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JAPET&CEC会員交流会 ICT CONNECT 21会員交流会 レポート No.4(2018年9月13日)

 2018年9月13日に、筑波大学東京キャンパス文京校舎にて開催された、一般社団法人 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)、一般社団法人 ICT CONNECT 21共催の「平成30年度 第2回 JAPET&CEC会員交流会 ICT CONNECT 21会員交流会」に参加しました。
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 総務省 情報流通行政局 情報流通振興課 情報活用支援室 課長補佐 安藤満佐子 氏による「プログラミング教育に係る総務省の取組」のプレゼンテーションから、興味深かったところをメモしました。

 まず最初に、安藤さんからは、プログラミング教育に係る総務省の取組の背景として、4つのことを紹介しました。

  1. プログラミング教育の必修化
    • 小学校学習指導要領(平成29年3月31日公示)
  2. 政府方針
    • 産業競争力の強化に関する実行計画(2018年版)(平成30年2月6日閣議決定
      • 「それぞれの地域において児童がプログラミングを継続的・発展的に学ぶことができる環境づくりを進める。」
    • 未来投資戦略 2018 ―「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革―(平成30年6月15日閣議決定
      • 未来の学びコンソーシアムの活動等により、全国の教育委員会や学校、企業等と協働して、ポータルサイト等を活用しながら教材開発や教員研修の質の向上を実現する。
      • 学校のICT環境のクラウド化を推進し、授業・学習系システムと校務系システムの安全な連携手法を来年度までに確立する。
    • 世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(平成30年6月15日閣議決定
      • 公共施設等を利用してプログラミング等を学び合うコミュニティとして「地域ICTクラブ」の創設に取り組む。
      • 国民全体のITレベル底上げのため、小・中・高等学校でのプログラミング教育の充実を図るとともに、プログラミング等を学びたい児童・生徒等が発展的に学び合う機会(地域ICTクラブ)が重要である。
  3. 情報通信審議会答申
    • IoT新時代の未来づくり検討委員会を立ち上げた。
    • IoT、AI、ロボットなどが日常生活、職場や公共空間に広く浸透する時代が来る。
      • 生産年齢人口の減少、人生100年時代、独居高齢者世帯が急増…という時代。
    • 2030年台に実現すべき未来の姿
      • 年齢・性別・障害の~「インクルーシブ(包摂)」な社会=スマートインクルージョン構想
      • 地域ICTクラブ みんなで集まってプログラミング「で」学びましょう、というコンセプト。
  4. プログラミング教育を取り巻く環境
    • 講座を開くと、地域差はある。関東に集中しているのが現状。
      • 2017年3月時点で、プログラミング教室・講座の開設数(総務省調べ)は、北海道 6、東北 43、関東 113、中部 38、近畿 61、中国 23、四国 6、九州 32となっている。
    • 総務省としてはなんとかしたいと考えている。

 通信環境の変化などの背景が詳細に語られました。生活を変えるインフラ部分は、総務省が整えている部分が大きいのだ、と改めて実感します。そのなかでも、プログラミング教育に関して言えば、地域ICTクラブが、「プログラミング等を学びたい児童・生徒等が発展的に学び合う機会」として機能したらいいな、と思っています。

 総務省の取組みとして、「地域におけるIoTの学び推進事業(地域ICTクラブ)」に、3.8億円を要求しています。

  • 地域ICTクラブの取り組み
    • たんにプログラミング講座を解説するのではない。
    • 人、モノ、金。金も大事。自走してもらうために、金のしくみは大事。
      • 機材は高い。三重県では、教育委員会が機材を買って、それを貸し出すということもできている。そうした自走のしくみも存在している。
    • 3.8億円要求。5項目。1項目目は追加実証。
      • 追加実証等
      • メンター育成等
      • 優秀な人材の派遣等
      • ガイドラインの策定等
      • 普及啓発活動

 地域ICTクラブが、学校の授業とうまく連携できるといいと考えます。プログラミングは、何か問題意識をもって、それを解決したい!と思って、「たっぷり時間をかけて考える」ことができて、「それをどう実現したらいいかを教えられるメンター/プロフェッショナルがいる」ということがないと、せっかくやる意味があまりないのではないかと僕は思っています。
 学校は、プログラミングへの本当に初歩の初歩の入り口を提供するだけ。そこから、「もっとやりたい!」となった児童・生徒が、地域ICTクラブへ行って、没頭できる環境があればいいと思います。
 学校でサッカーなどのスポーツに出会ったり、学校で楽器を弾いて楽しさに目覚めたりしたあと、チームに入ったり、外部のスクールに入ったり先生についたりするのと同じ感じが、学校的には無理がないのではないかな、と思っています。
 そうすると、先生方としては、入り口としての機能をどう果たせばいいのか、というところに注力すればいいので、ここは専門的な知識やノウハウよりも、子どもたちのモチベーションコントロールが大きいかな、と思っています。

 こうした方向性を考えると、地域ICTクラブには非常に期待したいと思っています。学習塾がやったりするのでも全然いいなあ、といつも応援しています。

 No.5に続きます。
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(為田)