教育ICTリサーチ ブログ

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戸田市立芦原小学校 セサミストリート・カリキュラム研修会レポート(2022年5月18日)

 2022年5月18日に戸田市立芦原小学校を訪問し、セサミストリート・カリキュラムの研修会に講師として参加させていただきました。芦原小学校は、戸田市でのセサミストリート・カリキュラム導入時からパイロット校としてお世話になってきた学校です。

示範授業「自分の役割について考えよう」

 セサミストリート・カリキュラム研修会の前に、松本明子 先生による示範授業「自分の役割について考えよう」を参観させていただきました。
 この授業では、セサミストリートのストーリーのなかで、キャラクターたちが自分の得意なことを考えて役割分担する様子を見ます。それからワークシートを配布して、子どもたちに「自分の得意なことや特徴」を書いてもらいます。そのあと、4人グループに分かれて、「この4人で探検隊になって無人島へ行くなら、どんな役割を一人ひとりがするか」を、それぞれの得意なことや特徴を書いたワークシートを見ながら考えていきます。

 最初の「自分の得意なことや特徴」を書いてもらうワークでは、できるだけいろいろな得意なこと、特徴を子どもたちがワークシートに書き込めるように、松本先生が自分の得意なことや特徴を例として挙げていきます。たとえば、「声が大きい」「人を楽しませられる」「計算がはやい」「背が高い」などの例を出していくことで、子どもたちがワークシートに自分のことを書きやすい雰囲気を作っていきます。
 ワークシートに取り組むうちに、子どもたちから、「先生、立って聞きに行ってもいいですか?」という声があがったので、松本先生は「友だちに訊いてもいいし、周りにいる先生に“僕ってどんなことが得意ですか?”と訊いてみてもいいよ」と言います。

 その後で、それぞれのグループで探検隊の役割決めをします。「設計図を書く」「食べ物を探す」など、グループのメンバーそれぞれの得意なことや特徴にあった、さまざまな役割が登場しました。

 この活動を通じて、子どもたち一人ひとりが、「これしかできない」でなく、「これならできる」「これができる」というふうに思えるようになればいいな、と思いました。そうした支援をするには、ふだんから子どもたちを見ている芦原小学校の先生方だからこそできる見取りや声掛けが有効です。

セサミストリート・カリキュラム研修会

 放課後の研修会では、最初にセサミストリート・カリキュラムとはどのようなものなのか、学校でセサミストリート・カリキュラムの授業をするためにある指導略案、スライドやワークシートなどの紹介をしました。

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 研修会に参加された先生方は学年ごとに座っていたので、参観した示範授業を見た感想、僕が紹介したセサミストリート・カリキュラムの概要を合わせて、自分たちの学年でセサミストリート・カリキュラムを行うときにどんなふうにしたいのかについて話し合ってもらいました。
 研修会の会場になっていた芦原小学校の多目的室のテーブルは塗料が塗られていて、テーブルにマーカーで書き込みができるようになっていたので、話し合いをしながら、そのままテーブルにいろいろな意見を書いてもらいました。

 今回の示範授業のワークシートで4年生の子どもたちが書いた「自分の得意なことや特徴」は、高学年だったらどうなるだろうか、低学年だったらどうなるだろうか、と自分たちの学年に引きつけて考えてもらいました。ふだんから子どもたちのことを見ている先生方だからこそ感じる点はたくさんあると思います。例えば、高学年の先生方が書いていた、「高学年だと自分のことは恥ずかしいかもしれない」というような懸念も、もっともだと思います。こうした懸念を乗り越えるために、セサミストリート・カリキュラムでは、指導略案やワークシートをカスタマイズして活用してもらうこともできるようになっています。例えば、人に見えないようにICTを活用して書いてもらったりもできると思います。
 セサミストリート・カリキュラムでは、「ワークシートに自分の考えたことを、とにかくたくさん書く」という体験をしてもらいたいと思って設計していますが、芦原小学校の子どもたちのことは、芦原小学校の先生方がいちばんよく知っているので、それぞれの学年で子どもたちのためになるようにカスタマイズして授業を実施してもらえればいいと思います。

 セサミストリート・カリキュラムが芦原小学校の子どもたちの学びのために活用されていく、そのための第一歩にこの研修会がなればいいな、と思います。

おまけ

 研修会のなかで先生方がマーカーで書き込んでいたテーブルですが、「書考楽(ショコラ・テーブル)」と言うそうです。「書いて、考え、楽しく学習するためのテーブル」というのが名前の由来だそうです。名前は2年前の6年生が考えてくれて、それを図工が専門の教頭先生がデザインしたパネルが多目的室に貼ってありました。こうして話し合いが進む場を作る工夫もとてもいいな、と思いました。

(為田)