教育ICTリサーチ ブログ

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ICT×美術教育 #13: 写真の表現方法について説明する

 フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。
 今回は、PowerPointを使って、ポスター制作やコマ撮りアニメ制作などで写真撮影をする際に、写真の表現方法について説明する教材作りを紹介します。

写真撮影のときに考えるポイント

 児童生徒の多くは、デジカメ・iPadスマホなどで写真撮影の経験があり、機器の使い方には慣れているかと思いますが、撮影する際のポイントまでは意識していません。撮影する際のポイントを説明してあげることで、映像表現の幅を広げる機会となるかと思います。

  • 被写体に凝る(何を撮るかを考える)だけではなく、カメラの視点(アングル)を意識するといいでしょう。同じ被写体でもアングルが異なることで見え方がまったく異なることを、事前に説明しておくといいでしょう。f:id:ict_in_education:20160118162701p:plain
  • 被写体の範囲を意識してもらいましょう。ロングショットの場合と、クローズアップの場合で、どんな違いがあるかを質問して、表現の違いを理解させるとよいかと思います。f:id:ict_in_education:20160118162737p:plain
  • 撮影する場所によっても、見え方・印象が異なることを提示して、撮影場所や背景にも意識させるようにしましょう。f:id:ict_in_education:20160118162804p:plain
  • 同じ場所でも、背景として写り込む要素によっても印象が変わります。下の5枚の写真を見せて、この女子生徒が通う学校はどんな所かを考えるというアクティビティをしてみてもいいかもしれません。その際に、背景に何が写っているかによって、どのように感じられるのかを比較してみましょう。ビルが背景に見えると都会とか人が多くいそうという印象になります。土手の草が背景だと自然がたくさんあるところという印象になります。橋が背景に見える写真だと、「川が近くにある」というふうに感じられるかも知れません。f:id:ict_in_education:20160118162829p:plain
  • 被写体、要素、アングルによって、方向を感じさせることもできます。この方向を利用して、矢印が向かう方向に空間をあけた構図にしたり、その方向に別の要素が入るようにすることができます。例えば、ポスターを制作する際に写真を使うとき、写真で方向を感じさせて、その先にキャッチコピーなどを配置したりすることもできます。f:id:ict_in_education:20160118162855p:plain

写真加工のときに考えるポイント

 撮影した写真を加工するときに、どのような表現方法があるかを見てみましょう。今回は、PowerPoint2013上での写真加工を想定したものを紹介します。
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  • 色の加工やアート加工については、加工の作業自体が楽しくなって、コンセプトも何もなくただ面白いから加工したということになることもあります。ワークシートなどに事前にコンセプトをきちんと書かせたり、子どもたちに作品の相互評価をさせるようにして、評価基準を予め伝えておくことで、加工自体の面白さに寄ってしまいがちになることを防ぐことができます。f:id:ict_in_education:20160118162920p:plain
  • トリミング(切り取り)で、写真撮影時に写り込んでしまった不要要素をカットすることができることを紹介します。この機能は、既に知っている子も何人かいるかとは思いますが、写真撮影前に紹介してしまうと、背景に対しての意識が薄れてしまうので、撮影後に紹介する方がよいでしょう。f:id:ict_in_education:20160118162937p:plain
  • トリミングを、表現の一つとしても考えることができるということを紹介します。同じ写真でも、トリミングの仕方によって、写真の雰囲気が変わるということを説明し、それぞれトリミングされた写真がどんな印象かを子どもたちに質問して、表現の違いを理解させるとよいかと思います。f:id:ict_in_education:20160118162957p:plain


 写真を使った作品制作は、写真加工制作、ポスター制作、コマ撮りアニメ制作など、さまざまな制作があります。上記のような基本的な知識を事前に説明することで、表現の幅を広げることができるかと思います。


(前田)