12月9日に、玉川学園高等部を訪問させていただき、登本洋子先生が担当されている、高校3年生の「オフィス」の授業を見学させていただきました。この授業は、10月25日に参加した第67回情報コミュニケーション教育研究会(ICTE)情報教育セミナーIN東北において、登本先生のワークショップ「Officeソフトを活用した問題解決型実習の体験」を拝見し、「ぜひ、授業を見学させてください!」とお願いをして実現したものです。
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10月にワークショップの中で登本先生が紹介されていた授業は、「Officeアプリケーションの操作をしっかり身につけさせる」ということを重視し、そのための手法として、問題解決型実習をとっているというのが特徴だと思いました。その理由として、高等部卒業・大学進学の前に、しっかりOfficeスキルの基礎を身につけておくことが必要だ、と述べられているところに非常に共感しました。
Officeスキルの基礎を身につけるのは当然重要ですが、登本先生がワークショップで紹介した授業内容は、つまらないOfficeスキルの実習ではなく、コミュニケーション力や論理的思考力も重視してグループ学習で行なっているという授業でした。それで、そのときに実際に高校生がどのように学んでいるのか、ぜひ見学したいと思いました。
授業が行なわれているのは、玉川学園高等部のマルチメディアリソースセンター(MMRC)と呼ばれる施設です。ここは、図書館とコンピュータ教室が一体化しています。コンピュータ教室は、Windows教室とMac教室があります。下の写真で左側に見えるのがWindow教室。奥には図書館の書棚が見えます。
この日見学したのは、オフィスの授業の最終課題でした。チームになって、課題とする業界を選び、業界を研究します。業界での上位4位までを調べ、一人ずつ担当企業を決めて研究します。業界3位を自分のチームの会社として設定し、1人1会社を割り振り、各会社の報告書をWordで作成していきます。この過程で、Wordで調べた内容をまとめ、Excelで業績の推移をまとめていきます。1人1部ずつ作成した報告書を提出するとともに、チームで1部を提出します。
各チームのところをまわって、どの業界を担当しているのか、どの企業を担当しているのか、というのを聞いて回りました。テーブルを見て回って思ったことは、とても自由にコンピュータを使っているな、ということでした。例えば、関係ないサイトは開けない設定をしている学校も多いですし、スマホなども一切禁止という学校も多いです。しかし、登本先生の授業ではそうした厳しい取り決めがなく、生徒たちは授業に関係あることもしていれば、ちょっと脇道にそれていることも、マルチタスクでしている、という感じでした。それがとてもネットに慣れ親しんでいる使い方だな、と感じました。
実は、こうした雰囲気のコンピュータ教室は、そう多くないと思います。そうした自由な雰囲気の中で、チームの人といろいろと相談をしながら、共に苦労をしている、という感じがいいな、と。これは仕事にも近いところがあると思っていて、一人で一生懸命調べて、文書を作って、というのも大事だけれども、チームでやっているからこその楽しさや分担の責任感や、誰かを助けなきゃ(誰かが助けてくれるかも)という感じとかも含めて、コンピュータを学業や仕事に使っていくって、こういうことだな、と思いながら授業を見ました。
この後、最終課題では、業界1位を目指すためにどうすればいいか、戦略会議を行います。各自が調べた1位・2位・4位の会社を報告しあって、どうすれば1位を目指せるのか戦略を立てていきます。次回は、この戦略会議の様子をレポートしたいと思います。
(為田)