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スマートに学べる問題集「リブリー(Libry)」を提供する株式会社Libry CEO後藤匠さん インタビュー No.2(2021年3月22日)

 スマートに学べる問題集Libry(リブリー)を提供する株式会社Libryが、「2022年春、学習者用デジタル教科書機能をリリース!~「生きる力」を育むデジタル教材プラットフォームへ!~」というリリースを出しました。リブリーが、学習者用デジタル教科書の本格的な普及に向けた2022年春に学習者用デジタル教科書機能リリースについて、CEOの後藤匠さんにインタビューをしてきました。

リブリーの新機能(1)「ルーブリック評価支援」

 2022年春にリリース予定の新機能のひとつとして「ルーブリック評価支援」があります。これにより、リブリーとして、思考力・判断力・表現力を評価することを支援することになります。

後藤さん テクノロジーを、ただ知識習得を効率化するためだけに使う、というのはもったいないと思っています。思考力・判断力・表現力の評価の文脈に関しても、先生から子どもたちに「あなたって、もうちょっとこういうところに気を使って判断力を養おうよ」というコミュニケーションを自然とできるようにするためには、その子の状態がどういうものなのかを見えるようにしてあげたいと思います。「Assessment of Learning(学びの評価)」ではなく、「Assessment for Learning(学びのための評価)」として、子ども達の一人ひとりに合わせた指導が実現できるようにテクノロジーで支援をしていきたいです。

普段から観点別評価が行われている小中学校と違って、リブリーが多く使われている高校では思考力・判断力・表現力を評価する文化に慣れていません。そんな状況で、思考力・判断力・表現力を評価するところや醸成するところが感覚的なものになってしまうと、子どもたちの生きる力が養われなくなってしまいます。だから、評価を量的にすることや、ルーブリック指標の作成・運用をテクノロジーで支援することで先生方がある程度量的に、子どもたちの評価をできるようにしたいと思います。そうして先生方が子どもたちのことを俯瞰して見られるようになって、それに基づいて指導できるようになれば、子どもたちにとって良くなると信じています。

ただ、この部分はチャレンジングで、先生方の話を聴いていると、思考力・判断力・表現力の評価について必要性は感じるものの、「でも、授業はしばらく変わらないかな」と言われることもあります。
踏み出すのは大変なので、踏み出しやすい足場のようなものを誰かが架けないといけないと思っています。足場があれば踏み出せる先生はいると思っています。だから、量的に評価ができるようにするのは、チャレンジングですが取り組みたいと思っています。

 テクノロジーの力を借りて、先生方が新たに思考力・判断力・表現力の評価に踏み出せるようになるといいと思います。ルーブリックを導入すると、具体的には、授業の様子がどのような感じになるのかを質問してみました。

後藤さん まだ画面イメージもできていませんが、先生が「これについて考えてみてよ」と課題を出して、生徒はそれについて考えてレポートを書き、写真を撮影して送ることを考えています。これは、リブリーの現行の宿題管理に近い形です。
リブリーでは、いままでは生徒が自己採点をしていましたが、先生が評価できるようになります。先生の評価指標として、「○○ができていたら4にしましょう」という項目をルーブリックで提供して、先生方はそれを見ながら評価をしていくというのを考えています。
先生方が自分でルーブリックを作るのが大変だと思うので、2つか3つのひな形をリブリーで作って、それを先生あるいは学校ごとにカスタマイズできるようにすることを考えています。
リブリーは、全国の先生方はもちろん、文部科学省と出版社、教科書会社ともやりとりができるのが強みです。いったん、ベースとして「こういうのでどうですか」というひな形を作ってみて、そのうえで、先生方にカスタマイズしてもらえればと思っています。

 ルーブリックのひな形を作るときには、「ルーブリックで何を評価するか」ということと「どういう問いを立てるか」が結びついていなければならないので、授業で使う教科書と連動しているとルーブリックを使いやすくなると思いました。
 教科書のなかに教科書会社が思考力・判断力・表現力を養うための問いを埋め込んであれば、問いとルーブリックと連動させることができます。
 リブリーならば、コンテンツとしての教科書や問題のなかにある「問い」をコンテンツとして持ちながら、それと連動したルーブリック支援機能で評価もできるようになるということになります。これは、リブリーならではの良さだと思います。

後藤さん 教科書会社が“問い”まで作ってくれるか、というのにも関わってくると思います。教科書会社とコミュニケーションを取れているというのがリブリーにとって良いポイントだと思っています。

それと、今後の展開にはなると思いますが、個人的には、先生同士で「こういう問いをしたらよかったよ」というのを共有できるようにしたいと思っています。こうした先生同士の情報共有については、「体験をどう作るか」だと思っています。
ルーブリックの評価ができる機能があって、デジタル教科書があって、そこに「他の先生はこうやって問いを立てているんですよ」というのが見られるようになると、そうすれば手が伸びると思うんです。わざわざ自分で調べて、というのは大変ですが、リブリーのなかでワンストップでできるようになればいいな、と思っています。

 先生同士の情報共有については、後藤さんが言うように、「意欲的な先生以外にも届く」ということが非常に重要だと思います。教科書や副読本などさまざまなコンテンツがリブリーのなかにあるからこそ、「こういうコンテンツがありますよ。こういう問いができますよ。ルーブリックもありますよ」というのがリブリーならば言える。これならば、いまの指導書のフォーマットから大きく離れるものでもなく、リブリーらしく「なめらか」に授業を変えていけるのではないかと思いました。
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 No.3に続きます。
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(為田)