と関連して生み出されます」(p.29)。これは、掛川西高校とTechAcademyとのプロジェクトでも感じています。 https://t.co/h3xiw89Sk0 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
では、これまで学校で学ばれてきた教科の学習は、意味がないのでしょうか。そんなことはありません。教科学習とは、そもそもどんな性格をもつものなのか、ということを考える必要があると思います。
第2章「探求の仕方を学ぶ」を読んでいきます。先進国での取り組みが紹介されています。探求の仕方を学ぶことは、逆に「教科学習とはそもそも何だったのか」を考えることにも繋がっています。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「学問をそのまま子どもに与えるのは、理解が難しいので、教える科目という意味で、教科ができ、教科の内容を、わかりやすく教えるために、教材ができ、そして指導法が工夫されてきたといえます」(p.36) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「教科はそれ自身が体系化され、きちんと頑健に作られています(略)ところが、現実社会を見ると、そのような体系だった単独の教科だけでは、理解できないことが多いことに気が付いた」(p.36)“理解”というか“問題解決”。教科で学んだことをどう活かすか。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「問題解決では、単独の教科だけでは、とても非力で、すぐに跳ね返されてしまいます。(略)本質的に、現実社会の問題は、総合的であり、多くの要素の集合体のような性質をもっているからです」(p.37) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「かくして、現実社会の問題解決という視点に立った時、それはSTEMのような総合的な内容になるのです。STEM教育は、真正面に、この社会における問題解決力を子どもたちに身に付けさせることを、念頭に置いた教育なのです」(p.37) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「数学の公式、理科の法則、国語の文学作品など、すべて過去の貴重な文化遺産であり、そこに触れることで、考え方・感じ方など、人間としての基礎的な柱や骨格ができます。これらは、教科を通して教科書を用いて、学んでいきます」(p.48) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「一方で(略)現代社会は揺れ動いています。流動してやまない社会に立ち向かうには、立ち向かうだけの力量がなくては、流されるだけになります。学校だけではない、教科書だけではない、社会という巨大な生き物に向かっていかなければなりません」(p.49) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「そこで、文部科学省は、このような社会に立ち向かう力の一つとして、探求的な力を育てるような、教育課程を作りました。(略)伝統文化を守りながら、現実に向かえる探求的な力を育てるという価値観と言ってもよいでしょう」(p.49) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
教科を学ぶことと、総合的な学習(探求・探究)とでは、実は学ぶ内容が違うということが書かれていました。
「教科と総合的な学習のねらいは、異なります。(略)総合的な学習は、そのような学問を背景とした内容の体系を学ぶと言うよりも、問題解決の仕方、探求の仕方を学びます。つまり内容ではなく、方法を学ぶのです」(p.50) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「新しい技術の登場や、社会がグローバル化するのに伴い、問題解決力や新しい課題を探求する力が、さらに重要になります」(p.51) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
ICTは学校をどのように変えていくのか?
続いてのテーマは、「ICTは学校をどのように変えていくのか」についてです。
第4章「AIと付き合う」を読み進めます。アメリカ・デンバーで見た「高校生の個人データを、計画・実行・評価の中でどのように活用するか」(p.94)について。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「学校の情報は、紙だけでなく、写真・音声・動画など、多様なメディアで蓄積して活用しています。このためには、デジタル化・ネットワーク化・クラウド化などが、有効である」(p.94) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「学習の目的が、成績の結果だけでなく、学習過程で発生する記録や資料や作品などを蓄積し、分析して、目的に近づける形成的評価のために使われるから」(p.94) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「形成的評価とは、学期末試験のような成績をつける目的の評価ではなく、どう改善すればいいか、という目標に向かって、知識や技能や理解を形成していくプロセスを評価することが目的です」(p.80) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「プロジェクトでは、何が正解かわからないことが多く、試行錯誤で進行する場合、そのプロセスが重要で、相談に応じて教員がアドバイスを与え、授業時間だけでなく、過程からでも相談する必要が生じる」(p.80)ため、どこからでもアクセスできる環境が便利。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「総合的な学習で、数人のグループで課題を探求する場合は、正解はないので、どのように探求したか、その過程が重要」(p.80)→資料や記録は、ポートフォリオとして残しておく(かつ、どこからでもアクセスできるとよい)。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
プログラミングを学ぶことの意味
小学校でのプログラミング教育のスタートを2020年に控えて、プログラミングについて、第5章「プログラミング的思考を身に付ける」に書かれていました。
音楽の時間で授業実践。「音楽の曲には、プログラミングの基本的な考えが、ほとんど含まれています。この授業では、「自分のイメージに合った曲に、編曲(デバッグ)しよう」がねらいでした。これは音楽であると同時に、プログラミング教育でもある」(p.101) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「プログラミングの考え方は、どこにでも存在すると言った方が、正確です。」(p.101) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「プログラミングでは、この通りでなければならない、ということはありません。(略)平凡なプログラミングの課題でも、その方法は、一つだけではなく、いろいろな方法があります。自由だから、自分のアイデアや考え方が活かせるのです」(p.102-103) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「自分のアイデアが活かせるから、面白いのです。それは、やさしいからではありません。難しくても、面白いのです。」(p.103)→このあたりを授業のねらいとして明確にもったプログラミングの授業をやりたいな(為田) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
