実況中継:朝の時間
2016年1月28日に、京都教育大学附属桃山小学校の木村明憲先生の授業を見学させていただきました。3回目の訪問となります(1回目の訪問のレポート、2回目の訪問のレポート)。
木村先生の担当されている4年2組を朝の時間から帰りまで、ずっと見させていただきました。僕は、ICTが授業をどう変えるのか、そしてその授業で子どもたちがどう変わるのか、に非常に興味があります。だからこそ、学年のなかの何度かの時点で、クラスをずっと見させていただく、というのが、本当に勉強になっています。
今回のレポートでは、何度かに分けて、授業ごとにレポートをしていきたいと思います。
朝の会から1日が始まります。木村先生の授業では、情報をどう扱うかというのが項目ごとに整理されている情報活用能力 学習支援カード(パワーチェックカード)を学習の核として使っているのが特徴です。(パワーチェックカードは、ここでPDFをダウンロードすることができます。)ラミネートされて下敷きになっているので、児童はいつでも確認をできるようになっていますし、木村先生の「ルーブリックはどうしよう?」という問いかけがあれば、すぐにパワーチェックカードを見て考える、ということが徹底されています。
今回の朝の会では、そのパワーチェックカードに加えて、新たに作成したというプレゼンテーションチェックカードも使われていました。グループに分かれて、自主学習ノートである“がんばりノート”を発表しあっていました。
何人かの児童のがんばりノートを見せてもらいました。とても綺麗にまとまっています。こうして情報をまとめて、それをクラスメイトに発表するという練習を毎日しています。木村先生は、毎日がんばりノートに目を通し、児童が自分で設定したルーブリックを達成できているかを評価し、児童の自己評価をチェックし、先生の評価を記し、コメントを記していきます。この学習が、児童につける基礎的な学ぶ力は非常に大きいだろうな、と思います。
その後、日直の児童が、3分間スピーチをします。それを、プレゼンテーションパワーチェックカードで聞き手の児童が評価していきます。この日の3分間スピーチのテーマはニュートンだったのですが、ニュートンの変人ぶりがおもしろく語られました。ただノートを読むだけではなく、がんばりノートを、実物投影機で教室の前のモニターに映し、これを見せながらスピーチをしていきます。途中にクイズがあり、惹きつけられるものでした。
その後、1分間の話し合いをしてから、4分間の質問・コメントをしていきます。「僕もニュートンは調べたんだけど、“この人はどんな人か”だけでなく、もっと広く深く調べていたのがよかった。」というふうに、コメントをしていきます。
また、質問についても、質問する児童が「どう思いましたか?」と訊いて、発表者が「◯◯と思いました」と答えると、その後で質問する児童が「僕は◯◯と思いました」と、質問についてのやりとりが続いていくのがいいと思います。
最後に、木村先生のコメントです。木村先生は、「クイズを最初と最後に使ったのがよかった」と話をしました。最初のクイズでみんなを惹きつけた。そして、最後のクイズで、もう1回同じことを訊いて、スピーチで聞いたことを思い出させることができた。これがよかった、とまず褒めます。
木村先生は、もうひとつ、スピーチを褒めました。それは、スピーチをした児童が最後に「何だったでしょう?」とクイズを出したときに、みんなの反応が悪かったので、その場でとっさに「三択にします」とクイズの出題方法を変えたことについてでした。「これが、話を聞いている人の様子を気にかけている、ということだ」と木村先生が褒めます。これをしっかり褒めることが、本当に大事だな、と思います。教室全体を巻き込んで、こうしたやりとりができていることが、木村先生のクラスの非常におもしろいところだな、と思います。
木村先生は1年間を通して、がんばりノートで取り組んだことのスピーチを朝の時間に取り組んでこられました。木村先生は「自主学習をスピーチにすることで、自主学習のなかで「課題をもつ」「集める」「まとめる」「伝える」の問題解決的な学習が繰り広げられる。学校の学習だけでなく、児童が自らの力で問題解決のスパイラルを回して学習を進めることができることが、今後の社会を生き抜く力としてとても重要な力ではないか」と話しておられました。
(為田)
No.2へ続きます。
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