教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

まもなく入社から3年が経過。この1年強を振り返る。

 2018年6月にフューチャーインスティテュート株式会社に入社し、まもなく3年が過ぎようとしています。小学校で言えば上学年に、中学・高校で言えば新しい環境に進むタイミングということで、いろいろあったこの1年強を振り返ってみたいと思います。

 2020年4月には「学校アップデートー情報化に対応した整備のための手引き」が、さくら社から出版されました。私が転職する以前からお世話になっていた東北大学大学院情報科学研究科・教授の堀田龍也先生、東北学院大学文学部教育学科・教授の稲垣忠先生、宮城教育大学技術教育講座・教授の安藤明伸先生、弊社代表の為田裕行との共著で、まさにGIGAスクール構想による義務教育の1人1台端末や大容量対応の超高速ネットワーク整備が進められるタイミングでした。
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 多くの方々からご好評をいただき、この記事を書いている時点でもamazon学校運営カテゴリーでは14位と、なんともありがたいかぎりです。あれから1年。今年度は「GIGAスクール元年」と言われています。全国で先生方の利活用研修や授業実践が加速し、時代に対応した教育観や方法がどんどん広がっていくことになります。私たちも、子どもたちの「主体的、対話的で深い学び」の実現と先生方の「授業改善」のお手伝いを、これからも頑張っていきたいと思います。

 「学校アップデート」の執筆から世に出た時期は、諮らずともコロナ禍で休校が相次ぐなどしたタイミングでした。「学びを止めない」を合い言葉に、例え休校になったとしても、学校現場や教育委員会はできる限りのことをしようと奮闘しました。準備ができたところは遠隔授業などにチャレンジし、そうでないところは既設のICT環境や来るGIGA端末などの活用を視野に手立てを考えることに力を注ぎました。
 リモートによるリアルタイム授業の実施などはネットニュースやテレビで大きく取り上げられましたが、先生方や教育委員会の努力は脚光を浴びるものばかりではありません。さすがに緊急事態宣言下では外部から人を招き入れることは難しいと判断した学校が多かったのですが、解除後からは各種研修などに積極的に取り組む学校や自治体が増えてきました。
 2020年6月1日から2021年6月17日までのおよそ1年間で、私が学校や教育委員会などを訪問(もしくはリモート)した回数はのべ122回でした。内訳は次の通りでした。

公立小学校 40回
公立中学校 20回
公立高等学校 1回
私立学校 44回(小学校、中学校、高等学校、日本人学校を含む)
教育委員会・センター 15回(ヒアリング、主催研修、研究会を含む)
市町村議会 2回(議員有志等の勉強会を含む)

 内容は「授業づくり」「授業支援システム」「教育用アプリケーション」「プログラミング教育」「デジタルドリル」「リモート授業」など様々でした。事例や機能の紹介だけでなくワークショップ、授業参観と助言、模擬授業、授業実践、講話、サポート、それらを組み合わせたものなど、クライアントのみなさんのニーズをヒアリングして実施しました。
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 報道されるような派手さはなくても、それぞれの現状とこれからを両にらみして自分たちや学校をアップデートしていこうとする先生方の意気込みはすばらしいものでした。これからも、こうした先生方の日々の研鑽をサポートしていきたいと思います。

 2020年12月には「1人1台環境導入直後にもすぐ使えるG Suite for Education 授業・校務素材集」が公開されました。東北大学大学院情報科学研究科・教授の堀田龍也先生にご監修いただき、学校現場の先生方の知見も取り入れたコンテンツ集です(G Suite for EducationはGoogle Workspace for Educationになりました)。
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 このWebサイトのコンテンツは、これから本格的に授業や校務でGoogleアプリを使っていく際のベースとして利活用でき、また、これらを参照することで、自分で教材を作成する際のアイディア出しにも使えます。現在はGoogle for Educationの「Google Workspace 素材・教材テンプレート」サイトからも参照できます。
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sites.google.com

 Google for EducationのWebサイトには日々のICT活用や授業づくりのヒントがたくさん詰まっていますので、本コンテンツと一緒にご活用いただければと思います。

 2021年度に入ってからは、東北大学の第51回情報リテラシー連続セミナーに登壇させていただいたり、引き続きさまざまな企業の教育ICT関連部門と協業したり、仙台白百合学園教育ICTアドバイザーの発展形として毎週常勤して小・中・高の先生方とご一緒させていただいたりと、広く活動しているところです。
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www.is.tohoku.ac.jp

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 「GIGAスクール元年」の今年度、学校は整備の段階から「日常的な利活用」の段階へとシフトしていきます。すでに取り組みが始まっている学校では、さまざまな「やらかし」が起きて対応に苦慮しているかもしれません。子どもたちや家庭、地域を巻き込んだルール作りに励んでいる学校もあることでしょう。コロナ禍への対応はもちろんですが、そもそも子どもたちの学びを豊かなものにするために、学校長や教育委員会公認のもとに自主的な勉強会を組織して取り組もうとしている学校もあります。それら一つ一つが「令和時代の学校教育の在り方」を具体化するための貴重な実践だと思います。
 「Help Schools/Education Become Future Readyー学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをする」の弊社理念のもと、これからも先生方とともに歩んでいきたいと思います。

(佐藤)