2020年2月7日に、福生市立福生第七小学校にて開催された、EdTech研究発表会 及び コミュニティ・スクール報告会に参加しました。福生市立福生第七小学校の2019年度の研究主題は、「EdTech(教育×IT)を活用して、21世紀を生き抜く確かな学力を育む ~1人1台タブレット端末がもたらす新しい学びのかたち~」です。
公開授業の後で、体育館を会場にして、基調講演とシンポジウムが行われました。今回は、教育長挨拶と基調講演の様子をレポートします。
福生市教育長挨拶
福生市教育委員会の川越孝洋 教育長から、挨拶がありました。以下、メモを公開します。
- 今回の参加者は、福生市だけでなく市外の方も。また、遠く北海道や沖縄からも、来ていただいています。授業はどうでしたか?
- Society 5.0を生きる子どもたちにとって、ICTは必須。
- そのなかで、先生方の尽力で研究発表会が行われたことは、意義深い。
- ICTに使われるのではなく、学習者の学びを豊かにする実践を見せてくれた。
- ICTは、児童生徒にとって、教師にとって、使いやすく教育の質の向上につながるものでなければならない。
「子どもたちにとってICTは必須」であり、学習者の学びを豊かにする方向で、「児童生徒にとってだけでなく、先生方にとっても、使いやすく教育の質の向上へつなげる」という方向性を感じました。こうした方向性を、地域として共有することは非常に重要だと思います。
基調講演
続いては、情報通信総合研究所 特別研究員の平井聡一郎 先生による基調講演でした。タイトルは「EdTechによる学習者主体の学びの実現に向けて」です。以下、基調講演のなかで記録したメモを公開して、レポートとしたいと思います。
平井先生は、最初に参加者の皆さんにEdTechとはどういうものなのかを知ってもらいたいということで、自分のスマホやタブレットでQRコードを読み込んで、Mentimeterにアクセスしてもらい、「ICT活用と聞いて一言!」を書いてもらいました。
- Mentimeterにアクセスしてもらい、「ICT活用と聞いて一言!」
- どんな言葉が会場から書かれたのかをワードクラウドで見られる
- これがテクノロジー。これをアナログでやろうと思ったら…?
- テクノロジーによって、今まで思いもつかなかったことができるようになる。
- (学校でのICT活用について)「ホワイトボードの代わりだよね」という人がいるが、そのイメージは、「階段の代わりにエスカレーター」というような、ちょっと楽になるような感じ。実際にEdTechを使ってみたら、それはエレベーターだ。一気に行ける。
- できなかったことができるようになる。でも、それがあることを知らなければできない。
- Mentimeterは無料。知っていればできる。
- 新しいテクノロジーは、あちこちに転がっている。知ることで、今までできなかった新しい学びを実現できる。
実際に使ってみることで、どういうことなのかを理解することができたのではないかと思います。そのうえで、平井先生は、日本の教育はなぜかわらなければならないのかについて語ります。
- そもそも…「日本はいまと同じことをやっていたらジリ貧。」
- 働く人間が変わらなければ、構造改革などをやっていても無駄。
- これから日本を支える子どもたちの教育が、未来のカギを握っているということ。ここを握っているのは学校・先生方。だから、いろいろなことをやっている。
- 人口が1/3に減っていく日本を支えることになる。できるのか?
- 仕事を奪われないような子どもたちを育てることが必要。
- Future of Work
- 馬車→車へと時代が変わった。馬車に関わる仕事は全部なくなり、車に関わる新しい仕事が出てくる。
- AIやロボットなどに代替可能性が高い職業
- 子どもたちが身につけなければならないスキル
- コミュニケーション(話すだけでなく、読解や書く、も含む)
- クリエイティブ(物を作り出す)
- スペシャリティ(特殊な技能。獲得するにはスキルも意欲も必要。課題解決能力が必要)
- これらのスキルは、今の学校で育ちますか?
- 他に転用できる学びが必要。だから、深い学びを求めていく。
- 勉強→学びへ
- 学校の学びをワクワクするものに戻しましょう、というもの。
こうした背景を踏まえて、では国がどんなことをしようとしているのか、に話が進んでいきます。
平井先生は、基礎と活用は教科ベースで学び、それを土台として総合・合科ベースの探求へと進むピラミッドを示して説明をしました。
自身も学校現場でプログラミングを教え、現在も日本全国で先生方に対して講演をしている平井先生だからこその、先生方へのメッセージだと感じる基調講演でした。
No.4へ続きます。
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(為田)