教育ICTリサーチ ブログ

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参考になるかも:いろいろな大学が出している生成AIの活用ポリシー

 ChatGPTをはじめとする生成AIをどのように使うのかについて、高等教育機関である大学が出しているポリシーをいくつか読みました。初等中等教育とは役割も学習者の発達段階も違うので、そのまま使うことはできないと思いますが大いに参考になるのではないかと思います。いいな、と思った大学のポリシーを紹介したいと思います。

  • 武蔵野美術大学「生成系人工知能(生成AI)についての学長からのメッセージ」
    • 美術大学としてはよりよい「学び」を得てもらうべく、こうした新技術を柔軟に活用し、また危惧される側面にも十分に配慮し、制作や研究に真摯に向き合ってもらいたいと期待しています。
    • 大学は「学び」の場です。授業である講義、演習、実習、そして自身の制作・研究活動まで全てにおいて「学び」が重要です。新しい技術である生成AIをこの「学び」にどのように取り込むか。クリエイティブについて考え、制作・研究することを旨とする武蔵野美術大学の学生や教職員が、生成AIに対する向き合い方をみなさん自身で考えなくてはいけない時期に立っています。
    • これまでも、ウェブやSNSPinterestなどを有効活用して、作品の発想のヒントを得たり、レポートを書くときの参考資料にしたりして、そこを起点としたいろいろな学びが起きているでしょう。生成AIについてもまずは同じ感覚で接するようにしてください。ただし、生成AIはそれらとは性質が異なるので、だんだんと使い方も変わっていき、今の私たちが考えつかないような利用方法が生まれると思います。ただ、今の段階では、生成AIは、気軽に相談できる物知りの友人ぐらいの気持ちで接して、あくまでも学びとはなにかを自分で考えながら、調べて、考えて、自身の手と頭を使って試作や実験をして、自分の作品やレポートを作るという意識を持って制作・研究活動に励んでください。
  • 三条市立大学「三条市立大学における『ChatGPT』を含む対話型AIサービスの活用ポリシー」
    • 対話型AIサービスは「認める」「認めない」などと許可のもとで行うものではなく、自己責任、自己判断のもとで適切に活用されるものである。
    • 他のツール同様、対話型AIサービスが発展しても、自らが「主」であり、それが「従」であることには変わりない。
    • 文章を洗練させる、他の表現を学ぶ等、自分の成果をブラッシュアップさせるほか、既存テクノロジーの活用法を見出す、未来を予測するなど、対話型AIサービスを「ツール」として積極的に活用することを通じ、創造力、思考力を進展させる。
    • ただし、対話型AIサービスが生み出した文章等の正確性、確実性を十分に考慮し、「研究不正」となる捏造、改ざん、盗用、剽せつを行う、あるいは、著作権を侵害するなど、学修、研究の本質を見失ってはならない。そのため、学生及び教職員の情報モラル教育の徹底とともに考える。
  • 横浜国立大学「ChatGPTをはじめとする生成AIの利用について」
    • ChatGPTをはじめとする一部の自然言語処理アプリケーションは、誰でも無料で利用できるサービスとして提供されており、今後の我々の生活や社会における知的作業を大きく変革する可能性を秘めています。これらの技術をツールとして適切に利活用することは、深く・広い学びに役立ち、皆さんの一層の成長につながるものと期待できます。
    • 情報を取りまとめ、論理的な文章として表現する能力は、知的作業の中でも最も重要なスキルです。生成AIの利用がそのスキルの成長を阻害することがあってはなりません。また、生成AIが作り出す情報は、誰かの著作・創作の一部である可能性があります。生成AIの出力をそのまま用いることは、意図の有無にかかわらず著作権法上の違反や、剽窃行為につながる極めて重大な問題を引き起こす危険性があります。

 それぞれの大学での表現の仕方など、参考になる部分が多かったです。探せば、もっとたくさんの大学のポリシーも読むことができそうです。
 大学が出しているポリシーを読み、その基礎にある価値観を考えると、高校、中学校、小学校で「生成AIをどのようなツールとして見るのか」を児童生徒と保護者にどう伝えるのかの参考になるのではないかと思います。

(為田)