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中山町立長崎小学校 「答えのない道徳 どう解く?」授業レポート No.2(2018年9月19日)

 2018年9月19日に、山形県中山町立長崎小学校の、4年3組の道徳の授業(担当:岩城豊 先生)を見学させていただきました。この道徳の授業は、ポプラ社の出版した『答えのない道徳 どう解く?』という書籍を教材として使った授業でした。

 岩城先生は、モニターに『答えのない道徳 どう解く?』のサイトを表示しながら、授業を進めていきます。
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 岩城先生が『答えのない道徳 どう解く?』の中から選んだテーマは、「たべもの、どう解く?」でした。食べ物についてどう考えるかの議論を通して、自分と異なる意見について傾聴できるようになることをねらいとした授業でした。
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 食べる動物と食べない動物を岩城先生がどんどん書いていきます。途中で黒板を示しながら、「こっちは食べている、こっちは食べていない。では、その違いは何でしょう?」と岩城先生は問いかけます。
 『答えのない道徳 どう解く?』のサイトにある「授業用教材&ワークシート」のところからダウンロードしたPDFを配布し、児童に自分の意見を書いてもらいました。

www.poplar.co.jp

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 児童がワークシートに書いた、「食べていい動物と食べちゃいけない動物の違い」について、岩城先生は黒板に書いていきます。出てきた意見は、以下のようなものでした。

  • 人に食べられるためにつかまえられる。
  • おいしいか、おいしくないか。
  • 食べられる部分が多いか、少ないか。
  • 食べてはいけないルール、食べてもいいルールがある。
  • 毒があったら食べない。

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 食べている動物たちの命をもらっているということであることを岩城先生は児童に説明しました。児童からは、「ごめんねと言ってから食べる」や「ありがとうという気持ちで食べたいと思った」という声が挙がっていました。このあたりは、道徳の内容項目 D-(18) 生命尊重に関わる落とし所だったと思います。

 一方で、道徳の内容項目 B-(10) 相互理解,寛容の方に寄せてするならば、「世界には犬食文化もある」「日本国内でも、自分たちとは食文化が違う地方もある」「フグのように毒があっても、なんとかして食べているものもある」「外国ではあまり刺し身(生魚)は食べない」「昔の日本では牛肉は食べていなかった」というように、揺さぶりをかけて、多様性の方に話をもっていくのもおもしろいかもしれないと思いました。

 ディスカッションの基盤となるのが、「食べられない動物」なのか「食べない動物」なのかによって、児童の書く答えは違ってくるように思いました。先生の授業設計によって、まったく違うディスカッションの流れになりそうなテーマだと感じました。

(為田)