教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

常翔学園中学校・高等学校 授業レポート No.6(2023年6月22日)

 2023年6月22日に常翔学園中学校・高等学校を訪問し、白神順子 先生が担当する中学校1年4組の音楽の授業を参観させていただきました。この日は、3曲の音楽を聴いて気持ちを共有する授業でした。白神先生は、音楽を聴く楽しさのひとつとして、「気持ちを共有するのが楽しい」と生徒たちに伝えていました。
 そこで、岡崎体育「キミの冒険」、Woodkid「Run Boy Run」、back number「HAPPY BIRTHDAY」の3曲をApple musicで再生して、それぞれの曲を聴いてもった自分のイメージをプリントに書いてもらっていました。

 一人1枚ずつ配られたプリントには、「色は?」「時間帯は?」「気持ちは?」「どんな時に聞きたい?」という欄が書かれています。1曲ずつ聴きながら、それぞれの質問に自分で感じたことを書いていきます。そして最後に、「いま聞きたい曲」はどれか、1位~3位に順位づけしてもらいました。

 ロイロノート・スクールを使って、どの曲をいちばん聴きたいと思ったかを書いてもらい、提出してもらいました。曲名を書くだけなので、カードは1枚ですむのですが、複数のカードにまたがって「・・・・・・」と書いて盛り上げようとしている生徒の答えを見るときには、白神先生が「ドラムロール!」と言い、子どもたちが机を叩いて教室全体でドラムロールをしていました。こうしたちょっとした楽しみ方も、音楽を楽しむこと、「おもしろいことをしよう」という気持ちを上げることにつながると思いました。

 この後で、曲を聴いてどんなふうに感じたかをプリントに書き込んだことをグループで1曲ずつ、共有していきました。プリントにある、「色」「時間帯と季節」「気持ち」「どんなときに聞きたい」の欄に書いたことをグループで1曲ずつ共有していきます。 

 途中で、クラス全体で思いをシェアします。生徒に「曲を聴いてどう感じたか」を発表してもらうときに、白神先生は「音楽を聴いてどんなふうに思うかは、一人ひとりのもので、正解かどうかを確認するのではないですよ」とくりかえし言っていたのが印象的でした。それもあって、思ったことをみんなで共有するのがとにかく楽しいイメージでした。
 例えば、1曲めの岡崎体育「キミの冒険」はポケットモンスターの曲だったので、ピカチュウのイメージに引っ張られるのか、イメージを「黄色」という生徒が多かったです。2曲めのWoodkid「Run Boy Run」では、「戦う時」「テスト前です」「戦場、危険と隣り合わせ」「ハラハラする」「スタートダッシュ」というイメージが発表されました。

 授業の最後に白神先生はもう一度、「これは答え合わせじゃないよ。いろんな曲を聴いて、いろんなイメージをもって、好きな曲のタイプが分かったらいいと思う」と言いました。
 同じ曲を聴いてもいろいろなイメージをもっていることが、この授業でプリントに書いたりグループで意見を交流したりしてわかったので、最後に白神先生が言った「勇気を出すとき、支えてほしいとき。音楽は一生の友達になります。知らない曲と出会いたいときは、好き嫌いでもいいし、どういう気持ちで作られているか考えてみるといいですね。音楽であなたの人生は豊かになります」という言葉が、生徒たちに届いたのではないかと思いました。

 No.7に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)