2019年7月14日にびわ文化学習センター リュートプラザで開催された、長浜青年会議所主催のイベント「Vision16 Go To The Future!! 〜未来への扉をひらこう!!〜」に参加しました。
午後のプログラムは、パネルディスカッションでスタートしました。テーマは「変化の激しいこれからの社会に出ていく子ども達を育てていくために、学校は、企業は、地域は何をしていくべきか」。
登壇者は、上野賢一郎 氏(財務副大臣)、神野元基 氏(COMPASS)、讃井康智 氏(ライフイズテック)の3人と、モデレーターを浅野大介 氏(経済産業省教育産業室)が務めました。東京でもなかなか見られないメンバーでのディスカッションでした。
はじめに
最初に、浅野さんから「未来の教室」実証事業の話も含め、今回のイベントで体験してもらっているEdTechが教育をどのように変えていくのか、また経済産業省、文部科学省の動きなどについての紹介がありました。
浅野さん「今回は、未来の教室の仲間たちがここに集まっています。学び方も、世界も、どんどん変わっていきます。いますぐそこにある未来の社会で、日本人が生き残っていくために、政府として文部科学省も経済産業省も、EdTech推進議連のみなさんも、一緒に考えています」 #Vision16GoToTheFuture
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) July 14, 2019
浅野さん「子どもの頃から、大人と同じ環境を使ってもらいましょう。一人1台のパソコン、スマートフォン、高速インターネット、クラウドの活用。これらが、どこに住んでいても自分で学び続けていくためには必要。これからは5万円くらいで十分な性能のパソコンが手に入ります」 #Vision16GoToTheFuture
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浅野さん「COMPASSのQubenaを使って、新しい数学の授業のスタイルが可能になっている。チャイムがなったら、自分のペースで一人で学習を始める。しかも、速く学習が終わる。小学校でも凸版印刷のやるKeyを使って、同じことができるようになっている」 #Vision16GoToTheFuture pic.twitter.com/A1V4J5qG2q
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浅野さん「仮説としての時間の有効活用モデルができてる。時間ができてはじめて、外に出られるようになる」 #Vision16GoToTheFuture pic.twitter.com/MS0cvrln59
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浅野さん「ライフイズテックは、プログラミングと地域社会課題をやっている。プログラミングは社会課題を解決するための道具。先生だけで教えられないのであれば、大学生がサポートをして教える。そうした形を作っている」 #Vision16GoToTheFuture pic.twitter.com/BGxmNNJBE4
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浅野さん「観光ビッグデータを使ったプロジェクトもやっていた。これも、長浜の観光ビッグデータを使ったプロジェクトをすることもできるかもしれません。こうしたさまざまなプロジェクトが動いています」 #Vision16GoToTheFuture
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浅野さん「学びはどんどん変わってきている。経済産業省、文部科学省だけでなく、企業も地域も含めて、社会を変えていきたいと思っています」 #Vision16GoToTheFuture
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パネリストからの自己紹介
ここから、パネリストが一人ずつ自己紹介をしていきました。最初は、COMPASSの神野さんです。COMPASSは、「未来の教室」実証事業において、千代田区立麹町中学校で、AIによって個別最適化学習を実現する、人工知能型タブレット教材「Qubena(キュビナ)」を使った授業を行いました。
神野さん「人工知能が人間を超えると言われている2045年を考えると、いま学校で学んでいる子たちが社会に出ている時代。そういった時代のための教育を始めたのがQubena。個別最適化というのが上野さんと浅野さんのおかげで社会の中心に出てきたと思う」 #Vision16GoToTheFuture
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神野さん「地域に住んでいる子たちには、受験の倍率が低くなってきていて、そこから急に大学受験というのに対応できない。そうした子たちにも個別最適化した教育を届けたいと思う」 #Vision16GoToTheFuture
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続いて、ライフイズテックの讃井さんです。ライフイズテックは、2010年にスタートした、中学生、高校生向け IT・プログラミング教育サービスです。「未来の教室」実証事業では、福岡県飯塚市・嘉麻市・桂川町と連携して、地域の中学生・高校生を対象に「課題解決×IT・プログラミング」をテーマとした実践的な学びのプログラム“Creative Hack for Local in 飯塚市・嘉麻市・桂川町”を実施しました。
讃井さん「ゲームや映像や音楽を、使う側ではなく、創る側にまわってもらうよう、プログラミングを学ぶITキャンプを実施。それと、そういった場所に行かなくても自宅や教材でプログラミングを学べる教材作りをやっている」 #Vision16GoToTheFuture
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讃井さん「子どもたちがプログラミングなど最先端の学びに触れられるのは東京に集中しているのが現状。学びの場を全国に広げて、教材をどんな家庭でも使ってもらえるようにしたいと思って仕事をしている」 #Vision16GoToTheFuture
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最後に、財務副大臣の上野さんです。長浜は地元であり、地域の教育環境などについても知っているからこそのコメントもされていたように思いました。
上野さん「EdTech推進議員連盟を2年前に立ち上げ。当時、自民党の経済産業部会長をやっていて、その際に、神野さんから「中学校3年間の数学の授業を7ヶ月で終わらせられます」と話を聞いてから、COMPASSを訪問した」 #Vision16GoToTheFuture
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上野さん「かつて日本は世界最先端を走っていたが、いまはそうではない。日本が世界の中で生き残る、国民の暮らしの満足度を高めるために、どういう教育が必要なのか。地方で生まれた子でも、素晴らしい環境で学び、世界で、また地元で活躍できるようにするのが大事」 #Vision16GoToTheFuture
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COMPASSの実証事例
ここから、「未来の教室」実証事業での実際の話について対話をしていきました。
浅野さん「千代田区立麹町中学校でのQubenaの実証事業について、深掘りしていきましょう。カフェテリアで授業をして、先生方は教える人ではなく、メンタリングに徹する形でしたね」 #Vision16GoToTheFuture
