教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

教育&学習観アップデート講座「デジタルタキソノミー」 レポート(2019年4月11日)

 2019年4月11日に、教育&学習観アップデート講座「デジタルタキソノミー」を、弊社フューチャーインスティテュートのセミナールームにて開催しました。講師としてお迎えしたのは、株式会社ネル・アンド・エム田中康平さんです。

 田中さんとは、イベントなどでお会いすることも多く、お互いに顔は見知っていました。自治体や学校の教育の情報化を進めていくプロフェッショナルとして、お話をしてみたかったのですが、しっかり時間をとってお話をすることがこれまでありませんでした。ところが、ひょんなことから年度末の先月29日に弊社にお越しいただき、お話をすることができました。
 お話をするなかで、「ICTを入れるだけではだめで、評価が変わらなければならない」ということ、また、デジタルタキソノミーがその過程で大きな役割を果たすこと、などを伺うことができました。
 「タキソノミー」「デジタルタキソノミー」は聞いたことはあっても、なかなか学ぶ機会もなく、「深く知りたい!」「授業とどう関係があるのか考えてみたい!」と思っていました。さっそく空いている日程をいくつかお聞きして、そのなかでいちばんはやいタイミングで設定したのがこの講座でした。
 新年度が始まってすぐ、しかも平日の夜でしたが、定員20人はすぐに売り切れ、4席を増席しました。当日参加してくださったのは17人、半分は先生方、半分は教育関係の企業の方でした。
f:id:ict_in_education:20190414160803j:plain

 今回の講座で利用したタキソノミー・テーブルは、株式会社ネル・アンド・エムのサイトからもダウンロードすることができるようになっています。
www.nelmanage.com

 タキソノミー・テーブルの横軸には「認知過程次元」があり、「1.記憶する」「2.理解する」「3.応用する」「4.分析する」「5.評価する」「6.創造する」となっています。左から右に数字が大きくなるにつれて、LOTS:Lower Order Thinking Skills(低次の思考スキル)からHOTS:Higher Order Thinking Skills(高次の思考スキル)へと移っていきます。

 今回の講座のなかでは、タキソノミー・テーブルを見ながら、「ドリル教材」や「インターネット検索」や「動画をつくり・配信」や「プログラミング」などが、タキソノミー・テーブルのどこにあたるのかを、隣の人とペアになって考えていくワークをしました。
f:id:ict_in_education:20190414160916j:plain

 それぞれのカードを置くときに、「子どもたちの活動はどんなふうになるのか」を考えることで、タキソノミー・テーブルのどこに置くのか、というのは変わってくる、という話を田中さんはされていました。例えば、「ドリル教材」は、「ドリル教材を解く」だけならば、「1.記憶する」になりますが、「ドリル教材を作ってみる」というふうにすることで、タキソノミー・テーブルの右側(より高次な方)へと移動していきます。

 そうしたことを考えながら、それぞれに自分で持ってきた教材(指導案や教科書など)を使って、自分でタキソノミー・テーブルを作るというワークをしました。タキソノミー・テーブルはすべてを埋めなければならないというものでもなく、また、最初を低次な方から始めなければならない、ということもないそうです。
  タキソノミー・テーブルの縦軸には「知識次元」があり、「A 事実的知識」「B 概念的知識」「C 手続き的知識」「D メタ認知的知識」となっています。ただし、この「A 事実的知識」「B 概念的知識」「C 手続き的知識」の判別は最初は難しいので、まずは横軸の「認知過程次元」に着目して、テーブルを作っていくといいでしょう、とおっしゃっていました。その他にも、「子どもたちの活動はどのようになるのか、ということをイメージしながら埋めていく」「ゴールをどこに持っていくか、から考え始める」など、田中さんからのアドバイスがありました。
f:id:ict_in_education:20190414161003j:plain

 タキソノミー・テーブルは、自分で書いてみないとわからないことがたくさんありそうだと思います。今回は僕は事務局だったので、作れなかったのですが、実際にいくつかのアクティビティで作ってみようと思います。

