ナンシー・アトウェル『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』を読んでいます。じっくりひとり読書会ということで、ハッシュタグ「#イン・ザ・ミドル中」を使ってTwitterでメモを書いています。こちらをブログには章ごとにまとめていこうと思います。
今回は、第5章「読み手を育てるミニ・レッスン」です。リーディング・ワークショップの中で時間をとって行うミニ・レッスンについて紹介されています。
読むことについてのミニ・レッスン
最初に、読むことについてのミニ・レッスンでやることなどが紹介されていきます。
「私が生徒に提供し続けてきたものは、生涯にわたって文学を愛する読み手を育てるための唯一の入り口です。それは、自分で選んだ本を頻繁かつ大量に読む経験。」(p.204) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
「そして、それに伴って、作家の選択や、言葉づかいや、生み出された効果や、展開していくテーマについて語ったり書いたりする機会です。」(p.204) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
読むことについてのミニ・レッスンでやること:本を選んだり、やめたりする自分なりの基準を見出すこと。一篇の詩をひらくこと。フィクションの特徴を押さえながら自分の意見を述べること。自分の好みとその理由を知ること。表現の形式を知ること。(続く)(p.204) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
読むことについてのミニ・レッスンでやること:比喩や象徴に気づくこと。楽しみのための読書と学ぶための読書の違いをわきまえて読むこと。そして、年間を通して計画的に読み、自分の読書経験に責任をもつこと。(p.204) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
このなかで出てくる、「楽しみのための読書と学ぶための読書の違いをわきまえて読むこと」がとてもおもしろいと思いました。たしかに、この2つは読み方としてまったく別のものです。
「楽しみのための読書と学ぶための読書の違いをわきまえて読むこと」っていうのは、学校で教わりたかったなあ。この2つが、共に「読解力」という言葉でまとめられている気がする。「教科書を読めない」というRSTと、学ぶための読書と、どう違うのかとか、考えたい。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
リーディング・ゾーンに入るための方法
実際にどんなふうに読めばリーディング・ゾーンに入るのかということについて詳細に書かれていました。これは、文章を精読していくばかりでなく、もっと根本的な文章の読み方になっていて、具体的でとても興味深かったです。
心理言語学理論を活用した目標―リーディング・ゾーンに入ろう1.まずたくさん頻繁に読む。長期記憶に大量のスキーマを保存する。(略)2.個別の単語ではなくて、意味のまとまりをつかもう。3.「内容語」と言われる、意味を運んでいるキーワードに集中しよう。(略)(p.217) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
4.悪い習慣をやめよう。読みながら唇を動かしたり、小さい声を出して読んだり、いつも戻って読むような読み方。これを行うと、短期記憶がいっぱいになり、一語一語に注意を払うため、読むのが遅くなる。(略)スピードをあげることで、気が散りにくくなり、理解度が上がる。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
5.鉛筆やカードなどを使って一行ずつ分けて読むのをやめよう。自分が見る範囲を限定してしまうと、まとまりがつかみにくくなる。(p.217)→このあたり、ものすごく実用的なアドバイスだと思う。好きな本で、こういう悪い習慣をやめる訓練をすればいいのか。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
6.より多くのジャンルを読もう。長期記憶により多くのスキーマが蓄積できる。(略)10.読んでいるものに関して(略)それに関わるスキーマをもっていない場合は、読むペースを落とすことが必要。(p.217-218) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
11.読んでいるものについてのスキーマを豊にしっかりもっていて、たやすく読める場合、スピードをどんどんあげてもよい。(p.218)→このあたり、大学の頃に深谷ゼミで読んでいた『コトバの「意味づけ論」―日常言語の生の営み』を懐かしく思い出す。その後、どうなったんだろ? #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
2つの読み方の違いを知る
ルイーズ・ローゼンプラットによる、「喜びを味わう」読み方と「情報を得る」読み方の分類が紹介されます。個人的には、「情報を得る」読み方の方により興味があります。
