武雄市「4~7月、反転授業実施大幅ダウン」(佐賀新聞 2015年10月19日)
10月19日付の佐賀新聞で「4~7月、反転授業実施大幅ダウン」という記事が配信されました。
www.saga-s.co.jp
佐賀新聞なので、佐賀県立高校の方かと思ったら、武雄市のスマイル学習の方でした。記事から抜粋します。
武雄市が取り組んでいる小学校の反転授業(スマイル学習)で、4~7月の実施率が、大幅に低下した。前年度の年間実績は算数、理科とも65%前後だったが、本年度はいずれも30%台に落ちている。市教委は、年度当初の授業展開の難しさや、大規模校でタブレット端末の設定に時間がかかったことを要因とみる。一方で予習の動画教材に問題がなかったかどうかを把握する調査を始めた。
昨年の年間実績と4~7月の実施率を比較して、「こんなに下がっている」と書いているのですが、これはちょっと比較としてどうなのかと思っています。記事中に、市教委のコメントが出ていて、「年度当初は学級づくりを優先するし、授業も児童の実態に応じて展開するので企画通りに進まないことも多い」と書かれています。実際に、反転授業については学級がきちんと落ち着いて授業ができるようになって、家庭で動画をみることもできるようになって、それで初めて効果を発揮するのではないかと思います。実際に教室で教えたことがなくとも、形成したばかりのグループに何かをさせる前に、アイスブレイクをしてチームビルディングをして…というのは、どんなグループでもしていることなのではないかと思います。
せめて、昨年の4~7月の実施率との比較はできなかったのかな、と思いました。
それとやはり気になるのは、実施率以外にどんなKPIを設定しているのかということです。できれば、アンケートのような主観的なものでなく、定量で客観的な指標があればいいと思います。例えば、家庭での学習状況とか、小テストの無答率の変化とか、授業中の質問件数やディスカッション回数など、数値化しようと思えばできるものもあるのではないかな、と思いました。
どんな目的で導入していて、どんな指標を記録しようと考えていて、そこまで取材して新聞記事にしてくれたらいいのに、と思いました。そうでないと、読者側としても判断ができないですよね。武雄市教育委員会、インタビュー取材したいです。きちんと、目的とKPIと現状を並べて評価したいです。先頭に立ってやっているからこそ、こうしたことをしっかりオープンにしていくことは非常に大切だと思います。
佐賀県立高校2校がスクーを導入
同じ10月19日に、スクーのオンライン動画学習サービス「schoo WEB-campus」が佐賀県立有田工業高等学校、鳥栖商業高等学校の2校で、3年生の希望者向けに活用されると発表しました。
佐賀県の県立高校では、1人1台の学習用PC(タブレット型PC)の導入がされています。それを使って、スクーのコンテンツを利用できるようになる、というのは非常に素晴らしいな、と思いました。
教育現場でのIT活用を実践する中で、すでにExcelなどのソフトやプログラミングの基礎を学習した生徒のITスキルをさらに高めるために、スクーのオンライン動画学習サービス「schoo WEB-campus」が取り入れられることになりました。
リリース内で以下のように書かれていますので、ITスキルやプログラミングを学ぶ教材とする、ということでしょうか。
www.atpress.ne.jp
こうした民間のコンテンツが学校に入ることで、学校が提供できる授業やカリキュラムが多様になることはいいことだと思っています。民間のコンテンツを使ってみて、「やはり先生たちが授業をする方がいい」と判断をすることも含めて、チャレンジをすることがまずは大事だと思うからです。
それでも、武雄市の例と同じように、ここでも、「何を目的としてスクーを導入したのか」をしっかり佐賀県教育委員会は発信してもらいたいと思います。
(為田)