2020年8月1日に、セサミストリート オンラインサマーキャンプを開催しました。いつもの夏休みならば、全国あちこちまわって、セサミストリート・ティーチャーとしてワークショップをたくさんの子どもたちとやっているのですが、今年の夏はあちこち出かけることはできませんので、オンラインでセサミストリート・カリキュラムを実施することにしました。
午前に小学校3年生・4年生向けのクラス、午後に小学校5年生・6年生向けのクラスがありました。僕と子どもたちが会ったことがないというのはいつもと同じですが、子どもたち同士も会ったことがないという状況で、Zoomで繋ぎながらschoolTaktを使ってふだんやっているペアワークとグループワークを代替することを目指しました。
先生をする僕はオフィスの会議室で、WindowsPCでZoomと画面共有して説明するためのschoolTakt(生徒アカウントでログイン)を起動していました。マイクはスマートスピーカーを接続していました。あと、参加してくれた子どもたちのワークシートを確認したり、授業の進度を確認するために、iPadでschoolTaktを開き、先生アカウントでログインしていました。
Zoomのミュート機能の使い方を最初に練習しましたが、みんなほとんど問題なくできていました。Zoomでの発話と、チャット機能を使って、わからないことの質問もしてきてくれていました。PCでの参加、タブレットでの参加、スマホでの参加と、環境がさまざまだったのが大変ではありましたが、保護者の方の助けもいただいて授業を行うことができました。
小学校3年生・4年生「おもいやりのあるお金の使い方」
午前の小学校3年生・4年生向けのクラスのテーマは、「おもいやりのあるお金の使い方」でした。セサミストリートの動画を見てから、みんなで思いつく限りの「お金の使い方」を最初にschoolTaktで用意したワークシートに書いてもらいました。
「えんぴつ」ボタンで書いてもいいし、「テキストボックス」ボタンでキーボード入力してもいいですよと伝えて、どんどん書いてもらいました。
教室で行うセサミストリート・カリキュラムでは、隣の人の書いているワークシートを見て、「おお、こういうのも書いていいんだ!」「こういうの書いたらおもしろいな!」とどんどん自分の考えを広げて、みんなの考えを拡散していきます。これはZoomだけではなかなか同じ状況を作れないので、ある程度の時間をとってみんなのワークシートが埋まり始めたら、それぞれのワークシートを見られるように先生アカウントで設定を変更して、「他の人のも見てみてね」と伝えました。
schoolTaktでは、子どもたちがそれぞれ誰のワークシートを見に行ったかというのもわかるようになっています。こうして見てみると、遠く離れている場所でオンラインサマーキャンプに参加してくれているのに、こうしてお互いのワークシートを見て考えを広げていけるのは素晴らしいと思いました。
小学校5年生・6年生「自分のキャリア」
午後の小学校5年生・6年生のクラスでは、「自分のキャリア」について考えてもらいました。セサミストリートの動画を見てから、みんなで自分の「なりたいこと」「やりたいこと」について考えてもらいました。
画面共有をして、「えんぴつ」ボタンと「テキストボックス」ボタンを使ってお手本を見せて、どんどん書いてもらいました。最初に「夢」を書いて、そこから計画をたて、行動として何をするかを考えていきます。
ある程度みんな書いた状態で、午前のクラスと同じように、お互いのワークシートを見られるようにしました。午後のクラスでは、お互いに「いいね」をつけてもいいことにしました。全然知らない人が書いた夢と、その夢に向かう行動を知ることは、同じ夢を持っていなくても、何らかの刺激になってくれればいいと思いました。
schoolTaktの先生画面で見てみると、「いいね」をお互いにつけあっていることがよくわかります。
お互いに初対面だし、ワークシート上でしかどんな人かがわかりにくいオンラインサマーキャンプでは、「自分のワークシートを発表してみる!」という人は、教室でやるときよりも少なかったですが、それでも自分以外の人の書いたワークシートを見ることができるのは非常にいい学びのきっかけになるのではないかと思っています。
オンライン授業をやってみて感じたこと
今回、オンラインサマーキャンプをやることにした理由のひとつは、セサミストリート・カリキュラムを導入している埼玉県戸田市の先生方から、コロナの影響で「グループワークができないのはどうしたらいいでしょうか?」という質問を多くいただいたことでした。セサミストリート・カリキュラムの大きな要素として、正解のないことを自由に考え、発表し、人と伝え合い、考えを広げていくということがあります。その過程でグループワークが重要な役割を担っています。その部分を学校でできないいま、オンラインで何らかの代替ができるのかを、自分たちでやってみたかったのです。
Zoomで音声をやりとりするだけでなく、お互いに書いたワークシートを見られるようにすることで、さまざまな効果が得られると思いました。今後も、こうしたオンラインでの学びについても可能性を探っていきたいと思います。いつか、エルモやクッキーモンスターやジュリアにも、授業に参加してもらいたいな、と思いました。
(為田)