教育ICTリサーチ ブログ

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福生市立福生第七小学校 EdTech研究発表会 及び コミュニティ・スクール報告会 レポート No.1(2020年2月7日)

 2020年2月7日に、福生市福生第七小学校にて開催された、EdTech研究発表会 及び コミュニティ・スクール報告会に参加しました。福生市福生第七小学校の2019年度の研究主題は、「EdTech(教育×IT)を活用して、21世紀を生き抜く確かな学力を育む ~1人1台タブレット端末がもたらす新しい学びのかたち~」です。
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 最初に公開授業があり、その後で基調講演とシンポジウムというプログラムになっていました。

 公開授業では、1年生から6年生まで、iPadを活用しての授業が行われていました。この日の参加者は239名(うち137名が学校関係者・教育委員会の方、60名が保護者の方)だったそうです。全国からの教育関係者と共に、保護者の方と地域の方にも授業を見ていただけたのは非常によかったと思います。学校の内部の人だけでなく、保護者や地域の方など、学校を取り巻く方々にも、「“自分たちの住む地域にある学校”が、EdTechを活用することでどんな授業ができるようになるのか」を知ってもらうことは、本当に大切なことだと思います。
 公開された授業のなかから、見学した授業のレポートをしたいと思います。

2年生 生活

 望月敬規 先生が担当された2年2組は、生活の授業「作ってためして」を行っていました。これまでの授業で、ゴム・空気・磁石・ひもなどの力を使って、動くおもちゃを工夫して作っていました。
 この時間では、自分たちが作ったおもちゃを遊んでもらえるように、Clipsを使ってグループごとにオリジナルCMを作っていました。
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 児童は、CMを見た人が「このおもちゃで遊んでみたい」と思ってくれるように、CM作りを行っています。言葉やスタンプなどを使って、どんなところに工夫したのかが伝わるように考えていました。
 書きたい言葉があるからこそ、文字入力にも積極的になります。かな入力をする児童も、ローマ字入力をしている児童もいました。
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 おもちゃの遊び方を説明する動画とメッセージ動画を撮影していました。Clipsを使うと、動画撮影と編集を簡単に行えるようになります。文字やイラストなどの表現だけでなく、動画という新しい表現手法が児童のものになります。
 撮影したものを再生して、もう一度撮影し直して…という動画の推敲作業も、どこかで「作文でも同じように、伝わるかどうかを考えて文章を読み直して、書き直したほうがいい」というふうに繋がるといいと思います。そうした導きこそが、先生方が教室でやることの意義になると思いますし、そうしたことをしているクラスメイトの存在も意味があると思います。
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 この後、モニターにCMを映してみんなで見合って、それぞれの良さを伝え合う、という活動へと繋がっていきます。人に何かを伝えることの難しさと楽しさを、動画というフォーマットによって知ってもらう授業になっていたと思いました。

Clips

Clips

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5年生 図工

 冨岡あゆみ 先生が担当された5年1組は、図工室で図工の授業「コマ撮りアニメーションを作ろう!」を行っていました。「アニメーション作りを通して、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり、創造的につくったり表したりする力を培う」が目標となっている授業でした。

 これまでの授業で、色つきのクレイ粘土で物語のキャラクターをつくり、アプリ「Stop Motion Studio」を使ってコマ撮りアニメーションを作成しています。そして、工作用紙の台紙を使って、背景を色画用紙を組み合わせて作っています。
 この時間では、iPadを動かさないように固定して、構図を考えて撮影していきます。コマ撮りなので、少しずつクレイ粘土のキャラクターを動かして撮影をしていきます。

 図工室に入ってまず驚いたのは、キャラクターの色鮮やかさでした。粘土でキャラクターをつくって、「これが動いたらいいのに…」というのは、誰しもが思ったことはあることだと思います。それが実現できるのは、やはりおもしろいのだと思います。
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 クレイ粘土は、乾いても固まらない粘土を使っているそうで、細かい手足の動きなどをつけている児童もいました。
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 空を飛んでいるキャラクターを撮影するには一人では難しいので、協力して行っています。紐をつけて上から吊るして、「撮影ボタン押して。もうちょっと上!」と構図のディレクションも行っていました。こうした共同作業も生まれますし、「こういう構図を作るの、すごい!」とクラス内で刺激を与え合うことも、教え合いも生まれるのではないかと思います。
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 児童のクレイ粘土を使ったコマ撮りアニメーションだけでなく、作業を説明する先生の板書も、非常にかわいくていいな、と感じました。こういう細かいところも、児童の「つくってみよう!」「これ、おもしろくない?」という創造性を刺激するポイントになるのではないかな、と思いました。
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Stop Motion Studio

Stop Motion Studio

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 No.2に続きます。
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(為田)