2021年4月17日に、東北大学大学院情報科学研究科教授である堀田龍也先生からお声がけいただき「第51回情報リテラシー連続セミナー@東北大学」登壇させていただきました。
堀田先生には以前からさまざまな場面でご指導をいただいていますが、最近では『学校アップデート』、「1 人 1 台環境導入直後にもすぐ使えるG Suite for Education 授業・校務素材集」でもご一緒させていただいています。
当日にお話したことのひとつとして令和3年3月12日「GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等について(通知)」について触れました。いわゆる「3月12日通知3点セット」のひとつで、文部科学省の「GIGAスクール構想の実現について」HPからアクセスすることができます。
この通知は、国費による補助で整備されたGIGA端末を確かに利活用して子どもたちの学びを深めるために必要な事柄が具体的かつ網羅的に示されています。文章を一つ一つ拾っていくと、学校や教育委員会が念頭に置いたり確認したりすべき事項が浮かび上がってきます。
例えば
- クラウド活用が基本
- 指導者用端末について必要な台数を確保
- 端末の持ち帰り。学校や家庭以外の様々な場所や場面での活用も踏まえる
- 適切な理由を説明しないままに端末利用を制限しない
- 学校におけるICT環境を最大限積極的に活用していくように留意する
- 授業目的公衆送信補償金制度の経費は学校設置者において必要な措置を講じるよう配慮
などなどです。
中でも「指導者用端末について必要な台数を確保」が明言されていることは、学校現場の先生方が求めている整備に直結する内容で、これがしっかり整備されていない自治体が少なくない実態があります。
今回のGIGA国費投入は、確かに児童生徒の端末にまつわる整備であり、指導者用端末には利用できません。しかし、本当は各自治体に財源は渡されているのです。それが「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」です。2018年度から2022年度まで、単年度で1,805億円の地方財政措置が行われていて、現在も継続しています。GIGAスクール構想の衝撃が大きすぎて忘れられがちですが、もともとはこの措置で全国のICT環境を整備する予定だったけれど遅々として進まない、地域格差が大きくなっているなどの理由からGIGAがスタートするに至り、この地財措置を前提とするが故に特に児童生徒の端末と超高速ネットワーク整備に力を入れたのがGIGAスクール構想だと言えます。
いわゆる5か年計画で示された地財措置は
- 指導者用端末(授業担当1人1台)
- 大型提示装置・実物投影機(普通教室1台、特別教室用6台 実物投影機は小・特別支援学校に)
- 統合型校務支援システム(100%整備)
- ICT支援員(4校に1人)
- 各教科の学習活動に共有で必要なソフトウェア
などに利用できるものです。
学校現場で先生方のお話を伺っていると「GIGAだけでなくこれが必要です!」と強くお話しになるものばかりです。
国としては、5か年計画の継続と3月12日通知によって「これまでも、そしてこれからも、GIGAとは別枠でお金を出しているのだから、ちゃんとやってくださいね」と言っているということになります。
地方自治体の財源不足は深刻度を増していて、様々な補助金や財政措置を利用しながらでないと生活インフラの補修などもままならないという実態もあることでしょう。しかし大昔から言われるように「子は宝」「教育は誰にも奪われることのない財産」です。国では子ども庁の新設など、国費をかける対象のプライオリティを見直し、子育て世代や子どもたちの将来に向けた投資に舵を切っているようにも見えます。GIGAスクール構想によって、もう立ち止まることは許されない事実の上にこの5か年計画の内容をかぶせて、関係各所を説得する材料にしていただければと思います。
(佐藤)