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スマートに学べる問題集「リブリー(Libry)」を提供する株式会社Libry CEO後藤匠さん インタビュー No.4(2021年3月22日)

 スマートに学べる問題集Libry(リブリー)を提供する株式会社Libryが、「2022年春、学習者用デジタル教科書機能をリリース!~「生きる力」を育むデジタル教材プラットフォームへ!~」というリリースを出しました。リブリーが、学習者用デジタル教科書の本格的な普及に向けた2022年春に学習者用デジタル教科書機能リリースについて、CEOの後藤匠さんにインタビューをしてきました。

リブリーの新機能(2)キャリアと学びの連携

 リブリーは、学習者である子どもたちが問題を解けるようになるように、なめらかにいろんな問題を出して、自己調整学習ができるようになっていく、という「学習の基盤を作ることができるのが強み」で、多くの学校に導入がされてきたと思います。それは新学習指導要領でいうところの「知識及び技能」の習得が当社の強みでありました。 その強みに加えて、2022年春のアップデート予定の新機能の中には、生きる力を育む3つの柱のなかの「学びに向かう力、人間性」を養うために、「キャリアと学びの連携」が入っています。デジタル教科書をベースにして学んだことを外とどんどん繋げていくことが進められれば、その先には「キャリアと学びの連携」が見えてくる、と後藤さんは考えています。

後藤さん 教科書が子どもたちの学びを、「学校」や「教科書」という閉じたものにしないで、もっと広がっていけばいいと思っています。当社が取り組もうとしているキャリアとの連携は、いま学んでいるものが、世の中でどう役立っていて、自分の人生とどう関わってくるのかがわかるように手助けする機能です。
この「キャリアと学びの連携」は、昔からやりたかった機能なんです。
学んでいる内容と社会との繋がりに、自分で興味を持ったり気づけたりする子たちだけでなく、自分たちでそれを見つけることができない子たちに、社会との繋がりを感じてもらいたい気づいてもらいたいと考えています。

 キャリアと学びの連携をリブリーで実現するなら、タグをどのようにつけるのかがポイントだと思います。すべての可能性にタグをつけられないし、たくさんの偶発的な出会いや環境要因なども考慮に入れなければなりません。膨大な数のタグをつけて、ロングテールに効いてくるように設計もできるかもしれませんが、そうなると結局、人がやるほうが速いようにも思えます。
 結局、人がやる方が速いと思われる「キャリアと学びの連携」の役割を先生がするための時間を作るのが、今までのリブリーだったと思うのですが…と正直に後藤さんに質問してみました。

後藤さん キャリアと学びを繋ぐ「強烈な原体験」を作るのは、なんだかんだ人だと思っています。ただ、子どもたちの状況に合わせた「一瞬」をテクノロジーは作り出せると考えており、それも子ども達のキャリアと学びを繋げるきっかけになると考えています。例えば、ゲームが好きな子が何気なく複素数平面の勉強をしているときに、実は3Dゲームの視点変更に複素数の知識が使われているのを知れば、その子にとっての複素数平面という領域がキラキラするものになるんじゃないかと思うんですよね。
それは、その子が「いまそれを勉強している」からこそ、その情報が輝くんです。その一瞬をデザインできるのが、テクノロジーだと考えています。
そうした瞬間を少しでも生み出せるように、先生たちにも子どもたちにも情報を提供して、トータルとして「勉強するのって楽しいかも」「僕でもできるかも」と、自己肯定感やワクワク感をもって大人になってもらいたいな、と思っています。

リブリーとしては、少しフェイズが進んだ感じがあります。今までもキャリアと学びの連携をやりたかったけど、それをやるために、「勉強って楽しい」と言ってもらえるように、なめらかに学びを変えていく活動をしてきて、全国のいろんな先生に使ってもらってきました。より使いやすいユーザー体験を創る点などやらなければならないことはまだまだありつつも、その次の世界観もやっと少し着手していくべきだな、というタイミングになってきたと考えています。

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 No.5に続きます。
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(為田)