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愛媛大学附属高等学校 授業レポート No.1(2021年12月17日)

 2021年12月17日に、愛媛大学附属高等学校を訪問しました。愛媛大学附属高校は、「個の特異な才能を見出すテーラーメイド型の教育」をテーマに文部科学省の研究開発学校指定(令和3~6年度)を受けていて、この文脈のなかでLibryを家庭学習支援のツールとして活用しているとのことで、上床孝樹 先生が担当する2年2組の数学の授業を参観させていただきました。
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 愛媛大学附属高校では、2021年度の1年生はノートPCが必携となっていますが、2年生の数学の授業では、生徒のスマートフォンでLibryを活用していました。教室の授業で使っていたのを、これから徐々に生徒たちの自律的な活用に任せていこうという方向になっているそうです。

 授業では、生徒たちが取り組んだ問題の自己採点結果をLibryの先生用ツール「Libry for Teacher」で確認します。従来の授業だと、問題をノートに解いてもらって回収した後、先生がどの問題の正答率が高い/低いというのを見なければなりません。Libryの先生用ツールを活用することで、上床先生はクラスでの正答率を簡単に見ることができるようになっています。
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 Libryでは、生徒は取り組んだ問題を自己採点し、ノートを撮影して提出することができます。先生用のツールを使うことで、先生はそれぞれの問題を解いたノートの写真を並べて比較することができます。
 上床先生は、正答率が低かった問題について、提出されたノートの写真から1つを選んでプロジェクタで投影し、ペンで書き込みをしながら解説をしていきました。
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 問題を解いたノートは回収をしなくていいので、先生が持っているのではなく生徒の手元にあります。そのため、上床先生の解説を聴きながらどこが間違っていたかを自分のノートで確認することもできるので、周りの生徒とノートを見せあって確認することもしていました。
 Libryを使うことで、問題が表示されるのはスマートフォンの画面になりましたが、デジタルだけで学びが完結してしまう、個の学びなのではなくて、生徒同士で考える機会があったり、先生による解説で考える場面もある授業になっていました。
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 Libryを使って先生は次に取り組む問題を指定することもできます。上床先生が「指定した問題2問を、時間を測ってやってみよう」と言い、問題に取り組んでいました。
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 Libryは、問題に付いている「タグ」をもとに、解いた問題と同じ知識を使う問題、解き方が近い問題を自動で推薦する機能がついています。先生から指定された問題を解き終わった生徒は、類似問題に取り組んだり、少し難易度の高い問題に取り組むこともできます。これらを、先生が一人ひとりに対応した問題を準備するのではなく、Libryのシステムによって自動化できることで、先生は生徒たち全体の学びの様子を見とる時間をもてるようになります。
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 No.2に続きます。
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(為田)