ルイーズ・ローゼンブラットは並行して存在する読み方の枠組みを説明している:1.「喜びを味わう」読み方=物語や詩のなかに生きる。リーディング・ゾーンで読む読み方 2.「情報を得る」読み方=何が学べるかに注意を向ける。(p.218) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
「読む本のジャンルによって理解の仕方が異なることを生徒が学べるようにするのも、私の責任です。」「情報を取るために読むときには、(略)価値も関連性もある様々な文章を使う」(p.219)例:図、表、年表、社説、要約、雑誌、新聞記事など #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月4日
「理解しかつ記憶に残せるように、歴史や理科の文章を読む方法 1.文、イラスト、見出し、ページの横にある囲みなどを、ざっと眺めて、頭の中に読むものの概略を描き、思考のスイッチをいれ、長期記憶を活性化させる。(p.219) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月7日
3.段落を読み終えたら、立ち止まり、ふり返って余白に以下の記号を書く。チェック すでに知っている。★重要。?質問、あるいはわからない。!面白い、興味が引かれる。◎新しいことを学んだ。(p.220)→記号を付けていく読み方はおもしろい。デジタルで検索できるといいな。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月7日
4.上記の記号以外に、思考を深め、あとで思考がたどれるように、自分用に余白にメモをする。 5.自分の読みを観察する。(略)集中できていないときがあれば、そういう状態であることを意識し、テキストに戻り、うまく読めていないところを読み直す。(p.220) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月7日
6.歴史や理科の場合は2回読む。(略)2回目には自分の思考の流れも追っていく。7.2回めを読み終えた後は、テキストを横において、書いてあったことを口に出してみる。自分で★をつけたところや◎をつけた箇所について、覚えていることを口に出して、自分をテスト。(p.220) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月7日
上で書かれている、ページに記号を書き込んで分類する、というのはKindleのマーカーを色で使い分けることで同じようなことはできないだろうか、と思い調べてみました。僕自身はKindleのマーカーは一色しか使っていないけれども、色分けもできるようです。そうすると、Kindleのマーカーの位置を検索かけられるので、読み直しとかが楽だろうか、と思いました。
あとは余白にいろいろと書き込めるようになって、それもある程度OCR化されて検索できるようになるとより良いかな、と思いました。さらに、「1冊」という単位ではなく、自分がこれまで読んできた本全体での検索もKindleでできるようになれば…と妄想しましたが、これはあまりに「情報を得る」読み方に偏った要望かもしれない、と思います。
でも、日経電子版を購読していますが、記事をクリップできたり、キーワードをチェックしてもらえたりするのは実はすごく便利なので、うまく組み合わせるとおもしろいのではないかと思っています。
読むことと書くことの繋がり
書き手を育てるミニ・レッスンと読み手を育てるミニ・レッスンは繋がります。書く技術は読む技術にも繋がるものです。そのためにも、たくさん書かなくてはならず、たくさん読まなくてはならない、ということなのだと思います。
「読むことのミニ・レッスンの大半は、文学に関わるものです。ジャンル、構成や形式、特徴、作家と詩人、文学用語、分析、批評。」(p.221)→文学をよむというのが鑑賞の方によらずに、読む技術にどう繋がるのか、とても興味ある。それとも、鑑賞そのものも大事なのか? #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月7日
「書き手が使う技についてのミニ・レッスンは、生徒が書き手として使える知識を与えるだけでなく、反応しながら読む読み手としても役立ちます。」(p.221)→リーディング・ワークショップで得たこととライティング・ワークショップで得たことが繋がる。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月7日
「ミニ・レッスンで扱う優れた文章の中には新聞記事もあります。」新聞から時事的な出来事についての記事を読み、話し合う。また、年間で30以上の記事をニューヨーク・タイムズ紙から選んで読んでいる。生徒が興味を持ちそうなトピックについての記事や主張文も。(p.234) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年10月7日
まとめ
ちょうどいま、読解力についてのプロジェクトに取り組んでいるので、読み手を育てるミニ・レッスンで書かれていることは参考にできそうだと思いました。
次は、第6章「一人ひとりの書き手を教える」へと進みます。
blog.ict-in-education.jp
(為田)