第7章は「知識を構造化する」です。医者の診断と教育との比較がされていてわかりやすいです。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「思考ツールも、知識を構造化したり、因果関係を可視化したりする方法として役立ちます。可視化できる長所は、子どもたちが、その図を見ることによって、気付くからです」(p.157)。頭の中にある構造を外化して、可視化することで、頭の中の構造と対比する。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
頭の中の構造との対比で、同じところ異なるところを知れる。「知ることができれば、修正することができるので、学習効果が高くなる」(p.157)→知識構造の修正のために思考ツールを使っているケースは少なそう。思考補助となっているケースが多い?(為田) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
実際に、プログラミング教育でよく行われている正多角形の作図についての事例が紹介されていました。
第9章「学びに向かう力を身に付ける」を読みました。非認知能力に関わる事が書かれています。プログラミング教育から、学びに向かう力について考えるところが非常に興味深い。思わず、プログルで、簡単にいろいろ正多角形を書いた…。https://t.co/jIKWGfsjBL #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
プログラミング教育で正多角形の作図に挑戦。「正七角形は360÷7は割り切れないので、子どもたちから、「無理です、できません」という声が上がりましたが、プログラミングでは、分数の角度で入力できるので作図できることを発見」(p.200)して歓声が上がった。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「教科書では、割り切れないので、正七角形は課題に入っていませんでしたが、プログラミングでは可能です」(p.200)。教科書は、物差しと分度器を使える正多角形しか出ない。子どもたちは、できないと思っていたことができて歓声を上げる。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「プログラミング教育は、このような驚き、教科書を超えた課題への挑戦などが、大切ではないかと思っています」(p.200)→これだけではないと思うけれど、分度器や物差しでは描けない図形も存在していることを、シミュレーションできるのはいいと思う(為田) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「適当に角度を入力すると多様な図形を描くことができます。思っても見なかったような図形が出来上がる(略)どうしてこのような図ができるのだろう、と考えた時、数学の持つ深さに触れたことになります」(p.201)→この「どうして?」まで導くの大事(為田) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
「子どもたちが、どの教科や科目でもいいのですが、その中に包含されている、すごさ、深さ、そして美しさに気づき、感じることができれば、学びに向かう大きな力になるのではないでしょうか」(p.201) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月9日
学校と社会をつなげるために
最後のテーマは「学校と社会をつなげる」となっていて、そこから赤堀先生からの提言につながっていきました。
赤堀侃司先生の『AI時代を生きる子どもたちの資質・能力 新学習指導要領に対応』を読んでいます。最後の第10章「学校と社会をつなげる」に進みます。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月10日
「学校と社会は大きな違いがあります。学校には正解がありますが、社会にはありません。正解があるから、入学試験や期末試験が成立します。正解がなければ、成績をつけることも、選抜をすることもできません」(p.206) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月10日
「正解を知っている教員がいて、正解を知らない子どもがいて、教員から子どもたちに正解を伝えるという機能が、単純な授業と言えます。この機能は、学校で通用しても、社会では通用しません」(p.206) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月10日
「学校では、個人単位で評価されますが、社会では、組織単位(略)社会は組織で動き、組織で成果を出し、組織で評価されます。学校は、グループ活動であっても、成績は個人単位でつけるので、最後は個人の貢献度のような指標を使って、成績をつけます」(p.209) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月10日
「最近の学校でよく見られる協働学習の形態は、社会がモデルです」(p.209) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月10日
社会と学校を結びつける動きのひとつである、探究活動を行うとすれば、「教科書だけでは不可能です。決められた内容だけでは探求になりません」(p.214)そこで、図書館、インターネット、専門家へのインタビューなど外部の知識源へのアクセスが必要になる。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月10日
「アンケートをすれば、集計用に表計算ソフトが使えなければなりません、インタビューをすれば、コンピュータで文字を入力しなければなりません、調べたことを発表すれば、プレゼンテーションソフトが使えなければなりません」(p.214)→探究活動の道具としてICT #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月10日
賛成です。コンピュータ(ICT)を道具として使いこなす場を作ってあげることが必要だと思っています。
「AI時代を生きる子どもたちの資質・能力」への提言:1.学習内容を、関連づける 2.デザイン能力を、身に付ける 3.デバッグを、身に付ける 4.子どもの気付きを、大切にする 5.弱さが、生きる力になる 6.好奇心を、伸ばす 7.自分という核を、持つ(p.221-229) #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月12日
「3. デバッグを、身に付ける」のところ、本当に大事だと僕は思っています。「国語や算数などのテストでは、正解なら喜び、誤答ならがっかりすることが通例ですが、プログラミングの場合は、誤答の方が普通なのです」(p.224)という説明は僕にはしっくりくる。 #AI時代を生きる子どもたちの資質・能力
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年6月12日
コンピュータやプログラミングを道具として使うことで、試行錯誤が簡単にできるようになったことは、学びにおいて大きな意味を持っていると思います。文章作成、色塗り、プログラミングのデバッグ、プレゼンテーション、撮影、様々な麺で、推敲や試行錯誤が簡単になり、そうしたスキルを持っていることが、子どもたちのマインドセット、メンタリティにも大きな影響を持っていくだろうと思っています。
(為田)