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福生市立福生第七小学校 EdTech研究発表会 及び コミュニティ・スクール報告会 レポート No.2(2020年2月7日)

 2020年2月7日に、福生市福生第七小学校にて開催された、EdTech研究発表会 及び コミュニティ・スクール報告会に参加しました。福生市福生第七小学校の2019年度の研究主題は、「EdTech(教育×IT)を活用して、21世紀を生き抜く確かな学力を育む ~1人1台タブレット端末がもたらす新しい学びのかたち~」です。

 公開授業の様子を引き続きレポートします。

6年生 総合的な学習の時間

 山田美佳 先生が担当された6年2組は、体育館で総合的な学習の時間「ミッション!ドローンを飛ばして支援物資を届けよう!!」を行っていました。
 この授業は、iPadでドローンを飛ばす授業ですが、全8時間(本時が7時間目)の授業の中で、「災害時に道路や線路が寸断されて支援物資が届かず困っている人のもとに、物資をどう届けるのか」というシチュエーションで、その問題を解決するアイデアを考えるという学習を行っています。そのうえで、3つの地域にドローンを使って物資を届けるために、地図上でルートを決めて、そのためのシミュレーションを行う、ということをしてきていました。
 この日、体育館にはドローンのためのコースが作られていました。奥に見えるフープがトンネル、跳び箱の上のマットは山頂(跳び箱村)、そして手前に見えるパネルは絶壁(絶壁村)を表しています。ドローンは、トンネルを通り、マットの上に一度着陸して、また離陸し、パネルの上を超えて着陸します。物資を届けて、また同じルートで戻ってくるというコースになります。
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 iPadをグループで1台持ち、TELLO EDUのアプリでドローンを飛ばします。自分が考えたコースがうまくいくのかを何度も何度もシミュレーションします。画面上でのプログラムではうまくいっても、実際に体育館で行えば、さまざまな条件によってシミュレーション通りにいかないこともあります。そうしたときに、修正していくことも重要なスキルになります。
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 正しく飛ばすためのシミュレーションには、計測することも大切です。メジャーで飛ばしたい距離を測り、そのデータを用いて計算し、ドローンにプログラミングする、ということも行われていました。
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 プログラミングしたら、グループ内で共有し、みんなでドローンを飛ばして、望んだ通りに飛んだかを見直していきます。このプロセスは、授業のめあてとともに、ホワイトボードに貼られています。
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 それぞれのグループが作ったプログラムは、スクリーンショットで撮影して、みんなで共有していました。こうすることで、「そういう工夫の仕方があるのか」ということに気づけます。
 今回はルートが1つだけでしたが、ルートの選択肢を増やしていったときには、こうしたプログラムの共有はより重要になると思います。「こっちのルートの方が危険が少ない」「こっちのルートの方が速い」などのように、プログラムの意図を話してもらえることも、こうして「支援物資を届ける」というシチュエーションを作ることの良さだと思います。
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 6年2組がすばらしかったのは、多少のトラブルがあっても、「もういいや」とならず、先生もがんばっているグループを待ち続けて、自分たちで考える時間をたっぷりととっていたことだと思います。ミッションをただ成し遂げて終わり、というようなものではなく、自分たちで工夫する楽しさ、というのが出ていた授業だったと思います。
 授業時間の最後にようやくドローンを飛ばせたグループは、たくさんの見学者の皆さんからの拍手をもらいました。こうした経験自体も、とても大切だと思います。
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まとめ

 公開された授業は、いずれのクラスも福生第七小学校の先生方が自分たちで指導案を書き、自分たちで教材研究をして行ったものです。Clipsやドローンなどについては、8月に公開EdTech研修会のなかで紹介をしたのですが、そこからの進歩が目覚ましいと思いました。そして、先生方こそが福生第七小学校の児童のことをいちばん近くで見ているわけなので、指導案にいちばん良い形で落とし込むのは、やはり先生方の仕事だな、と感じました。
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 No.3に続きます。
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(為田)