西村能一 先生の著書『科学の名著50冊がざっと1冊で学べる』を読みました。科学に興味を持ってもらえるコンテンツとして、どんなものがあるのかなと思って読んでみました。
学校の授業だけでなく、マンガ・ドラマ・映画などのエンタメなど、いろいろなきっかけが科学への扉を開くことがあると思うのですが、そのなかでも、出会いのあとで専門的な方向へ進むためには、良い本との出会いが有効だと思っています。学校の図書館においてあったらいい一冊だなと思いました。
巻頭に、西村先生のこの本についての思いが書かれています。一流の科学者が一般の人に向けて書き残した文章=名著が、科学好きを育ててくれるのではないか、ということが書かれています。
私の目標は、サイエンスが好きな人を増やすこと。そのために、理系にまつわる魅力的な話をたくさん披露する機会を設けたいといつも考えてきました。その目的を果たす手段のひとつが、本書の出版でした。
科学の発展には論文が必要です。ただ、一般の人が論文を読むのは簡単ではありません。それらは専門家に向けて書かれているからです。ただ、じつは一流の科学者ほど一般の人に向けて文章を書き残しています。そして、それらの一部は名著として現代に受け継がれています。(p.2-3)
全体は5つの章からなっています。それぞれの本が紹介されているページで、西村先生によるそれぞれの本の紹介が書かれています。また、文字量と難易度が3段階ずつで評価されているのもおもしろいと思いました。
- 第1章 奥深き「科学の精神」に触れたい! サイエンスが好きになる名著11冊
- 第2章 学校では教わらない楽しい科学 子どもに読ませたい名著11冊
- 第3章 現代科学の源流はここにあり! 一度は読んでおきたい古典の名著11冊
- 第4章 私たちが生きる世界の正体とは? 科学の法則がわかる名著9冊
- 第5章 科学者の功績と苦悩に触れる! 科学の歴史がわかる名著8冊
読んだことがある本も、全然ない本もあったのですが、個人的に気になったものを何冊かだけ紹介したいと思います。
1冊目は、『ロウソクの科学』(マイケル・ファラデー)です。ロウソクにまつわるさまざまな現象を説明してくれている本らしいですが、難しいらしいので、解説本として『「ロウソクの科学」が教えてくれること』の方をオススメされていました。こっちから読んでみようかな。子どもたちに話すネタを探せたらいいな、と思いました。
2冊目は、『バッタを倒しにアフリカへ』(前野ウルド浩太郎)です。タイトルが独特だったのと、書店で平積みになっていたので知っているのですが、まだ読んでいません。著者の前野さんの子どもの頃からの夢は、「バッタに食べられたい」だそうです。すごい…。「研究者の情熱と狂気を体感できる」そうで、こういう熱狂を本で疑似体験するのはいいな、と思っています。
3冊目は、『数の悪魔』(H・M・エンツェンスベルガー)です。この本も書店に並んでいるのを見たことあります。でも、読んだことがない。それは僕が高校1年生の時点で数学からドロップ・アウトするくらい苦手だったからです。でも、「数学アレルギーの人に読んでもらいたい」と書いてあるので、挑戦してみようかなと思います。
最後に、『計算機と脳』(J・フォン・ノイマン)です。いつも聴いているPodcast「ゆるコンピュータ科学ラジオ」で、ノイマン回をやっていたので、それと合わせて読んでみたいです。ノイマンの「人類史上最高のIQ300」「幼少の頃、電話帳をすべて暗記して名前と電話番号と住所が一致した」「8歳で微分積分ができた」などの伝説が書かれていますが、もっとやばいエピソードを僕は「ゆるコンピュータ科学ラジオ」で知りました(笑)
こういう本が図書室にあって、理科の先生がそのことを知っていて、ちょっと授業で本を紹介してくれたりしたらいいなと思います。子どもたちにとっての名著との出会いは、学校の先生(と教科書)が仕掛けてくれると、いろいろな探究に繋がるんじゃないかなと思います。読んだ感想とかをみんなでクラウドにアップして読み合うようにしても楽しそうです。
この50冊から、好きな本をみんなで読み合って感想をアップし合うのを授業の中でやってみたいなと思いました。
(為田)