フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。
今回は、アナログで描いた絵をスキャナでデジタル化して、テキストと組み合わせた絵本作りを紹介します。前回、同じようにアナログの絵とデジタルの要素を組み合わせたカレンダー作りを紹介しましたが、その絵本版です。
文字を、絵と組み合わせてきれいに読めるように手書きで書くことは、非常に難しいですし、絵の上に文字を書いているときに間違ってしまった場合、下地の絵にも影響が出てしまいます。デジタルを使用すれば、文字を打ち間違っても簡単に修正できますし、文字の形・大きさ・色・位置など、試行錯誤しながら作り上げることができます。
授業前準備
- PowerPointで新規作成をし、レイアウトを「白紙」にする。
- スライドのサイズを、プリンタで印刷でき、アナログで絵を描くのに適したサイズに設定する。
- ストーリーを書くテキストボックスを作成し、仮の言葉を入力して、以下を設定する。
- 行間を「2.0」にする。
- 両端揃えにする。
- テキストボックスを任意の場所に配置する。
- 保存する。これを「テンプレートファイル」とします。
児童生徒のスキル度合いによって、テキストボックス自体を作成させることも可能だと思います。
授業の流れ
- 児童生徒に、自分が描いた絵とコンピュータでの作業を組合せて、絵本を作ることを伝える。
- 4~6人くらいのグループを作り、1人1シーンを担当し、グループ全員でひとつの絵本を作ることを伝える。
- グループ分けと担当シーンを決めたら、A4サイズの紙に、担当シーンからイメージする絵を描いてもらう。
- 画面内のどの辺に、ストーリーの文章を配置するかを考えて絵を描くように注意する。
- ストーリーは、オリジナルで作らせてもいいですし、国語の授業と連携して教科書に載っているお話を絵本にするというのでもいいと思います。
- 描いた絵をスキャナで取り込む。
- PowerPointでテンプレートデータを開き、取り込んだ絵のデータを背景に挿入させる。
- テキストボックス内の文章を書き替えて、ストーリーを書く。
- テキストのフォント、サイズ、色、位置を調整する。
- 印刷して、グループメンバーのページと合わせて、お話の順番通り並び替える。
- 製本する。
<時間があれば/作業のはやい児童生徒の応用として>
ワードアートを使って、効果音的な役割の文字を配置するなどの、発展的なアクティビティを用意しておきましょう。図形の吹き出しを使って、絵の中のキャラクターがしゃべっているようにするなども可能です。
<高学年向け応用編として>
録音などを行うことで、デジタル絵本制作にすることもできます。
- テキストボックス・ワードアート・吹き出しに、アニメーションをつける。
- ナレーションの声を録音して、つける。
- BGMをつける。
- スライドショーで確認しながら調整する。
- 保存をする。
- グループメンバー全員の作品を、1つのデータにまとめる。
- 画面切り替えをつける。
- スライドショーで確認しながら調整する。
作品サンプル
国語だけでなく、英語の授業と絡めたり、社会の歴史上の出来事と絡めて実施することもできるかと思います。
(前田)