ヨーロッパの国々の国境線の変化を見る
先日、ネットニュースで、「Watch as 1000 years of European borders change」という動画が紹介されていました。
Watch as 1000 years of European borders change ...
非常におもしろい動画だと思います。世界史が苦手な人は、そもそも国がどんどん変わっていくことや、領土が割譲されたり併合されたりして、わけがわからなくなることが多いと思いますが、その理由のひとつに、文字情報で見るとそれがものすごくわかりにくい、ということがあるのではないかと思うのです。
もし、ビジュアルで各国の領土がどのように変わっているのか、どのように国境線が変わっているのかを見ることができれば、もしかすると歴史に興味を持ってくれるかも知れません。
「興味喚起」と「理解促進」
さまざまな学校や学習塾でICTが使われているのを見る中で、いくつかの目的で利活用されているのではないかと考え、それらを9つの類型に(仮に)分類しています。
ICT利活用の目的 9類型(2014年8月版) - 教育ICTリサーチ ブログ
この「Watch as 1000 years of European borders change」という動画は、私たちが分類している9つの類型のうちの、(1)興味喚起と、(3)理解促進にあたるのではないかと思います。
ここで重要なのは、「ただ見せるだけではない」ということです。これを見せるだけでは当然説明が不足します。これで興味を持たせて、その瞬間に世界史の授業をスタートさせる、という先生のアクションと共にあって初めて授業として成り立ちます。動画はあくまで教材なので当然ですね。
また、こうして国境線の変化を見せることで、ヨーロッパ史をある程度理解している生徒たちも、ビジュアルで国境線の変化をイメージすることができるようになります。これは、より理解を深めるために使うことができると言えるでしょう。
たしかに、資料集で時代ごとの国境線を順に見比べれば、同じことはわかります。ただし、それよりも圧倒的に印象に残りやすいところが、動画教材の長所だと思います。*1
BBCのドキュメンタリーの例
この動画を見て、BBCの「200 Countries, 200 Years, 4 Minutes」という動画を思い出しました。これも、動画の特性を活かしていて、学習の導入に使えそうだな、と思っています。まずはどうぞ、ご覧ください。
Hans Rosling's 200 Countries, 200 Years, 4 ...
おもしろくないですか?(英語が聞き取れなくても、けっこう文字情報もあるので、内容は把握できるかと思います)
実際、どの科目のどの単元に、どんなふうに使うのか。授業の最初に使うのか、最後に見せるのか、宿題として家で見てきてもらうのか。いろいろなアイデアが先生方は思いつけるのではないかな、と思います。
このクオリティのものを先生方が作る、というのはスキル的にも時間的にもあまり現実的ではないと思うので、こうした「おっ!教室で見せてみたい!」と思う小品を、簡単に検索できて、安く提供できるといいのにな、と思っています。もちろん、その際には、先生方に「こんな教材があったら見せてみたい」というリクエストをヒアリングすることからスタートですね。このヒアリングの場に、先生方の経験とノウハウを突っ込んでほしいと思います。
*1:一方で、こうした動画教材を作成するときには、どの年にどこまでが勢力範囲だったか、ということを検証していく作業が必要になるため、教材制作会社によるサポートが必要になるでしょう。