教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

第4回古河市教育ICTフォーラム レポート No.1(2017年2月25日)

 2017年2月25日に、古河市とねミドリ館で開催された、第4回古河市教育ICTフォーラムに参加してきました。日程は2日間で、2月25日が「プログラミングデー in KOGA これならできる2020年のプログラミング授業」、2月26日が「教育ICTフォーラム 学びのゴールはプレゼンテーション」となっていました。

 今回は、2月25日の10時から行われた、古河市教育委員会 参事兼指導課長 平井聡一郎先生によるプレゼンテーションの様子を紹介します。

 平井先生によるプレゼンテーション、最初にスライドに現れたのは、「Make a difference」の文字でした。ファーストペンギンであろうという心意気を表した、ペンギンのキャラクターもいつものとおり、登場です。
f:id:ict_in_education:20170417060228j:plain


 最初に、「2020年次期学習指導要領完全実施」ということが伝えられました。平井先生は、10年ごとに改訂される学習指導要領について、「今変えなきゃ次は2030年!まったなしの教育改革!」と言います。会場に来ている人たちに対して、「今変えていかなくては!」とアクションを促す、古河市からの、平井先生からの、とても強いメッセージだと感じました。
f:id:ict_in_education:20170417060254j:plain

 次期学習指導要領のなかで、以下の3つのポイントが平井先生から紹介されました。
f:id:ict_in_education:20170417060342j:plain

  • 主体的対話的で深い学び アクティブラーニングの視点
  • 小学校3年生からの英語の必修化
  • 小学校段階からのプログラミング教育の必修化

 主体的対話的で深い学びについては、小学校ではもともとアクティブラーニングが行われているし、素地もある、と平井先生は言います。また、英語必修化については、4技能のうちの「話す」と「聴く」についてはすでにやってきている(平井先生は、1/2英語、という言葉を使っていました)ので、これも指導ができるのではないか、と平井先生は言います。

 ここで平井先生は、「問題はプログラミングです」といいます。2020年には次期学習指導要領完全実施となりますが、これは2020年にスタートを切れなければならない。2018年には、小学校・中学校で移行措置に入ります。それまでに、リーダーの先生を育てる必要がある。そのための施策が、古河市エヴァンジェリストと呼ばれる先生たちだと思います。
f:id:ict_in_education:20170417060521j:plain

 2018年4月から移行措置をとるとすると、それまでにあと13ヶ月。準備は間に合いますか?もうすぐにやらなければ間に合いませんよ、というメッセージを平井先生は投げかけます。
f:id:ict_in_education:20170417060549j:plain


 「これが問題です」と平井先生が言う“小学校からのプログラミング”。4つのポイントが挙げられていました。

  • プログラミング的思考
  • コーディングの習得が目的ではない
  • 各教科の指導内容を学びながら
  • 主体的・対話的で深い学び

f:id:ict_in_education:20170417060630j:plain

 プログラミング的思考、というのは、コーディングではなく、論理的思考など、思考を中心に行うことである。そうして視点をもつことで、「プログラミング“を”を学ぶ」から、「プログラミング“で”学ぶ」に転換する事ができる。次期学習指導要領案では、総合学習の時間、算数、理科で例示をされていますが、これはこれらの教科でしかしてはいけないということではなく、他の教科でもできることです。
f:id:ict_in_education:20170417060655j:plain

 ここから、古河市の小学校でのプログラミング教育への取り組みが事例とともに紹介されました。1年生から3年生は、タブレットの前段階として、アルゴリズムの実感をしてもらうことを目標としているそうです。タブレットを使わなくても、アンプラグドプログラミングができる、と紹介をしてくれました。

f:id:ict_in_education:20170417060745j:plain

 また、行動の段取りを文字に書き出してみることで、アルゴリズムに親しむという活動が教室でできるということも、実際の小学校での実践事例を紹介して説明してくれました。
f:id:ict_in_education:20170417060809j:plain

 古河市立大和田小学校での実践は、Codable Crafts→Scratch Jr.とビジュアルプログラミングを行った後で、Pyonkee→Spheroと具体物を動かすことにつながっていくそうです。この過程では、ストーリーを考え、絵コンテを書いていきます。
f:id:ict_in_education:20170417060832j:plain

 自分が描いたキャラクターの絵を取り込んで、絵コンテのとおりに動かすということもできます。そうすると、図工と国語の合教科になります。制作物を作るときに、「これを自分の思うとおりに動かすことができる」というのは、児童たちのモチベーションを大きく上げることができると思います。
f:id:ict_in_education:20170417060906j:plain

 小学校でそうしてがんがんプログラミングを学び、中学校に進学したら、中学校ではさらにその上に行く必要があります。こうして、古河市の小中学校のそれぞれのレベルが年を追うごとに上がっていく、そのために各校にエヴァンジェリストを配置しています。他の自治体に比べて、それぞれの学校でのICTの定着度が、古河市は非常に高いように思います。エヴァンジェリストがすぐに相談できる距離にいる、かつ授業者であるということが効果を上げる要因ではないかと思いました。
 
 平井先生は、「古河は、“これならできる”というのしかしない。でないと、広がらない。」と最後に言っていました。まさに、大きく横に展開していく、公教育に必要な準備が整ってきた、という時機での教育ICTフォーラムになったのではないかと思います。さまざまなプログラミングのワークショップもたくさんの人で賑わっていました。

 No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)