ルーブリックとがんばり学習
児童が音楽の授業に行っていた2時間目に、教室で児童が自主学習をしている、がんばりノートを見せていただきました。実は毎回、この時間を楽しみにしています。4年2組の教室には、がんばり勉強をする時のルーブリックが貼られています。「1月12日~」と書かれています。児童に訊いたら、1年間で何回か変わっていて、今のものは5つ目だと言っていました。
がんばりノートを作る時の、「はじめ」「中」「終わり」「全体をとおして」のそれぞれのところで、どんなことに気をつければいいのかがまとめられています。
がんばりノートの表紙の裏にのりづけして貼ってあるので、ノートを作るときに意識できるようになっています。こうしていつでも見られるようにしておく、というのは非常に大切なことだと思います。
また、ノートの中でときどき出てくる、「Aのアの3」や「Bのウの5」などは、木村先生が学習の核として使っている、情報活用能力 学習支援カード(パワーチェックカード)の中の項目です(情報活用能力 学習支援カードは、こちらのリンクで学年ごとに見ることができます)。
情報活用能力 学習支援カードでは、以下のように「集める」「まとめる」「伝える」の領域で、どのような能力が身につけばいいかをまとめてあります。「Aのアの3」は、「A. 情報を集める→ア. 情報を集める方法を選ぶ」の中の3つめの項目ということになります。
A.情報を集める
ア.情報を集める方法を選ぶ
イ.必要な情報を選ぶ
ウ.情報を整理する
B.情報をまとめる
ア.情報をまとめる方法を選ぶ
イ.情報のまとめ方を選ぶ
ウ.わかりやすく、伝わりやすくまとめる
C.情報を伝える
ア.情報を伝える方法を選ぶ
イ.聞いている人にわかりやすく伝える
ウ.聞いたことや書かれたものを見て、伝え合う
児童は、学習支援カードを下敷きとして使っています。これもルーブリックと同じように、いつでも見られるようになっているので、学びのときにいつでも参照できるようになっています。常に立ち帰れる基準点として、こうしたリストがあるのは非常にいいと思いました。
このことについては,先日の教育新聞にも掲載されていました。興味ある方は、ぜひこちらの記事もお読みください。
www.kyobun.co.jp
パワーチェックカードへのふりかえり
教室の後ろの掲示物を見ていたら、情報活用能力 学習支援カード(パワーチェックカード)へのふりかえりの作文が貼ってありました。いくつか、印象的だったものを撮影させてもらいました。
(1)項目をたくさん使いたくなる、作りたくなる
(2)下の学年の項目も見られるのがいい
(3)自分があまり使っていないところが見える
すべての学習の型をパワーチェックカードで提示することで、「これもやってみたい」「まだ使っていないのがある」とさらに型を多く覚えることができます。そのなかで、学習の流れを自分で作れるようになります。その先に、自分は「情報を集める」ところが得意だ、とか、「情報を伝える」ところが得意だ、とか、出てくるのだろうなと思いました。でも、そうしたことは、型の全体像を知らなければわからないことで、その全体像を意識できるようになるのが、このパワーチェックカードを使う良さなのではないか、と思っています。
このようにパワーチェックカードを使って日常的に問題解決的な学習に取り組むことで、児童の情報活用能力が高まると木村先生はおっしゃっています。木村先生は、文部科学省の情報活用能力調査の作問委員会に携わられ、コンピュータ上で複数の情報を読み取り、集めた情報を表や文書に整理したり、問われている問題に解答していくことの難しさについて語っておられました。そして、そのような問題に対応できるようにするには,日常から児童が情報活用能力を意識しながら紙の上で問題解決的な学習を繰り返し何度も行っていくことが重要であるという考えに至ったそうです。
情報活用能力の育成は,前年の情報活用能力調査にはじまり、文部科学省からも授業実践例などが掲載した冊子が出されており(木村先生も執筆を担当されています)、とても注目されています。子どもたちにいかに情報活用能力を身につけさせるかということ考えと、学習支援カードや情報ハンドブックはとても効果的なツールであると感じます。
No.4へ続きます。
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(為田)