スマートに学べる問題集Libry(リブリー)を提供する株式会社Libryが、「2022年春、学習者用デジタル教科書機能をリリース!~「生きる力」を育むデジタル教材プラットフォームへ!~」というリリースを出しました。リブリーが、学習者用デジタル教科書の本格的な普及に向けた2022年春に学習者用デジタル教科書機能リリースについて、CEOの後藤匠さんにインタビューをしてきました。
紙の教科書の限界と、デジタルだからできること
リブリーは、2022年春のアップデートで、学習者用デジタル教科書に対応します。デジタル教科書のプラットフォームをするにあたって、「紙の教科書でいちばん限界があると感じるのはどんなところですか?」と後藤さんに質問してみました。
後藤さん いちばんは画一的であるところですかね。すべての子どもたちに同じ情報しか提供できないですよね。もっと可変的であっていいし、それによって教科書がいろんな学びの基点になればいいなと思っています。教科書で十分に理解ができなかったなと思ったら、もっと丁寧な解説がされるといった具合で、まるでアコーディオンのように教科書から派生して、解説が伸び縮みしたって良いと思うんですよね。
また、学んだことをさらに深めようとすると、教科書の外に出て、学びを深める努力を学習者である子どもたちがやる必要があります。それって、子ども達にとって結構ハードルが高くて、ちょっと好奇心の火が灯っても、面倒になってその火が消えちゃったりするんですよね。
テクノロジーを使えば、デジタル教科書から、資料集や外部のWebサイトなど教科書の外側にも学びの世界を繋げられます。教科書の繋がる先を幅広く作ってあげられるのは、デジタル教科書ならではだと思います。
また、ただ繋ぐだけでなく、学習者の興味関心に合わせて、繋ぎ先を変えていくことも、今後やっていきたいところです。例えば、「宇宙に興味があるみたいだけど、この教科のこの単元って、実は宇宙にこういうふうに関わっているんだよ」という繋ぎ方ができると思います。
これは、いつ提示するかのタイミングと、その子が何に興味をもっているかを”知っている”ことが重要で、それはQRコードが画一的に印刷されているだけでは実現できません。テクノロジーで一人ひとりに適した情報を、適した形で、いろいろ繋げてあげたいと思います。
今のリブリーは、問題1問ずつに、「その問題を解くのに必要なことは何か」というタグがついています。リブリーが搭載している全問題の空間のなかを、タグに従って次の問題へ導いていくナビゲーションが行われています。
後藤さんが言っている、「これはどう?」とどんどん繋いでいくのは、リブリーがつけているタグがない世界に飛んでいくようなイメージかと思うのですが、何をもって単元などを繋げていこうと思っているのかを質問してみました。
後藤さん 外にあるコンテンツにリブリーのタグをつけるか、外部で定義されているタグをリブリーに翻訳するかのどちらかだと考えています。後者であれば、文部科学省の学習指導要領コードを使えればいいと思っています。リブリーのタグと学習指導要領コードは、考え方として近いものもあります。
リブリーのデジタル教科書から、リブリー自体で提供できていないコンテンツとも、タグを共通言語として繋がっていける世界観を創っていきたいです。
外部のタグを翻訳すると、世界中のコンテンツと繋がる一方で、翻訳サイトで英語を日本語に翻訳したような違和感を感じることもあると思います。また、リブリーのタグを共通言語にすれば、リブリー化されているコンテンツしか繋げられませんが、こまやかに繋げられると思います。
粗いけど広い繋げ方と、狭いけど細かい繋げ方と、2つの考え方を組み合わせて子どもたちにさまざまなコンテンツを繋げていきたいと考えています。
教科書を基点として、「粗いけど広く」から拡げていけば、リブリーのエコシステムのなかにどんどん新たなコンテンツが入ってきやすくなります。その根っこの部分にデジタル教科書があるので、そこからの繋がりでどんどん外に繋げていくことができるようになる、という構想が描かれています。
後藤さん スタートアップでデジタル教科書をやっているのはリブリーだけです。テクノロジーベンチャー企業が老舗の教科書会社さんから大切なコンテンツをお預かりさせていただいているんです。だからこそ、「テクノロジーを使ったら、こういうことできるんだぜ」というのを僕らが示していかないと、日本の教育全体がアップデートしていかないと考えています。
「デジタル教科書って、ただのPDFだよね?」などと揶揄されている場合ではありません。もっとテクノロジーによってやれること・やらなくてはならないことはいっぱいあると思っています。テクノロジーベンチャーとしてデジタル教科書をやる以上、そこを示していく使命があると思っています。
そうして「テクノロジーを使ってデジタル教科書を作れば、こういうことができる」とテクノロジーでやれることを世に示していけば、そこから先は、教科書会社をはじめとするコンテンツホルダーが、自分たちのもっているコンテンツを工夫して作っていくようになると思います。
後藤さん ワクワクしますよね。教科書を世界中のいろいろな学びと繋げていくために、たくさんのコンテンツホルダーが、いろんな努力をすると思います。うまくいかないこともあると思うけど、そこも含めて教科書が新たな世界へ進んでいくと思います。
No.4に続きます。
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(為田)