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戸田市立戸田第二小学校 授業レポート(2023年9月8日)

 2023年9月8日に戸田市立戸田第二小学校を訪問し、椙田和也 先生が担当する6年2組の図工の授業で、セキュアロジック株式会社と連携して開設したメタバース美術館「T2 MUSEUM」を使った鑑賞学習の様子を参観させていただきました。

 授業の最初に椙田先生はプロジェクターでメタバース美術館「T2 MUSEUM」の画面を表示して、作品が展示されている様子を子どもたちと一緒に見ていきます。

 メタバース美術館「T2 MUSEUM」にアクセスすると、戸田第二小学校の校門が表示され、地面の矢印をクリックすることで校内を進んでいくことができます。展示室へ行くと、学年ごと、クラスごとに作品が展示されています。

 クラスをクリックすると、子どもたちの作品が並んで展示されているように画面に表示されます。ひとつひとつの作品をクリックすると、その作品が画面中央に大きく表示されるようになっています。

 メタバース美術館「T2 MUSEUM」での鑑賞を始める前に、椙田先生はスライドを表示して、作品を見るポイントとして「形や色などのよさ」「作品の思い、願い」「表し方の工夫」の3つを作品のよさ・美しさを探す、鑑賞の手がかりとして示しました。
 作品を鑑賞したら、Googleスライドで用意されたワークシートに、「いいな」「美しいな」と思った作品をスクリーンショットで撮影し、その横に自分の考える“よさ”と“美しさ”を書いてほしいことを伝えます。

 「メタバース美術館のURLは、Googleクラスルームの6年2組のストリームにリンクを送ってあります」と椙田先生が言うと、「僕、ブックマークしてます。思い出になりますよね」と言っていた子がいました。メタバース美術館「T2 MUSEUM」は、夏休みの間に1年生から6年生全員の作品を展示し、児童・保護者への公開を開始していたので、夏休みの間に見ていた子もいたようです。
 また、椙田先生は「メタバース美術館は、URLを知っていれば、誰でも見られます。遠くに住んでいるおじいちゃんおばあちゃんも見ることができますよ」とも言っていました。
 「いつでも」「どこからでも」作品を見ることができ、「いつまででも」「何回でも」見ることができるのが、メタバース空間での作品展示の良さだと思います。

 メタバース美術館へのアクセスの仕方と、鑑賞のポイントの説明が終わると、椙田先生が「楽しく鑑賞してきてください。行ってらっしゃい」と言って、鑑賞がスタートします。
 子どもたちは自分のChromebookを使って作品を鑑賞し、コメントをスライドに書いていきます。鑑賞をする場所も子どもたちに任せられていたので、机を移動して好きな場所で鑑賞を始めました。教室内だけでなく、広い廊下もオープンスペースとして活用していて、グループで作品を鑑賞して感想を言い合っている子も、一人で鑑賞する子もいました。いろいろな鑑賞スタイルがあるのがいいと思います。

 コメントを書く時間を少しとった後、自分で選んだ作品と作品について書いたコメントをクラスメイトと交流する時間になりました。子どもたちはChromebookをもって自由に立ち歩いて交流していきます。まだコメントを書き終わっていない子もいましたが、交流しながらコメントを書き続けたりもしています。鑑賞のペースも、コメントを書くペースもそれぞれでした。
 クラスメイトに感想を読んでもらって、「たしかに」と言われたり、クラスメイトのコメントで読んで、自分では上手に言葉にできなかったことを「そういうふうに言ったらいいのか」と気づく子もいました。
 鑑賞学習なので、みんなが同じ感想をコメントを書けるようになることがゴールではありません。クラスメイトが書いた言葉を読むことで、次回以降、自分が他の作品を見るときの新しい見方を知ることができたり、感想の表現の幅が広がったりするだろうと思います。

 また、教室のなかで交流をしてから廊下へ出てきた子が、友達2人に「やばい作品があった…」と、一学年下の5年生の作品を見せていました。メタバース美術館では、画面のなかですべての学年の作品が展示されているので、他の学年の子の作品も簡単に見ることができます。5年生の作品を見ながら、「あ、この子、知ってる。去年、委員会で一緒だったよ」「どういうふうに書いたんだろう…」というやりとりが行われていました。メタバース美術館「T2 MUSEUM」で全学年の作品が簡単に見られるからこそ、こうした学年を越えた鑑賞やコメントのやりとりが生まれやすくなると思いました。

 交流の時間が終わると、椙田先生は「自分の選んだ作品と書いたコメントを見返して、どういうところを見ているのかを考えてワークシートに書いてみましょう」、と言いました。「色」を見ているとか、「奥行き」を見ているとか、椙田先生が例を挙げて、子どもたちは自分が作品のどんなところに心を動かされるのかを考えていました。

 最後に、自分がどういう視点で作品を見ているのかを、共有のスプレッドシートに書き込みました。共有のスプレッドシートにまとめることで、クラスのみんなが、それぞれどんなところを見ているのかが一覧で見えるようになりました。

 メタバース美術館で全校児童の作品を簡単に見ることができるようになることで、鑑賞学習で見ることができる作品の量も増えます。
 今後、さらに作品を増やしていくことで、廊下でリアルに展示することができないほどの量をメタバース空間で展示することもできるようになるでしょう。また、保護者にも見てもらってコメントに参加してもらったり、さまざまな活用の可能性を感じる授業でした。

(為田)