フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。
今回は、絵を描くか写真撮影をしたものを、PowerPointでキャッチコピーと組み合わせてポスターを制作する授業を紹介します。以前紹介した際は、絵または写真は共通のものを使用して、キャッチコピーだけを児童たちに考えてもらうという授業を紹介しましたが、今回は、その逆パターンです。キャッチコピーは共通のものを使用して、児童たちには、絵を描いてもらうか写真撮影をしてもらいます。
同じ言葉でも、人によって捉え方や意図することが異なるということを利用して、キャッチコピーが共通でも絵や写真が異なるだけで、印象が変わることを理解したり、表現の違いや考え方の違いなどを楽しむ授業内容にすることもできると思います。また、写真や絵の表現の方にフォーカスを当てて、キャッチコピーを活かした表現ができているかという観点でのディスカッションなどもできるかと思います。
授業前準備
- ポスターのサンプルを集めておく。
- ワードアートで、共通で使用するキャッチコピーを作成し、任意の場所に配置する。(テンプレートとして使用)
- 絵を描かせるのか、写真撮影させるのか決めておく。
授業の流れ
- ポスターのサンプルを見せて、どんなポスターのパターンがあるか、写真または絵のパターンがあるか、キャッチコピーとのサイズ感や構成はどんな感じか、などを提示・説明する。
- 共通素材となるキャッチコピーを発表して、キャッチコピーからどんなことを感じるか、どんなことをイメージするか、「春」からどんなことを考えるか、「一生に一度」ってどんなことを想像するか、言葉から児童生徒がイメージすることを聴き出して、全員で共有するようにする。
- 写真撮影をする場合は、写真の表現方法について説明する。(参考:ICT×美術教育#13:写真の表現方法について説明する)
- 絵を描く。または写真撮影をする。
- 絵の場合はスキャナで取り込む。写真はパソコンにつないで取り込む。
- PowerPoint上に、絵または写真を挿入し、色や明るさなど調整が必要な場合は調整する。
- キャッチコピーの書式や位置を調整する。
- 鑑賞会をする。
最後の鑑賞会では、どういうコンセプト・テーマで制作したのかを発表してもらいましょう。似たようなテーマの作品を並べて、同じテーマでも表現の仕方が異なることを感じられるようにしたり、似たような写真・絵でも、テーマが異なることを指摘したり、キャッチコピーの書式の表現が同じでも、そこに込めた想いは異なることを指摘したりして、見た目だけではない多様性が感じられるようにすると、おもしろいと思います。
作品サンプル
入学式をイメージした作品
卒業式をイメージした作品
これから1年間みんなで力を合わせて頑張ろうと決意表明を表した作品
親友とこれからも仲良くしようという誓いを表した作品
(前田)