『デジタルハリウッド大学大学院2023年度成果発表会NEIGHBORS. DHGS the DAY』のアーカイブページを見ていて、デジタルハリウッドの杉山知之 学長が、「高度情報民藝運動」というステートメントを出していることを知りました。
検索してみると、2020年夏にデジタルハリウッド大学大学院の広報パンフレットから転載されているnoteの記事「目指すのは、『高度情報民藝運動』」を見つけました。そのなかにあった一節を紹介したいと思います。
物事を的確に捉え、俯瞰し、最善の解決策を見出すためには、小手先のデジタルコミュニケーション力ではなく、知の源泉となるリベラルアーツ(教養)が必要なのです。人々がどんな悩みや苦しみを抱えているのか。何を楽しみ、ワクワクするのかを、もっと身近な感覚でリアルに捉えることができれば、それを解決したり、促進したりする効果的な手段も見出せるはず。私たちは、考え方の一つとして、1925年に日本で起こった「民藝運動」にヒントがあるのではないかと思っています。
民藝運動は、デザイナー、柳宗理の父であり、思想家の柳宗悦が陶芸 家の 河井寛次郎や濱田庄司とともに創始した生活文化運動で、無名の職人たちが作り出した日用の生活道具を「民衆的工藝(民藝)」と名付け、モノに宿る用の美を讃えました。これまでのデジタルの世界は、誰かしらがつくったものを大勢の人が享受することを軸にすることにフォーカスしていたことに対し、これからのデジタルは民藝のように、ユーザーの姿とニーズをいかに的確に捉えるかが鍵になってくるでしょう。グロ ーバルに拡散するものではなく、地域文化の特性がわかったうえで、地域の人がつくり、使うもの。つまりは地産地消に近いデジタル技術の応用が求められるのです。地域といっても、それは国レベルではなく、市町村、もしくはもっと小さなグループやコミュニティかもしれません。少人数が少量生産を目指すことによって、時間的、作業的な余裕が生まれ、人々はもっと余裕をもって深みのある人生が送れるようになるかもしれないのです。
こうした観点を持ちつつ、小学校・中学校で行われているプログラミング教育を再評価してもいいかな、と思います。高校の情報科とも繋げて考えてみたいです。
「地産地消に近いデジタル技術の応用」という意味では、地域の問題発見・問題解決へと繋げていく「デジタル+探究」という学びやPBLにも繋がっていくようにも思います。
自分のなかで、デジタルについて語りかける語彙が少し増えたような気がします。杉山先生、本当にありがとうございます。
(為田)