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西武学園文理小学校 授業レポート No.1(2023年12月7日)

 2023年12月7日に西武学園文理小学校を訪問し、川上健吾 先生が担当する1年2組の情報の授業を参観させていただきました。子どもたちは一人1台のiPadをもってコンピュータ教室へやってきますが、先生からの説明を聴くときは中央のスペースにみんなで集まり、iPadを操作するときには壁に向かったテーブルの方へ移動する形で授業を行っていました。話を聴く時間と、手元で操作をする時間を分けるためのこうした工夫をすることで、1年生の子どもたちはプロジェクタを使った説明を集中して聴くことができていたと思いました。学年によって、教室を使うルールを設定することも必要だと思います。

 西武学園文理小学校の情報の授業では、架空のストーリーを通じてコンピュータの使い方やデジタルの利用のしかたを学んでいます。今回の授業では、子どもたちがコンビニエンスストアの手伝いをするというストーリーの中で、表計算の初歩を学びます。
 川上先生が「何ていうアプリ使ってましたか?」と質問すると、子どもたちから「ナンバーズ(Numbers)!」と声が返ってきます。Numbersの画面をプロジェクタで映しながら、川上先生は「1つ1つのマスのことを“セル”と言いましたね?」と前時までの内容をふりかえります。ホワイトボードに映しているNumbersを指さして、「“あのセル見て”って言われても、どのセルかわからないでしょう?」と言い、誰にでもわかるようにセルの場所をアルファベットと数字で言い表すことを子どもたちに伝えます。

 簡単なふりかえりをした後で、自分のiPadでロイロノート・スクールの資料箱を開き、NumbersのファイルをiPadにダウンロードして開いてもらいます。
 子どもたちがNumbersの画面を開くと、下の方にぐちゃぐちゃに赤と青の2色のオブジェクトが置いてあり、その上に表が用意されています。この表が、コンビニエンスストアの棚に見立てられています。川上先生は「こんなにぐちゃぐちゃだと、お客さんが物を探しにくいし、買いにくいよね?」と言って、赤い物と青い物を分けて棚に整理してほしいことを伝えます。

 川上先生は、「セルB3、セルC3、セルD3に書いてある字が見えないのはなんでだろう?」と質問すると、子どもたちからは「透明な色で書いたから」「白い色で書いたから」という答えが返ってきます。このとき、「ペーストを押してないから」と言う子もいて、コピー&ペーストの操作も理解できているんだな、と思いました。
 字が見えないセルは、テキストの色が白になってしまっているので黒にしましょう、と川上先生は言います。最初のセルだけ色を変えて見せて、あとは子どもたちに自分でやってもらいます。

 川上先生は、「変になっちゃっても、落ち着いて。間違っちゃったら、落ち着こう。やり直すことができます。“元に戻る”ボタンを押して、やり直したいところまで戻してください。英語では”Undo”って言います」と説明していました。
 例えば、テキストの色を変えようと思って、セルの塗りつぶしの色を変えてしまうことがよくあると思います。そうした場面になっても大丈夫だということを子どもたちに伝えていました。

 他にも、オブジェクトをドラッグするときにちょっと押しどころがよくなくて、移動するのではなくてオブジェクトが大きくなってしまうこともあります。思った通りの操作ができなくても、ちょっと間違ってしまっても、すぐにやり直すことができるのはデジタルのよいところです。子どもたちには、どんどんやりたいことを試してみて、間違ってもやり直すことができるようになってもらいたいと思います。

 川上先生からコンビニエンスストアを手伝うためにやってほしいことと、そのためのNumbersの使い方の説明を聴いたら、自分のiPadに向かってNumbersで操作をしていきます。はやく終わった子は周りの子を助けてあげたりもしています。

 最後にNumbersの画面をスクリーンショットで撮影して、ロイロノート・スクールで提出してもらって授業が終わりました。スクリーンショットを提出してもらうことで、先生の方で、一人ひとりがどれくらいまでできているか、スキルが身についているかということを確認することができます。

 西武学園文理小学校では、1年生のときにはNumbersを表計算ソフトとしてはあまり使いません。でも、川上先生はNumbersの説明のときに「Numbersは3年生になったらもっと使うよ。大きい数字を計算したり、いろんな計算を一瞬でできるんですよ」と、どんなことができるのかを伝えていました。学びの道具として表計算を使うための第一歩としての1年生での活用を位置づけています。

 No.2に続きます。
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(為田)