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日本女子大学附属豊明小学校 授業レポート No.2(2022年9月15日)

 2022年9月15日に日本女子大学附属豊明小学校を訪問し、第2音楽室で川羽田先生の担当する2年かえで組の音楽の授業を参観させていただきました。

 第2音楽室の前には短焦点プロジェクタとスクリーンが用意されていました。先生のiPadのカメラ機能を使って実物投影機のようにキーボードを映していて、先生の指使いを見ることができるようになっています。
 この日は、「かっこう」をキーボードで演奏していたのですが、川羽田先生は片手でピアノ伴奏をしながら、同時にプロジェクタに投映されているキーボードで子どもたちのお手本となる演奏をしていました。
 楽器の指使いなどを教室全体に見せるために、これまでは「みんなキーボードの周りに集まって」と言って直接見せていましたが、こうしてiPadとプロジェクタを使うことで、全員が着席したままで見えるように提示することができます。

 川羽田先生は「メロディオンとピアノでは、どんなところが違うでしょう」と子どもたちに質問して、メロディオンを演奏している手元を映した動画を見せます。子どもたちからは、「(鍵盤を)ずっと押してた!」という声があがります。
 ここから、メロディオンの演奏の特徴である、息で音を切ることができる(=タンギングができる)ことを説明します。

 新型コロナウイルス感染症対策のため、現状は学校でメロディオンを吹くことができないので、学校ではキーボードを使って練習をしているそうです。
 川羽田先生は、「学校ではメロディオンを吹けないけど、家の宿題ではメロディオンを吹けるので、タンギングしてみてください」と宿題として家でメロディオンの練習をしてくるように伝えます。

 川羽田先生はスクリーンに絵文字も入ったスライドを映しながら、宿題の内容を説明します。宿題は、「かっこう」をメロディオンで練習し、録画をして、ロイロノート・スクールで提出する、というものでした。
 「メロディオンを演奏している姿勢や指使いも見たいので、顔とメロディオンが両方入るように撮影してください」と川羽田先生は言います。

 課題曲「かっこう」を先生がメロディオンで演奏しているお手本の動画も、ロイロノート・スクールの資料箱に入っていますので、子どもたちは何度もお手本の演奏を聴いて練習することができます。
 また、家庭で保護者の方もお手本動画を見ることができるので、それを基準にして子どもたちを手伝ったり、励ましたりすることができると思います。iPadでインカメラで顔とメロディオンが両方入るように撮影するのは調整が難しいので、ここでも保護者の方のサポートが生まれつつ、子どもたちがどんなふうに音楽の授業に取り組んでいるのか知る機会にもなると思います。

 最後に、実際にiPadで動画を撮影する練習をしました。カードを作り、カメラボタンを押して動画を撮影する方法を紹介してから、「先生の演奏をとってみてほしいです」と言って、川羽田先生はキーボードの演奏を始め、その様子をみんなiPadで撮影していました。こうして自分たちで撮影する機会をみんなで事前にやってみてから、家庭で自分でやるというステップを踏んでいるのがいいと思います。

 今回の宿題の提出締切は、この授業が行われた1週間後の9月22日となっていました。提出日まで1週間あれば何度も練習できますし、録画したものを提出することになるので、何度も録画していちばん良い演奏を提出することができます。教室で順番に一発勝負で実技を見せるよりも、緊張もしないと思いますし、何度もやり直せばいい、という姿勢を育てることにも繋がると思います。
 また、評価する側の先生としても、録画されたものを提出してもらうことで、何度も実技を見ることができますし、他の子どもとの比較検討を行うこともできます。

 実技の評価方法もデジタルが活用されることによって、変わってきていることを感じました。

 No.3に続きます。
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(為田)