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神野さん「最初の課題は、WiFiをどうするのか、ということ。それをクリアしてから、先生方への教材の使い方。ICTってよくわからないし…と二の足を踏むこともあった。時間が経って「この子たちが、こんなに勉強するの」ということに先生方が気づいて、使われるようになった」 #Vision16GoToTheFuture
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浅野さん「WiFiについては、LTE回線を使って実施する方法もありますね」 神野さん「そうした形でやっていくと、家庭に持ち帰って宿題をすることもできると思います」 浅野さん「教育委員会の方にはそうしたオプションもあるというのをお伝えしたい」 #Vision16GoToTheFuture
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上野さん「低価格のコンピュータを調達することが重要」 浅野さん「調達するときには、長浜市だけでなく、米原市なども合わせて、大規模に調達するということもありかと思う」 #Vision16GoToTheFuture
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神野さん「Qubenaを使うと、速めに学習を終えて、次の学年に進むという子も出てきた。文部科学省に訊いてみて、指導要領は最低限学ぶことを示しているので、そうした学び方ができることがわかった」 浅野さん「学び方については、自治体の創意工夫が行なわれればいい」 #Vision16GoToTheFuture
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神野さん「学校の先生と話をするときが、いちばん同じ方向を向いて話せる人たちだな、と思っている。先生方がかなえたい教育と、我々のテクノロジーを使った教育が、対立しているように思われがち。でも、一緒にやっていくと、そういうことじゃなかったんだ、とわかる」 #Vision16GoToTheFuture
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神野さん「先生がやりたいことは、子どもたちに寄りそい、教えること。そのためにテクノロジーにサポートを任せると、そうした先生方のやりたいことが実現できることがわかる」 #Vision16GoToTheFuture
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浅野さん「テクノロジーにサポートされることで、先生方は一人ずつの学習カルテを細かく、正確に、簡単に、手にすることができる。個別最適化された学びを実現することができる」 #Vision16GoToTheFuture
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Life is Tech!の事例
続いて、ライフイズテックの地域の課題解決に取り組んだ実証についての対話です。
讃井さん「ライフイズテックでは、子どもたちが地域の課題をヒアリングして、それを解決するプロダクトを作った。中高生ならではの観点で、さまざまなアイデアが出てくる。自分たちでYouTube動画を作ったらかわいいのでは?というアイデアが出て、実現させた」 #Vision16GoToTheFuture
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讃井さん「課題解決のためのアイデアを模造紙とかで発表するのがほとんど。そうではなく、実際に映像を作ったり、リアルに地域の課題解決の当事者になるというのがいちばんのポイント」 #Vision16GoToTheFuture
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讃井さん「作りたいもの、調べたいものありきでやることで、子どもたちはどんどん学んでいく。自分の好きなものを中心におくと、自分の知識を得ることや、何かを創るというモチベーションになる」 #Vision16GoToTheFuture
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讃井さん「すべてを学校のせいにするのはやめよう、ということだと思います。学校と社会とでギャップがあって、そのギャップを埋めるのを学校にだけ頼るのではいけない。最後に取り残されてしまうのは子どもたち」 #Vision16GoToTheFuture
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讃井さん「先進国中、ITで物づくりを自信をもってできると答える子たちの比率は最低。学校以外の地域社会も教育を担っていく必要がある」 #Vision16GoToTheFuture
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讃井さん「地域の課題は、地域の大人の方がずっと知っている。地域の大人の方と、ITスキルをもっている若い人たちがタッグを組むことで、課題を解決することができる。若い人たちには、課題解決もエンターテイメントになることもある、楽しく課題を解決することもできる」 #Vision16GoToTheFuture
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讃井さんが最後に言っていた、「地域の課題は、地域の大人の方がずっと知っている。地域の大人の方と、ITスキルをもっている若い人たちがタッグを組むことで、課題を解決することができる」というのは、本当に重要なことだと思います。
まとめ
長浜青年会議所は、地域の地盤をもって、地域のことをよく知る人たちが中心となって活動をしています。だからこそ、公教育を外からサポートし、地域と繋げていくことにつながればいいと思いました。
上野さん「最先端の教育を長浜・米原で実現するということを、今回の主催者である長浜青年会議所の皆さんに期待したい。学校の先生方が忙しいので、学校に入ってお手伝いしたり、学校の外で機会をつくる、というところで、力を発揮してもらいたいと思う」 #Vision16GoToTheFuture
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浅野さん「経済産業省がなぜこんな仕事をしているのか?教育には、学校教育以外に、塾や教室など民間教育がある。民間教育の人たちと学校教育の人たちが一緒にやらなければいけない。経済産業省は民間教育の所管官庁。」 #Vision16GoToTheFuture
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浅野さん「学校教育(文部科学省)と民間教育(経済産業省)、そして地域産業(経産省・農水省)が力を合わせなければならない。手の届くところに味方はたくさんいる。このシンポジウムを起点に、新しい教育を作っていきましょう」 #Vision16GoToTheFuture
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) July 14, 2019
短い時間ではありましたが、実証研究の成果とともに、今後の教育の方向性についても知ることができるパネルディスカッションだったと思います。
No.5に続きます。
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(為田)