2017年8月3日に東京学芸大学附属竹早小学校にて開催された、第41回児童造形教育研究会に参加してきました。実技研修会は、A~Eのコース選択制になっており、私は、筑波大学附属小学校の北川先生の「パスタマシーンで版画」と、桐蔭学園小学部の粟津先生の「写真で工作してみよう」があるDコースを受けました。
今回は、実技研修会で受けた、桐蔭学園小学部の粟津先生の「写真で工作してみよう」について、紹介したいと思います。
前回のブログにて、筑波大学附属小学校の北川先生の「パスタマシーンで版画」の様子をレポートさせていただきましたので、そちらもご覧ください。
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作品である写真を、鑑賞し、かつ素材として工作する
粟津先生の「写真で工作してみよう」は、まず数名のグループでどんな写真を撮るか話し合いをし、写真としての作品を考え、撮影することから始まりました。そして後半は、個人制作で、撮影した写真を素材として使って、切り抜いて使ったり、加筆したり、必要なカットを追加したりなどして工作で新たな作品作りをする2部構成となっていました。
受ける前にイメージしていたのは、写真を素材として新たに作品制作する際に、素材である写真の構図やテーマに引っ張られてしまい、似たような作品ができてしまうのではないかな…?あまり多種多様な作品は出来にくいのではないかな…?と思っていました。特に、写真もコラージュ作品も平面的なものであり、デジカメで構図などもいろいろ試せるので、平面作品として熟慮されて作られた写真を別の発想で再構築するのは難しいのではないかと思ったのです。
しかし、実際にやってみると、確かに設定やシーンは似るものの、その中でさまざまな表現の仕方だったり、詳細な設定が異なったり、敢えて写真のテーマとは違うテーマで作ってみたりなど、想像していたよりも、多様な作品が出てきたことにビックリしました。授業のテーマを聞いて想像した結果と実際の結果が異なったのがおもしろいなと思いました。実際に、粟津先生が子どもたちに授業をした際も、ストーリーのある写真のコラージュでも、表現に幅は出たと仰っていました。
また、単純に作品を素材として使うこと自体、しかも切ったり折ったり加工してしまうことが面白いなと思いました。作品を鑑賞するだけでなく、素材にすることで、鑑賞するだけでは得られない視点を持つことができると思いました。
デジタル(カメラ)とアナログ、両方の表現を学べる
デジタルカメラでは、話し合い→撮影→鑑賞確認→再撮影→確認…というような、試行錯誤を経て作品を作り上げることができます。デジタルはアナログに比べて試行錯誤が容易なので、頭の中で考えるだけでなく、「まずは撮ってみよう!」とアイデアをすぐに形にでき、すぐに確認できるのが強みだと思います。一方アナログは、手で切る折るちぎるなどの感覚を得て、作りながら五感を使って発想したり、積み上げて作り上げていくことが、デジタルでは得にくい強みかなと思います。
今回は、その両方の表現を2段階の作品作りになっていることで、得られているように感じました。
今回、撮影はグループで実施し、工作は個人でしたが、粟津先生の学校の授業では、撮影も工作も個人で実施したりもされたそうです。同テーマ・同写真でも、発想や表現によって多様な作品ができるという多様性を感じさせたい場合は、グループ撮影が向いていると思いますが、カメラの操作方法や撮影のポイントなどを一人ひとりに学ばせたい場合は、個人撮影が適しているかと思います。学習目標によって変化させることができるのもいいと思いました。
(前田)