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宝仙学園小学校 授業レポート No.3(2022年5月16日)

 2022年5月16日に宝仙学園小学校を訪問し、佐藤至大 先生が担当する4年松組の国語「詩の工夫を見つけよう」の授業を参観させていただきました。

 佐藤先生は、「今日は、みんなが書いた詩をiPadで見合います」と伝えた後、ロイロノート・スクールの画面をモニターに映して、「友達の詩の良さを見つけよう」「4年松組のみんなの詩の良さを見つけよう」「人の良さを自分のものにしよう」の3つのめあてを伝えます。

 これまでの授業で、家族への感謝を表した詩をプリントに書いていて、それをPadletに提出してあるそうです。そこで、「Padletで詩を読み合うときの“良さ”って何だろう?」と佐藤先生はみんなに質問します。子どもたちは挙手して、「ハートやGoodを押せる」「コメントを書ける」「ふだん言えないことも言える」などの意見を出していきます。佐藤先生は、その意見を手元のiPadからロイロノート・スクールに書き込むので、モニターが板書代わりになります。

 Padletの良さについて確認した後に、今度は「使うときに気をつけること」についても質問をしていきます。ここでも、子どもたちがどんどん挙手して意見を言っていきます。出てきたのは、「目的をまちがえない」「匿名による誹謗中傷」「不快になることはちがう」「関係がないことはしない」などが出てきていました。

 最後に、この日にする活動について佐藤先生は説明します。「Padletでクラスメイトの詩を読んで、見つけた工夫、良いところを具体的にコメントで残してください」と佐藤先生は言います。

 Padletで表示されている詩は、すべてをiPad上で制作するのとは違う、プリントで書いているからこその表現の幅がありました。色を塗っていたりとか、細かいこだわりの表現をしている子も多くいました。
 デジタルを使わなくても、作品を教室内で見て回って、コメントを書いて付箋をつけていく、というような鑑賞はこれまでも学校では行われていましたが、それをデジタルで行っているようなものです。付箋はとれて床に落ちてしまうこともありますが、デジタルであればその心配もありませんし、いつでもPadletのサイトでみんなのコメントを、クラスのみんなが見られます。これは非常に良い点だと思います。学年をまたいで蓄積していけば、ポートフォリオにもなります。

 途中で、これまでに学んだ擬人法や体言止めなどの、詩に使われている表現技法をロイロノート・スクールのページで確認している子もいました。iPadをスプリットビューにして、半分で表現技法をロイロノート・スクールで表示しつつ、もう半分でPadletでコメントを書いている子もいます。

 自分の詩についたコメントを読んで、「“おもしろい”って、どこがどうおもしろいのか言って」と、コメントをくれた子にリクエストをしている子もいました。それから、もらったコメントを読んで、「あたし、反復法使ってんのかな?」と気づいた子もいました。
 こういう言葉が子どもから出てくるのが大事だなと感じました。一生懸命書いた作品だからこそ、具体的な言葉で評価をしてほしい、そのためのツールとしてPadletを活用している様子が感じられました。

 授業の最後に、ロイロノート・スクールで佐藤先生からみんなにアンケートを配布して、誰に発表してほしいかを投票しました。票を多く集めていた子たちが最後に前に出て自分の詩を発表しました。

 発表できた子はもちろん大きな自信になったと思いますし、惜しくも発表まで行かなかった子も、コメントをPadlet上にもらうことが自信につながっていくと思います。発表するのはちょっと恥ずかしい、という子も、Padlet上で作品を評価してもらえるので、Padletを活用して詩を読み合う活動にこうして時間をとるのは非常に意味があると感じました。

 No.4に続きます。
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(為田)