2017年6月21日に、山形市小学校教育研究会のメディア教育部会の研修会に参加させていただきました。このときの研修会のテーマは、「プログラミング教育」で、山形市立出羽小学校の岩城豊 先生が講師でした。研修の内容としては、先生方にプログラミング教育について、なぜ求められているのかという背景を説明し、その後で一人1台のタブレットを使ってViscuit、Scratchなどを実際に使ってもらっていました。
岩城先生のプレゼンテーションは、PCの画面だけでなく、タブレットの画面を実物投影機で映して、操作するところを見せたりしていました。意図した効果ではなかったかもしれませんが、操作している手も見えることで、操作している様子がわかりやすくなる効果があるように思いました。参加者の中には、「プログラミング教育ってどんなもの?」という先生方も多いようだったので、何をしているのかわからないのではなく、指でどこを押しているのか、ということなどがわかることは意味がありそうだと思います。
一般的に、先生方の研修で特徴的なのは、概念的な説明をしている段階から実際に操作をしてみる段階になったときに、ぐっと集中力が上がることだと思います。今回の研修も同様でした。先生方が自分で操作をし始めるとすぐに、「うちのクラスの子どもたちは、こういうの好きそう」「こういう絵を描きそう」「この単元でやってみたらおもしろそう」とどんどん現場でのアイデアにつなげていく声が会場のあちこちから聞こえてきました。
最初にViscuitを体験してもらいました。メガネを使って動きを設定するところも、楽しそうにいろいろな絵を描いていました。実際に絵が動くようになると、先生たちもうれしそうです。こうして「自分で絵を動かすことができる」という体験、「動いた!」という体験、「思った通りに動かないけど、直せた!」という体験、そうした一つひとつはひとりで勉強するのは大変で、こうしたハンズオンの研修をすることで、みんなでわいわいやりながら乗り越えていく方がいいのかな、と思いました。
実際、このViscuitを使ったパートから、参加している先生方の雰囲気はガラリと変わったように思います。「とりあえずやってみましょう。だめになったら直しましょう。」という体験を先生も体験しておけるといいですね。
続いて、Scratchを体験しました。Scratchでは、「算数の授業の中で使うならばどのように使えるか?」ということで、正多角形を書くプログラムを作ってみました。角度が何度になればいいのだろうか、ということを考え、ブロックを組み合わせていきます。そして、プログラムを実行します。ネコが多角形を描いてくれますが、回転の角度の設定が違うと、きちんと正多角形にはなりません。プログラムを実行し、直し、また実行し、直し…その途中で、「回転の角度の設定を何度にすればいいのか?」と計算を紙に筆算を書いてやってみる先生。
その様子を後ろで見ていて、「まさしく、子どもたちが同じようにやっていますよ」と言うと、「こういうのだったら、楽しんでできるかもしれない」と言っていました。
一人1台なくても、グループで作業をして、みんなで回転する角度を話し合いながら考えてもらってもいいでしょう。正三角形→正方形→正五角形→正六角形→…とだんだん形を難しくしていくとおもしろいです。途中からよくわからなくなります。そこで、みんなで話し合うきっかけになると思います。
紙で書くよりも、試行錯誤をするサイクルが速くできるので、そうした特性を念頭に置いて、授業の中に組み込むとおもしろいのではないかと思いました。
先生がScratchを前に映して、最初はきちんと正多角形が描けないプログラムにしておいて、それを教室全体できちんと描けるように直す、という方法をとってもおもしろいかもしれません。
その他にも、岩城先生は、プログルやOzobotの紹介もしていました。こうして、さまざまな方法や情報があるのだ、ということが、市内の研修会でどんどん広がっていくといいと思いました。
proguru.jp
特にOzobotは、「子どもたち、これ絶対好き」と言う先生方が多かったです。いろいろな実践が出てくるといいな、と思います。
研修会から、参加した先生方がそれぞれの勤務校に情報を持ち帰って、それぞれの学校で実践、というのはそう簡単ではないことは理解していますが、この研修会が最初の一歩になって、山形市でのプログラミング教育がどんどん広がっていけばいいな、と思いました。
(為田)