2023年10月5日に静岡サレジオ高等学校を訪問し、吉川牧人 先生が担当する高校1年生フロンティアコースの歴史の授業を参観させていただきました。今回の授業のテーマは「知育菓子(R)を使った歴史の立体表現」で、「普段画像で見たり想像したりしながら学んでいる歴史の場面を、クラシエ株式会社の知育菓子(R)を使って立体的に制作することで学びを深めよう」と吉川先生は授業の目的を生徒たちに説明していました。
今回の授業「知育菓子(R)を使った歴史の立体表現」は、3コマで行われます。1コマ目で内容を企画・デザインし、2コマ目で知育菓子(R)を使っての制作、3コマ目でこの活動全体をテーマや制作の意図をアウトプットするために動画編集と発表を行います。
今回の授業は2コマ目で、前時にグループで作った企画にそって、歴史の場面を制作していきました。
制作する歴史の場面は自由に選べます。各グループで、ナポレオン戴冠式やリンカーンのゲティスバーグ演説などの教科書に書かれている歴史の場面や、ジョルジュ・ビゴーが日清戦争前夜を描いた「魚釣り遊び」の風刺画などを企画していました。また、アヘン戦争の国と国との関係モデルなど、いろいろな歴史的な出来事や資料などを表現する企画を作っているグループもありました。
クラシエの知育菓子(R)である「ねりきゃんワールド」と「おえかきグミランド」が1つずつ全員に配布されていて、これらを自由に使って制作をしていきます。
生徒たちが制作しているテーブルの中央には、資料集が開いていることもありました。歴史を立体表現しようとすることで、より広く深く知ろうとするモチベーションが生まれ、結果的に資料集をはじめとする教材により親しむことに繋がっているように思いました。
ビゴーの「魚釣り遊び」の風刺画を制作しているグループは、Chromebookで画像を検索して、制作していました。資料集など紙媒体でも見ることができる資料もありますが、デジタルで見ることによって、拡大して細かいところを見ることができるという利点もあります。
生徒たちが制作している間、吉川先生は教室を回って、各グループの状況を見ていました。制作の状況だけでなく、どこに着目して制作されているのかなどをチェックすることで、生徒たちの歴史への理解を手助けすることにも繋がると思います。途中で、生徒たちに問いかけをしたり、生徒たちから質問を受けることもありました。
アヘン戦争のモデルを作っていたグループは、アヘン戦争の様子を表すだけでなく、イギリスと清とインドの3カ国で何がやりとりされていたのかをモデル図でも表現するために、「お茶」を作ったり、「アヘン」に見立てたお菓子も用意していました。
モデル図を作ろうと思うと、情報を自分たちで整理しなくてはなりません。一人の生徒が「清からイギリスに行くのって何でしたっけ?」と吉川先生に質問すると、「何だっけ?」と吉川先生がグループ全体に問い直します。みんなで資料を見直して、「銀じゃない?」と情報を見つけると、吉川先生は「そうだね、銀が清からイギリスへ、だったね」と確認をします。こうして調べたり確認したりしながら、モデル図作りが続いていきました。
この授業の制作過程は撮影しておいて、次の時間に動画として編集して発表します。そのため、各グループ1人ずつスマートフォンを使って制作中の様子を写真と動画で撮影していました。
撮影が終了したら、みんなで作品を分解してお菓子として食べました。よくできている作品もたくさんありましたが、あっという間に解体されて食べられてしまいました。生徒たちは、さっきまで歴史の場面の一部だったお菓子を食べて、「ふつうに美味しい」と笑っていました。
もったいない感じもしましたが、「楽しさ」と「美味しさ」と「学び」がセットになったような授業で、これもまたおもしろいと思いました。
No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp
(為田)