2018年度が始まる前に、東京書籍株式会社 教育文化局 教育事業本部 ICT第一制作部の清遠和弘さんを訪問しました。そこで、東京都福生市の小学校3年生が、凸版印刷のアダプティブラーニングシステム「やるKey」で学んだ履歴を見て、対談を行いました。
対談の様子をレポートする前に、福生市でどのような背景でやるKeyを使って学んでいるのか、また、今回対談のときに見ていたデータを知るための背景事情として、やるKeyがどのように問題を出し分けているのかのシステムについて紹介します。
福生市で算数がどう学ばれているのか?
東京都福生市では、2017年9月に、市内の小学校全7校の3年生と教員向けに1人1台のiPadを貸与しました。福生市教育委員会の川越孝洋教育長は、この施策の最大の目的として、「学習者の学力向上」を挙げています。学習内容の定着を図るために、一人ひとりに適した問題を自動で出し分けるシステムをもつ、凸版印刷のアダプティブラーニングシステム「やるKey」を導入することとなりました。
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やるKeyを実際に授業に使ってみるトライアル授業と、先生方向けの研修会を実施し、9月より小学校全校での利用を開始しました。福生市では、やるKeyをインストールし、算数の授業や日々の宿題などに活用していました。今回、その学習履歴を、福生市教育委員会のご協力を経て、東京書籍の清遠さんにお見せして、コメントをいただく対談が実現することとなりました。
やるKeyの特長:つまずきポイントと◆ドリル
凸版印刷のアダプティブラーニングシステム「やるKey」の大きな特徴のひとつとして、レコメンド機能があります。やるKeyは、東京書籍の教科書をベースにして、それぞれの問題に「間違えるきっかけになる」と思われる“つまずきポイント”を独自に設定しています。学習者が問題を間違えるたびに、それぞれの児童が何につまずいているのか、“つまずきポイント”を特定するように設計されています。
具体的には、問題を間違えたら、少し難易度を落として次の問題を自動出題します。具体的には、“つまずきポイント”がいくつか減った問題を出題します。“つまずきポイント”が少し減った問題ならば解けるか、正解するかしないかで確認するようになっています。
先生方が子どもたちの解答用紙を採点しているときにしている、きめ細かい指導を、できるだけデジタル上で再現するために、こうしたレコメンド機能を開発しました。
やるKeyでは、いくつかのドリルを組み合わせてレコメンド機能が働きます。最初に出題されるドリル「かくにんドリル」では、全員が同じ問題が出題されますが、そこからは正答・誤答に応じて、「オススメドリル」と名付けられたドリルが自動出題されます。一人ずつに違うオススメドリルが出題されます。1問に複数のつまずきポイントが設定されていて、間違えるたびに少しずつつまずきポイントが少なく設定されている問題が出題されていき、どのつまずきポイントにつまずいているのか、やるKeyが特定するようになっています。
どこがわからないのかがわかったら、そのポイントを復習するための「◆ドリル」と呼ばれるドリルが出題されます。◆ドリルは、やるKeyのドリルで自動出題された問題を間違え続けたときに特定された、学習者のつまずいているポイントを克服するために出題されるドリルです。この◆ドリルは東京書籍の教科書に準拠したものになっています。
今回の対談では、この◆ドリルが福生市の小学校3年生にどれだけ出題されたか、どの単元・小単元の◆ドリルが出題されていたのか、その履歴データを見ながらの対談となりました。
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No.2からは、対談の様子をレポートします。
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(為田)