 また、こうしてタキソノミー・テーブルを見てみると、学習指導要領で書かれている「思考」「判断」「表現」も、その中にはいろいろな活動が入っているのだということがよくわかりました。新しい学びを設計するのに、非常に良い手法だと思い、たくさんの先生方とやってみたいと思いました。
f:id:ict_in_education:20190414161114j:plain

 田中さんは最後に、タキソノミー・テーブルを違う教科の先生方で作って、比較してみるとおもしろいです、とおっしゃっていました。同じ言語系でも、国語と英語はぜんぜん違うものになるそうです(母国語でない英語は、どうしても最初は「1.記憶する」からスタートする、など)。

◆ ◆ ◆

 最後に参加者の感想を挙げておきます。

  • 今回の講座で、『デジタルタキソノミー』は、ICTを活用してさらに学びの深い授業を実践したいと日々考えている教師や教育関係者にとって、何の為にICT機器やアプリを使うのか、きちんとした意味付けと単元構成を考える視点を与えてくれるものだと分かりました。今回の講座で学んだことを使って、自分の授業やカリキュラムをバージョンアップさせてみたいです。また、ブルームからの『タキソノミー』の改訂の流れや『形成的評価』についても、さらに学んでみたくなりました。(先生)
  • 貴重な機会をありがとうございました!いざ分類をしてみると、高次でのICT活用ができていないことが明確に。。。(涙)授業をつくったり、検証したりする際の新しい視点をいただきました!「指導案」に代わって、「タキソノミーテーブル」が授業を説明する資料になればいいのに!とおっしゃっていた先生もおり、「本当、そうですね!」と、とっても共感でした!続編ぜひ。もっと学びたいです!(先生)
  • 昨日は貴重な機会をありがとうございました。「学習者主体の学び」ということは意識もしているし、考えてきたつもりでした。でも最近自身の薄っぺらさを感じるようになり、きちんとした理論を学び直しているところでした。そんなところに、今回のデジタルタキソノミーとのステキな出合い。
    目指すべき学習活動が具体的に示されていて、とてもわかりやすかったです。自身の授業の学習者の活動を今一度位置付けてみます。そして、アップデートさせていきます。(先生)
  • 先日はどうもありがとうございました。大変為になる講義でした。また参加したいです。
    ちょうど算数の授業の組み立てやICTの利用について悩んでいるところでしたので、モヤモヤしたものが解消されました。ICTを使って実績をつくりたい、ICTのよさなどを自校の先生たちにアピールしたいという自分の傲慢さがあったなと痛感しました。どの教科のどの単元の何時間目にICTを使うと効果的か、授業の型に当てはめないこと、子どもたちの動きに重きを置くことなど沢山の学びがありました。
    子どもたちの成長を考えて、授業プランを立てていましたが、子どもたちの動きを中心に考えるという当たり前のことがいつの間にか抜け落ちていました。
    タキソノミー・テーブル素晴らしいと実感しました。本当にありがとうございました。(先生)
  • タキソノミー・テーブルに自分の授業を当てはめていくと一目で授業の流れが見えて、どの部分が足りないか等も明確になるのでかなり興味深く学ばせていただきました。すべての単元をこのテーブルに書き込んでみたくなりました。ありがとうございました!(先生)
  • 「授業が変われば評価が変わり、評価が変われば子どもが変わる」、という言葉が滲みました。デジタルタキソノミーは、私には難しすぎましたが:苦笑い:、子どもたちがどんどんチャレンジ出来る環境作りの一端を担えたら嬉しいです!(教育系企業社員)

◆ ◆ ◆

 あっという間に90分が終わってしまいました。ぜひまた続編の講座を持ちたいと思います。また、田中さんの方で、学校や教育委員会単位での研修も実施しているということですので、ぜひ株式会社ネル・アンド・エムのサイトにアクセスして、問い合わせなどもしてみていただければと思います。

 田中さん、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございました。

(為田)